表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/185

case.8 海王と竜王

恋に落ちる音がして。



「貴方たちは敵ですか? 敵なら―――殺します」



 何故か海底へと転移してきてしまった私たちが、最初に出会った少女。

 フリルのたくさんついた着物……?みたいなきらびやかな衣装を、その幼体に纏い、華麗な手際で扇を舞わせるその少女。


 その子が突然、そんなことを言ってきた。



「……貴女は何者?」


「わたし? わたしは……。いいえ、貴方たちに名乗る名などありません」



 うーん。なんだろう。

 この子、少し危ないオーラが見えるのよね。


 なんて言うのかしら、神のオーラ?みたいなのが視えるのだけれど。



「―――あら? そちらの方は。あらあら、お久しぶりですね。竜王さま……うふふ……」



 リガルテを見た少女はそう言った。



「……やっぱりテメェか、海王さんよ」



 2人は知り合い、だったのね……。


 ……まあ、予想はしてたけど。やっぱそうなるわよねぇ。

 リガルテ、海王について心当たりがありそうだったもの。


 でもまさかこの子が海王だったなんてね。



「何だ? お前ら知り合いなのか?」



 2人の関係なんか知ったこっちゃないと言ったように、マノンは質問をした。



「ええ。海王こいつとは少々因縁がありましてな」


「『少々』……? そんな……酷いですわ……! 貴方は、海王であるこの私にあーんなことや、そーんなことまでしたというのに……!」


「おい、待てよ! なんだあーんなことやそーんなことって!」


「うう……しくしく」



 この子嫌いだわ。

 私の直感がそう告げてきた。


 何この子。

 見た目はすごい幼くて、おとなしそうなのに! 髪の毛も水色で、おっぱいも控えめで、目もくりんくりんしてるのに!


 それなのにこの子、性格がなんかやな感じだわ!



「はぁ、もういいですわ! ぷんぷん。それで? 皆さんは何でこんなところに?」


「はぁ!? んなのテメェが邪魔だから―――」


「どうどう、リガルテどうどう」



 私は興奮したリガルテをなだめる。

 まあこの人が言ってることは別に間違ってもないんだけどね。



「私が変わりに、ちゃんと説明するわ」


「ええ、お願いしますわ? 乳・牛・さ・ん♡」



 ―――ピキッ

 何かが、壊れる音がした。



「ふ"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"ッ!」



 まるで私が私でないみたいな声が出てしまった。



「ど、どうどう、ですよアスモフィ様!」



 リガーテくんになだめられてしまう。

 クッ……不覚だわ。

 まさかこの子、煽り属性の女だったなんて。



「アスモフィ様、これで分かりましたか? この女の恐ろしいところ」


「えぇ……分かったわ。充分すぎる位にね……!」


「あらあら、酷いですわね。皆さん。それで、いいから何の用事なのかを教えてくださいまし」



 声のトーンが変わる。

 真面目な話がしたいのだろう。



「はぁ、分かったわよ。単刀直入に言うわよ。私たちはこの海の……いいえ、海上の領地を貰いに来たのよ。私たちの国を創る為にね」


「海上の領地を……? ああ、そんな事でしたか。まあ、結論から言うと、もちろんいいのですが……」



 あら、案外すんなり了承してくれるのね。

 もう少しひと悶着あると思ったのだけれど。



「貴方たちの主に会わせて頂いてもよろしいですか?」


「魔王様に?」


「ふふ。やはり、貴方たちの主は魔王でしたか……」



 あっ、しまった。

 変に情報を開示してしまうのは良くなかったかもね。


 この子は私たちの主が魔王様ってことを知らなかったんだから……。

 まあ、いいわ。いずれは知られることになったでしょうから。



「まあ、会うくらいならいいと思うけど……。今は無理ね」


「どうしてですか?」


「今、別の仲間を探しに戦帝国フラウに行っているのよ」


「そうでしたか……。それなら仕方ないですね。では、魔王に連絡を入れておいてくださいまし。『海王様が会いたがっている』と」


「……分かったわ」



 私は、ルミナス様に通信を入れる。

 伝達魔法『念話』。まあ、効果は文字通りね。



『―――ルミナス様〜? 聞こえる〜? おねえちゃんでーす☆』



…………えっ、ん、あ? アスモフィの声が脳内に響いているぞ!?



『―――動揺しないで〜! これは伝達魔法の念話よ!』



…………念話? ……あっ。こほん。すまないなアスモフィ。そ、それで用件はなんだ?



『―――えっとね、今、海王様とコンタクトが取れたんだけど』



…………おお、やるな。さすがはアスモフィだ。やっぱりお前は優秀だな! ……マノンとかとは違って。



―――ピリピリッ!


 えっ……何……?今の。

 褒められた時に、身体が痺れる感覚が……?



…………? どうしたアスモフィ。



『―――ひゃうんっ! ……な、何でもないわ……。そ、それでその海王様が、ルミナス様に会いたいって……』



…………そうか。今こちらもサタールを仲間にしてな。これから戦帝国フラウを滅ぼしてくるところだったんだが……。



『―――ええっ!? 滅ぼす……!? ま、まあそれには事情があるのよね? そ、それより、サタールも仲間になるなんて、貴方やっぱり相当すごいわよ?』



…………そ、そうか? あ、あーそれで、いつまでなら待ってくれるんだ?



『―――待ってね。今聞くわ』



 私は海王さまの方を向き、ルミナス様から聞かれた事をそのまま聞いてみた。



「あの、海王さま? ルミナス様が、いつまでなら待ってくれる? だって」


「いつまで……? まあなるべく早めに……ですわね」


「了解したわ」



 と言う訳ですぐに念話に戻る。



『―――なるべく早めに、だそうですよ』



…………分かった。今すぐ向かう。少しだけ暇つぶしでもしててくれ。



『―――はーい』



 と……ここで念話を終了した私。




(―――って……今から来る!?)



「どうしたんですか? 乳牛さん。なんかすごい驚いてる顔ですけど」


「今から……ルミナス様が……来る!」


「えっ。ひゃわわわわわわわわわわわわ!」



 私と海王さまは、慌てたように駆け回ってしまう。


 まさか……そんなすぐ来るなんて……!

 おねえちゃんは嬉しいぞ……!




(あれ……何で私、そんな事だけで喜んでるんだろ……?)

ブックマークが増えたのです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ