case.10 【色欲】の大罪アスモフィ(4)
物語の行く末
「あの、ちょっと話を」
「煩い」
神速の速さでアスモフィに近づき、剣を引き抜く。
「おおっと危ねえァ?」
そのまま剣を振るうが、それはマノンによって防がれてしまう。
だが、
「爆ぜろ」
俺は魔法を放った。
それは、マノンが使った魔法と同じもの。
―――“爆発炎魔”だった。
「お前もそれ使えるのかよ!?」
「余所見をするな。―――“飛剣”」
高速で剣を引き抜き、そのままマノンへと斬りかかる。
「チッ……アスモフィ!」
「え、ええ! 『守護』!」
アスモフィはマノンに向けて防御障壁を展開した。
……『守護』か、懐かしいな。
まあそんなチンケな防御じゃ無駄だが……なッ!
「キャァァァッ!」
「何だよこれ……ッ! このパワーはよォッ!」
バリバリと音を立てて崩れ去る防御障壁。
今の俺は、何でも破壊できそうな気がする。
さらに俺はそのまま二人に高速で詰め寄った。
「“招雷”」
「だから魔法は無駄だって―――きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」
「うぐぁぁぁぁっ! ―――クッ……お前、今、何をした?」
俺の雷魔法は、しっかりとアスモフィにダメージを与えていた。
そして俺はそのままマノンの質問に答えることにした。
「わからねぇ」
と、一言。
「ハァ?!」
マノンは驚いた。
まあそりゃ驚くはずだ。
だが、そんな時間も無い。
すぐにケリをつけないと。
「なぁ? アスモフィ。いいからいっぺん死んで来いよッ!」
再び高速で詰め寄る。
そして今度は剣を二本構えた。
「な、何を……」
「“爆炎流星剣”」
俺は槍投げの要領で、二本の剣を空高く投擲した。
そしてそこへ少し魔力を加えてやる。
すると上空で、二本の剣は魔力によって巨大化し、そしてさらにそれが無数に分裂した。
(これが……今俺にできる魔法の精一杯だ……ッ!)
巨大化した剣たちはそのまま落下する。
まさしく流星のような剣たちが、マノンたちを襲う。
「『守護』!!」
また同じ事を。
マノンとアスモフィが固まって攻撃を防いでいる、がそんな事無駄に終わる。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
二人を囲んでいた防御壁は崩れ去り、巨大剣が二人を襲う。
さらにそこへ俺は追い打ちをかける。
「―――“天雷”!!!」
天雷とは、名前の通り、雷を落とす魔法。
ただし、その威力は通常の雷魔法とは格が違うのだ。
どのくらい凄いのかというと、通常の魔法なら、木一本を焦がせる程度だが、この天雷は、街一つを灰にしてしまうくらいの威力を持っている。
そんな魔法が今、防御壁の無くなった二人を襲う。
その結果がどうなるか。
そんなのもちろん―――
「イヤァァァァァァッ!」
「ギャァァァァァァッ!」
いくら魔帝八皇の魔法系ツートップともいえど、ダメージは入るのだ。
「まだだ……まだ足りないよなぁ?」
「えっ、まっ、待って」
「“天雷”」
再び落雷。
もちろん、彼女らには大ダメージだ。
「クッ、くうう!」
なんとか耐えているようだが、もう限界だろう。
「さあ……終わりだ」
一歩ずつ歩み寄る。
「まっ、待ってって! 悪かったわ! おねえちゃんの負けよ!」
「煩い。お前は……ルインを……ッ!」
「ち、違うの! あの娘は私の魔法でッ!」
「いいから黙れ。マノンお前もだ。お前ら2人とも、俺の傀儡となれ」
そして俺は躊躇わずあのスキルを使う。
今の俺が、唯一コイツらに勝てる手段だから。
「『支配』」
▶スキル『支配』を発動します。
俺のスキルを受けた2人は、目から光を失い、ガクンとうなだれてしまった。
これが“完全支配”だ。
もう、俺から逃れられる事は出来ない。
だが―――
(さっき、コイツ何か言いかけてたよな……)
……仕方がない。
俺は仕方なく、“完全支配”を解いた。
「ぷっはぁぁぁぁ! 焦ったよ! おねえちゃん焦ったよ!」
「それで? お前は何を言おうとしていたんだ? 確か、魔法がどうとか」
「そう、それよ! あの娘だけどね! 私の魔法で眠らせてるだけなのよ!?」
「は……? いや、だってグサッって……」
「あのねぇ! あれは誤魔化す為の偽の音よ!?」
は……?
じゃああれか?全部俺の早とちりってことか?
おい……おい。
嘘だろ…………?
何だか一気に脱力してしまった。
全身から力が抜けていくのが分かる。
▶『憤激焉怒』を解除しました。
すると、アスモフィとマノンはづけづけとこちらへやって来て、言った。
「もう! 本当に覚醒しちゃうんだから!」
「それにしてもお前、クソ強かったな!?」
褒めてるのか怒ってるのか……。
まあどっちでもいいけど。
「そ、それでルインは?!」
「ああはいはい、起こすわよ。はい☆」
指をパチンと鳴らしたアスモフィ。
「ん、んんー? うーーん……、むにゃむにゃ」
「ルイン……?! ルイーーン!!」
本当に寝起きの感じを出すルインに思わず飛びかかってしまう。
「良かった、本当に良かった!」
「あ、あるじひゃま……?」
!? 顔が……赤い……!
「どうした、熱でも出たのか!? おいアスモフィ! ルインに何かしただろ!?」
「あっいや、主様、これは……その……」
「はぁ、アンタも難儀なもんね。いいこと? 私は何もしていないわ? このど・ん・か・ん魔王さま♡」
ツーっと胸のあたりをアスモフィになぞられる。
あっ……えっと……何だろう……その……あれだ。
……エロ過ぎるぞ……? この女。
まさに魔性の女だ……。
と、そこにルインが割り込んで来た。
「あ・る・じ・さ・ま〜???」
「あっ、いや、これは!」
何だろう、ルインの顔が赤い……。
さっきとは違う赤さだ……?
「ど、どうした? 熱でも……」
「ぶーーっ! 違いますこれは怒ってるんですー! 主様のバカぁぁぁぁっ!」
「いたぁぁぁぁぁっ!?」
また、一段落して平和が戻ってきた。
やっと、落ち着く事が出来る……。
そう思った、とある日の昼下りであった。
ブックマーク、脂が乗ってておいしいですよ!




