case.7 世界の中心へ
アスモフィ視点
「……」
「……」
「……」
「……アァン? 何でこんな静かなんだよ」
マノンったら、この静かな空間を、平気で壊してくるのね。
……と、言うわけで私です。おねえちゃんですっ☆
―――アスモフィです。【色欲】の魔帝八皇。僧侶のアスモフィですよー。
それで、隣にいるこのロリ巨乳(?)。この子は【強欲】の魔帝八皇。魔法使いのマノンよ。
「なぁ、おい。だから何でこんな静かなんだよ!」
「あ、あはは。僕にも分かりかねますね……」
マノンの対応をしたこの男の子。
……まあ結構歳いってると思うけど。
この子はリガーテ。竜人族と魔族の間に産まれた、竜魔族という珍しい種族の子ね。種族は騎士らしいわ。
「ですが、確かにアスモフィ殿。これから我々はどうするのですか?」
そう聞いてきたのはリガルテ。この人はさっき説明したリガーテのお父さんで、種族は竜人族。竜化が使えるみたい。その力で、竜人族の間では『竜王』なんて呼ばれてたみたいだけど。ちなみに職業は騎士ね。
「そうねぇ……?」
私は腕を組み、考えにふける。
ちなみに、今は魔王ルミナス様の命令でこの世界の中央にある大きな丸い海、《ムーン大海》と呼ばれる場所へ行くことになっている。
目的は領地の確保。……なんだけど、その海には『海王』なんて呼ばれてる海の支配者が居るみたいなのよね。
海王をどうにか対処するのが私たち魔界に残された4人の仕事。
「まあ、行ってみるしかないでしょうね……」
「まあ、そうなりますよね……」
一応、この中で一番の理解者であるリガーテくんがうんうんと頷いてくれる。
「あの、すいませんが……」
恐る恐る手を挙げたのはリガルテ。
父の方だ。
「なあに?」
「少し、身体が鈍っている気がして……。準備してから向かいたいのですが……」
そういえば、このリガルテ。
ほんとについさっき落ち着いたばかりなのよね。
私が回復してあげたとはいえ、さすがに疲労感までは回復できないからね。
「そうね……。装備とか魔法とか、しっかり準備して、少し休んでから行きましょうか」
「あ、ありがとうございます!」
そう言って、リガルテはすぐさまソファーへと向かって、そしてそのまま倒れ込むように寝てしまう。
(は、速いわね……)
「2人も好きにしてていいからね」
と、私が言うと
「そうか……? んじゃあ俺も寝るわ!」
「そうですね……僕も少し寝ようかと……」
なんて言って、2人とも空いてるソファーに寝っ転がってしまう。
あらら、2人も寝るのか。
それじゃあ私が諸々の準備をしておかないとね……。
「はぁ……」
私は溜め息をつきながら、さっさと出発の準備することにしたのだった。
■
「ん……うーん……」
あれから約3時間。
その位が経った頃だった。
「う……ん? あ……アスモフィさん……」
「あ、やっと起きたのね」
なんと、まさかの一番のねぼすけさん。リガーテである。
「あれ……父さんとマノンさんは?」
「2人ともとっくに起きて、なんかウォーミングアップだーとか言って戦ってるわよ」
「あ、あはは……あの2人らしいですね……」
まさかリガルテ。マノンと意気投合するなんてね。困ったものだわ。
「……よし! それじゃあ、全員起きたことだし。早速海に向かいましょうか!」
「はい!」
寝起きだというのに元気よく返事するリガーテ。この子は素直で可愛いものね。
それに比べて……
「ちょっとーお2人さん……そろそろ行くわよー?」
私は窓の外の広間で戦う二人を見ながらそう呼びかけた。
のだが……
「「―――てやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」」
「あ、あと少しなんです!」
「おいアスモフィ! コイツ意外と強えぞ!」
もう……!
おねえちゃん困ったわ。止める気配無いじゃない。
「ほら……早く行くわよ! 行かないなら殺しちゃうわよ?」
「……むう……仕方ないですね」
「チッ……そうだな。この続きはまた今度だ!」
良かった、ちゃんと聞いてくれた。
2人は戦う手を止めて、こちらへ向かって来る。
「さて、じゃあ近場まで転移するわよ〜?」
「おう!」
「それじゃあすぐ行くわよ。―――3……2……」
と、私が転移までのカウントダウンをしている途中だった。
「―――海王って、まさか……。いや……まさかな」
転移する最後の瞬間、リガルテがそう漏らしたのを、私は聞き逃さなかった。
「1……ゼロ〜!」
視界が光に覆われる。
これで目を開けば、私たちはもう海の上だろう。
「う、うおおぉぉぉぉぉ!」
一瞬の静寂は、マノンの叫び声によって壊される。
恐る恐る目を開く。
視界に射し込む光。
そして目に飛び込んできたのは……
「え……? まさかまさかよね……?」
「や、やはり、海王って……」
「ここって海の中だろおぉぉぉぉ!? すっげぇぇぇぇぇぇぇ!」
海の中。マノンの言う通り、私たちは海の中に居たのだ。
噂に聞いたことがある。
―――海底都市リュグウ。
とある転生者が造ったと言われる都市の名だ。
何でも御伽の話を現実にしたのだとか。
「まさか、ここが?」
そう、思ったときだった。
「もし、そこの皆さん。貴方たちは、誰ですか?」
こちらに向かって歩いてくる1人の少女。
「え……?」
「貴方たちは敵ですか? 敵なら―――殺します」
その人物は、明確な敵意を持った海底の住人であった。
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