表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/185

case.14 海中の死闘

多分決着




「そんな……ッ! 嘘……嘘……嘘だッ!」




 明らかに怒っている様子のムル。



 どうやら、こっちが本性ってわけね。

 私も本性が無いわけじゃないから、分かるわよ。……って、自覚してるのもどうかと思うけど。



「何よ……何よ何よ何よ何よ何よ! 私は海王なのよ!? 負けるわけにはいかないのッ!」


「残念だけど。それは私も同じなの。魔帝八皇として、そして1人の女として、貴女には負けたくない」



 それに……あの人が賭けの対象になっている以上はね……。



「もういい……手加減は無しよ……!」



 また、またムルの雰囲気が変わった。

 声色に怒気が籠もるのが感じ取れた。

 


「―――風舞ふうぶ 伍ノ型『風塵ふうじん』ッ!」



 今度は……風……!?

 風属性の魔法なら、負ける訳にはいかない……!



「“風刃エアスラッシュ”っ!」



 まるで嵐のように押し寄せる風を、私の放った風の刃が切り裂いていく。



雷舞らいぶ 壱ノ型『落雷』ッ!」



 しかし、ムルの攻撃を放つ手は止まらない。


 今度は雷。文字通り……私の上空に黒雲が集まっていた。



「『守護ガーディアン』ッ!」



 咄嗟の判断で、二重に障壁を展開する私。

 するとその直後、黒雲からは雷が落ちてきた。



 幸い、障壁を張ったお陰で落雷から身を守ることが出来たが、ムルは攻撃をやめなかった。



「―――海舞かいぶ 陰ノ型『嵐』」



(……ッ!? また新しい舞……?)



 しかし、そんな事で驚いている場合では無かった。

 ムルが舞を繰り広げた直後、目の前の光景は驚くべき物に変わっていたのだから。



「そんな……嘘でしょ?」

 


 そう。だって、目の前に広がるのは文字通りの嵐なのだから。

 しかもそれに加えて、地面から水が吹き出てきていたのだ。



「フィールドが海になれば、勝つのはどちらか……もう分かるでしょう?」



(ッ……急にそれは卑怯よ……! 私あまり泳げないのに……!)



 今の状況を簡単に説明するなら、地面は海面へと変わり、空には強風……いや、暴風が荒れ狂い雷は轟き……そう、まさに嵐なのである。



 私はどうにか足場を確保しようとしたが……



「させませんわ。水舞 ノ型『水龍すいろう』ッ!」



 水の中だと言うのに、ムルは華麗な舞を繰り広げ、そして見たことのある技……水の龍が私に向かってやって来る。



 ―――このまま、私は負けるの?


 『逆転』は1日1回しか使えない強力なスキル。

 だから今日はもう使えない。


 魔力は残っているが、状況が状況だ。まともに放てるかどうか……。



「ウフフ……」



 水龍が迫る中、ムルは余裕そうにこちらを見て微笑んでいた。

 暗黒微笑、というやつだ。

 


(あの女に、一発。一発でいいから何かぶちかまさないと私の気がすまないわ……!)



 あの余裕しゃくしゃくな態度。

 少しでも鼻をへし折ってやる……!


 そして、ルインちゃんに繋ぐのよ……!



(あの子なら……)



 ―――悔しい。



 そりゃ悔しいわよ。


 負けたくない。


 でも、あの女にとられるのだけは……何としても回避しないと……!



『GRUUUUUUUUUUU!!!』



 ……来るッ!



 私は何とかしないと、と思い咄嗟に『守護』で障壁を張る。


 さらに、回復魔法を自分にかける。



「そんなの無駄ですわ……ッ!」



 龍は突っ込んでくる。

 多分こんなものじゃ、簡単に破られ……



―――ダンッ!

 


『GRUU……』



 ……なかった?



「何で……!? 何でよ! ―――水舞 肆ノ型『水龍』!」



 ムルは再び技を使うも……



―――ダンッ!



 障壁にぶつかり、そのまま消え去っていく龍。



「おかしい……こんなのおかしいわよ!」



 ガクンとうなだれてしまうムル。



(―――来た……! 今だ。今しか、チャンスは無い! ムルが怯んでる、この今しか!)



「行くわよ……ッ! 受けてみなさい……“暴嵐突風ぼうらんとっぷう”ッッッ!!!!!」


 

 集中砲火型の風魔法。

 範囲は広めに、一発だけ。


 私は震える手で、魔力を集中させる。



「何で……何で……!」


「吹き飛びなさいッ!」



 手に溜めた風を、一気に解き放つ。


 暴風は水を吹き飛ばし、その水は津波となってムルに襲いかかる。



「こんな……こんな事で……! 風舞 はちノ型『天照てんしょう』ッ!」



 技を放つムル。

 空から降り注ぐ、打ち付けるような風。


 だが……



「そんな威力じゃ、私の風には勝てない!」



 私の暴嵐突風は全ての物を吹き飛ばしていく。

 そしてそのまま、ムルに―――



「ふふ……」



 いや……何か様子が、おかしい。

 何故、彼女は笑っている?


 まさか、ここから……勝てると言うの?



「うふふ……っ。あはっ、面白いね。―――水舞 ろくノ型『波紋はもん』」



 私の放った攻撃はムルに―――当たる事はなかった。

 『波紋』によって、私の魔法は消されてしまったのだ。



(え……? 何で……?)



「いい? 私には勝てないの。これが、最後ですよ。―――海舞 陽ノ型『緋水ひすい』」



 再び海舞。

 今度は陰ではなく陽。


 太陽が現れ、そして自分に襲いくる水をその身に纏うムル。



「……少し焦りましたが、楽しかったですよ」


「まだ、負けたわけじゃ……」


「さようなら―――」



 えっ……?

 だってさっきまで、私の方が優勢だったのに……?



「―――憐れな勘違い乳牛さん。私の演技ウソに騙されてくれてありがとね♡」



 意識が消える直前、ムルが言い放った言葉を……その恍惚とした表情を、私は脳に刻み込まれた。




 全部……全部演技だったのか。


 自分が勝てるって……分かってたのか。




 ―――あー、ムカつく。

 勝てるって分かってた上で、あんな動揺したフリをするなんて。


 ごめんね、ルインちゃん。

 爪痕を残せなくて。


 私は負けちゃったけど……情報はできる限り引き出せたはずだから……!

 貴女は、絶対に勝つのよ……!



 そして、ムルは私に攻撃を撃ち放ち、そこで私の意識は完全に消え去った。

ブックマークお願いします、マジでお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ