case.17 次なる地へ向けて
よっす!
「おかえりなさいませ、魔王様」
「ああ、ただいま」
魔界に着いた俺たちは早速ルシファルナにお出迎えされた。
転移先はあの庭だ。神聖な、庭。
「あ、そうだルシファルナ。色々話したいことがあるから、今時間大丈夫か?」
「問題ありません」
俺のそんなお願いに一つ返事で答えるルシファルナ。
もうまるで執事か何かかというレベルでテキパキと席を用意していた。
(…………顔も性格もイケメンだから、もしかしたらこれで一儲け出来るかもな)
ん"ん"っ……今はそんな事を考えてる場合じゃないな。
「どうぞお掛けください」
「はぁ〜、貴方も変わらないわねぇ。お姉ちゃん関心したよ」
「アスモフィ……お久しぶり、ですね」
「ええ、そうねぇ」
とアスモフィとルシファルナが会話を交わすも、大した話の発展は無かった。
っと……話ながらも準備が終わったようだ。
というわけで全員席につく。
全部で7人。
何故か俺の両サイドにはアスモフィとルインがガッチリとくっついていた。
「それじゃあ始めようか」
シーン……。
一瞬の静寂。
俺は一つ咳払いをし、言葉を続けた。
「あー、ではまず今の目的について再確認したい」
そう言って俺は今の目的を列挙した。
「まず俺が達成したい最大の目標として、この世界を、魔族が虐げられない世界に変える。それが出来なきゃ、俺は魔王なんて名乗る資格は無い」
さらに俺は言葉を続ける。
「そしてその為に、魔帝八皇を全員集める。今は4人居るから、残りは4人だ。その道中で、このリガーテたちの母親は見つかるだろう」
「あの……この方たちは?」
ルシファルナは疑問を顔に浮かべながら質問してきた。
俺はそれに答える。
「聖皇国ラーゼで仲間にしてきた。竜王と竜魔族だ」
「竜魔族……ですか。珍しい種族ですね」
「ああ。今後俺たちの側に付いてくれるみたいだから手厚く扱ってやってくれ」
「はっ」
さて、話を戻そう。
「魔帝八皇を集めて、その上魔界以外の魔族の国をつくる……ってことよね?」
アスモフィはそう聞いてきた。
「ああ、まとめるとそうなるな」
「でも、それだと外界の国々は反乱みたいな事を起こしちゃうんじゃない?」
「それも想定済みだ。だからさっきこの世界の国の数を聞いたんだからな」
そう。外界にある国は8つ。魔帝八皇は8人。さらに種族は大きく10種。神族を除けば9種だ。
つまり、数が完全に一致するのだ。
「―――……? でもでも主様」
「なんだ? ルイン」
「それだと8個の国、8人の魔帝八皇、そして9種の種族……それだと、国と人材が一つずつ足りない気がするのですが……?」
「フフッ、忘れたのか? 俺たちが創り上げる国で9カ国目。魔帝八皇に魔王を加えると9人。そして各国に居る9種の種族。これでピッタリ一致だ」
そう完璧な作戦である。
しかし、そんな俺たちの会話にマノンは難色を示した。
「おい、さっきから何を言ってるんだ? その数がピッタリってのは、さっきのアスモフィの質問と何か関係あるのか?」
ああそうか、そもそも作戦を言ってなかったか。
「すまない、先に行き過ぎたな」
「おう!」
「じゃあ分かりやすく説明しよう。俺の目標は世界を『支配』すること、だ。
そして世界には8つ……新しく創ると9つの国があることになる。魔王と魔帝八皇の数は合計で9人。そしてこの世界に存在している種族は、神を除いて9種類。つまり……」
「つまり、魔族が……魔王様が支配する世界を創るには、この世界の全国を支配して、そこのトップに魔帝八皇をそれぞれ置く、という事ですね?」
俺の代わりにルシファルナが言葉を繋げた。
「そういうことだ。そこで一つ確認しておきたい事が生まれる。
……魔帝八皇の3人に聞く。―――お前たちの種族は何だ? 当然悪魔じゃないだろう?」
「ふーん……察しがいいのね」
アスモフィは諦めたようにため息をつき、ルシファルナ、マノンと目配せをしたあとそれぞれが自らの種族を語り始めた。
まずはアスモフィが。
「私は……聖族よ。聖皇国出身の……ね」
続けてマノンが。
「俺は獣族だ。出身は魔道王国サルナラだぜ」
最後にルシファルナが。
「私は、機械族でございます。出身は中央商帝国アルマスです」
これで……これである程度の予想はついた。
恐らく、俺の推理が間違ってなければ、だが。
多分、魔帝八皇というのは、各種族から一人ずつ集められて構成されている集団なのだろう。
そしてそのメンバーは散り散りになっているらしいが、恐らく皆自分の職業に対応している国に行っているはず……だ。
国の名前を聞いたときに、ほぼ全てが名前からその国の特徴的な職業が想像できたからな。
その証拠に、聖皇国ラーゼは聖魔法を使うやつが多かったし、イメージ通り僧侶のアスモフィにも会えた。
……少しゲシュタルト崩壊してきた気もするが、何となく察してほしい。
まだ会っていない魔帝八皇のメンバーの職業は、戦士、騎士、弓使い、呪術師の4種。
残った種族は人族、妖精族、小人族、鬼族、竜族の5種。
あれ……5種?
……一つ疑問点が増えてしまった。
これはあれか? 本来なら俺が人族であるはずだったが何故か神族だったから〜みたいな話なのか?
ううん……よくわからん。
「ま、まあそう言うわけだから、とりあえずしばらくは魔帝八皇を集める旅ということで。メンバーは4人固定。俺とルイン以外から2人選んで行くことにする。それでいいか?」
「「「はい」」」
全員の了承を得る。
「さて、次に何処に向かうか、だが……」
「魔王様、よろしいですか?」
「何だルシファルナ」
「この地図を見てください」
そう言ってルシファルナは大きな一枚の地図を広げた。
「これは?」
「この世界の地図です。大きな円形を描くような形になっているのですが、その中央。ここにどの国も手つかずの大きな海があるのですよ」
まるでドーナツのような形になっている地図だ。真ん中の空いた中央の部分には青色で塗りつぶされている。これが海か。
「だが、海なら漁とかで人が一杯集まるんじゃないのか?」
「いえ、それが……海王という海の支配者がいまして……。漁に出た船はみな大破してしまうのですよ。ですからどの国も、暗黙の了解として、漁に出るときは内側ではなく、外側にしているのです」
「そこを利用する、と?」
「はい。そこに、魔王様の国を創ってみてはいかがでしょうか?」
ふむ、なかなかにいい提案だ。
「しかし、そうなると問題なのはその海王とかいうやつより―――」
「……え、より?」
アスモフィが首をかしげた。
「ああ、労働力が足りないだろうなぁ」
「……それなら、体力バカのアイツがいたら一発で解決ですね」
と、ルシファルナが。
「アイツって?」
「魔帝八皇が一人、【憤怒】の戦士、サタール。アイツがいれば問題無しです」
サタール、か。
それに【憤怒】って、《七つの大罪》リーダーの罪であると言われている―――
「……そいつは今何処にいるんだ?」
「えっと……確か《戦帝国フラウ》だったかと」
「やっぱり……」
やはりイメージがピッタリ一致している。
戦帝国……戦士……そこにサタールが居る。
となると種族は鬼族か何かか?
「そうだな、では二手に分かれるとしよう。サタールを探す組と海王を処理する組の二つだ。俺とルイン……それにルシファルナ。お前は俺たちと一緒に来い。サタールを探す。残った4人は海王とやらをどうにかしといてくれ。頼むぞ」
「「「了解」」」
「それでは早速向かうとしよう。目指すは戦帝国フラウだ」
「ごーごー! です主様!」
ブクマと高評価!




