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case.16 新たな戦力

クーリッシュ冷凍みかん味



『グルル……』



 その巨大な龍はゆっくりと目を開く。



「父さん……?」


『リガー……テ』



 今にも消えそうな声で、その龍は声を発する。



「父さん……やっと会えたんだ……だから起きてくれよ……」


『ガルル……』



 龍は、起き上がろうとするがすぐにバランスを崩し、バタンッ! と勢い良く倒れ込んでしまう。



「父さん……ッ!」


『ご……め……』


「謝らないでくれ……父さん。悪いのは全部俺だったんだから」



 その白き龍の身体からは、“竜化”の反動からか、血が溢れ出てきている。



『俺は……死……ぬ』


「そんな……ッ! 父さん……父さん!」



 そんな光景を、俺とルインはただただ眺める事しか出来なかった。



「そんな……こんなのって……」


「よせ、ルイン。これ以上は言うな……」


「でも……このままリガルテさんが死んじゃうなんて……」



 何か……回復系の魔法が使えれば良かったんだが……。

 スキル『魔道』は、攻撃魔法を使えるようになるスキルで、回復系の魔法は使えない。



(クソ、誰か居ないのか? 回復魔法が得意な……ヤ……ツ―――)



「あ」



 ここまで思考した所で、俺はある事に気づいた。



「そう言えばアスモフィって……」


「やっと気づいたの〜?? そう! おねえちゃんは僧侶なのですよ! おねえちゃんに任せておけ、です!」



 そうだ。すっかり忘れていたが、アスモフィは魔帝八皇が1人、最強クラスの“僧侶”なんだった。



 コツコツ、と早歩きでリガルテのもとへ歩み寄るアスモフィ。



「はいはい竜魔の騎士君はどいててね」


「ァ……アスモフィ殿!」



 頼むぞ、アスモフィ。

 彼の父を救えるのは、お前だけなんだから……!



「……ふぅ……始めるわよ。

 ―――『光の精霊よ、傷を癒やし給え。“治療キュア”』」



 詠唱によって、本来の威力となった回復魔法が、リガルテの身体を緑色の光で包んでいく。

 大きく、見える程だった身体の傷口は、みるみるうちに塞がっていく。

 それに合わせて目の色も徐々に光を取り戻す。


 そして、龍だったその巨体は人の姿へと変化していく。

 それはやがて、1人のガタイのいい男へと様変わりした。



「ぬ、ぬぅぅ……。リガーテ……?」


「父さん……父さん!」


「リガーテ……なのか……!? おお! おお!」


 2人は抱き合う。

 涙を流しながら。


 感動の再会、という奴だな。



 しばらくしてリガルテは、俺たちに気づき話しかけてくる。



「貴方たちは……?」


「父さん、この人たちは―――」


「待て、自分で説明させてくれ。聞きたいこともあるしな」



 リガーテの言葉を遮り、俺は事情を説明し始める。俺たちが魔王軍である事、リガルテが竜化して暴走したことなど。


 話を聞いているリガルテは途中、すごい目をキラキラと輝かせていたのだが、さすがに割り込むことなどはせず、しっかりと話は聞いてくれた。



「なるほど……魔王……でしたか。まさかこんな早くに願いが叶うなんて」


「願い?」



 俺はその言葉について聞き返す。



「はい。私は、魔帝八皇について調べていたのです」


「魔帝八皇……について、だと?」


「はい。魔帝八皇の弓使い。【嫉妬】……弓使いのレヴィーナ。彼女は……私の妻です」



 この言葉に俺やルインは驚いていたが、それよりも好反応を示したのは現魔帝八皇の2人だった。



「あの冷酷な女が!?」



 と、アスモフィが言ったかと思えば、



「あの強え奴がか!?」



 なんてマノンが言った。



「冷酷で……強い……。はい、それは間違いなく私の妻です……! そ、それで今彼女は何処に?」


「んなの知らねぇよ! 俺たちはあの前魔王じじいが死んでからバラバラになっちまったからな」


「そうねぇ……ルシファルナ以外はみんなこの世界の国々を転々としているからねぇ」


「そう、ですか……」



 シュンとしてしまうリガルテ。

 まあ、確かに期待はしてしまうよな。

 目の前には魔帝八皇が居るんだから。



「ああそうだ。……今気になった事なんだが、この世界には何個の国があるんだ?」



 俺は、皆に質問した。

 今後のことで大事な部分だからな。今の内に確認しておきたい。



「えっと……外界には確か……今は8個の国があったかしらね」


「え、ええ。今はこの聖皇国ラーゼを加えて8カ国存在しますね」



 アスモフィとリガルテが答えてくれる。


 それにしても、8……か。魔帝八皇と数が一致しているのは偶然なのか必然なのか。



「ちなみにその名前は?」



 続けて俺の問いに答えたのはリガーテだ。



「は、はい! えっと……

 戦帝国フラウ、護王国シュデン、魔道王国サルナラ、聖皇国ラーゼ、森ノ大国、死国ディブリビアゼ、中央商帝国アルマス、無法都市ムウラ

 と……間違えてなければこんな感じだったかと」



 最後のは国という認識でいいのか?

 まあ、国というのだから国なのだろう。


 

 ―――とりあえず、気づいたことや新しい目標も思いついたが、まずはこの状況を終わらせよう。


 こんな更地に長居は無用だ。



「リガーテ、リガルテ。お前たちはこれからどうするんだ? もしよければだが、魔王軍おれたちの側に入らないか?」


「父さん。行こうよ。母さんを探したいんでしょ」


「……ああ。そうだな。それならお言葉に甘えて、俺らも魔王軍に入れてもらうとするかな」



 よし、決まりだ。

 これで魔界の戦力の増強と、それに……竜についても調べられる。


 フハハ……やったぞ、俺!



「了解だ。―――それでは早速魔界に帰るとしよう。話したいことがあるしな」



 そう言って俺たちは、ルインの力で魔界へと転移していくのだった。

 転移する前に、騒ぎを聞きつけたノロマな騎士たちが見えたが、すぐに転移して見られる事は無かった。




「―――おかえり……父さん」



 転移する瞬間、リガーテは噛みしめるようにそう漏らしていた。瞳には涙を浮かべながら。

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