case.6 聖皇国ラーゼ
お楽しみは、これからだッ!☆
「それにしてもアスモフィか! だいぶ久しぶりな気がするなー!」
マノンが来てからだいぶ騒がしくなった俺たちのパーティー。
だが、そのおかげで、気づいた時にはもうすでに聖皇国ラーゼに着いていた。
軽く転移をして、そこから歩いていたのだが、その間マノンがずっと騒いでくれていたからストレス無く歩き続けることが出来たのだ。
……と言う訳で、俺たちは聖皇国ラーゼの入口まで辿り着いていた。
「―――あ、主様。私のような魔族はさすがに入れないかと……」
とはルインが。
確かにそうだよな。その心配はもっともだ。
だが、安心してほしい。
そんなこともあろうかと、ルシファルナからとある物を預かっているのだ。
俺は服のポケットから一つの手帳を取り出して見せた。
「これを見てくれルイン。何か分かるか?」
そう言って俺はとある手帳を見せる。
「手帳……ですか?」
「ああ、これはいわゆる通行手形みたいな物でな。これを見せるだけで証明書代わりになるんだと。それに擬態効果もあるらしくてな。魔族以外にはバレないようになるらしいぞ」
「へぇ……すごいですね。それなら安心です!」
「よくわからんが! 早く! 入ろうぜ!」
マノンに急かされて、俺たちは早速門を通過することにした。
手帳を見せたおかげで特に何事も無く、街へ入ることが出来た。
「うわぁぁぁ……」
ここが、聖皇国ラーゼか!
見た目は……何だろう。
全体的に白い気がする。
見渡す限り白、白、白。
一応、初めて来た人の街だからテンションが上がるぞ!
ゲームでも、同じようにこの街が存在しているのかな……。
「なあなあ! それでオレたちは何しに来たんだっけか!」
「は? 嘘だろお前」
マノン……コイツ、バカが過ぎるだろう。
「いやだから……」
「マノン様。私たちはアスモフィ様を探しに来たのですよ」
と、俺が言うより早く、ルインが先に教えていた。
「おお、そうか! アイツか!」
「はい、その方だと思います」
「アイツかぁ……。アイツは変なヤツだからなぁ!」
「あ、あはは……そうなんですか?」
「おうとも! いやぁ! アイツはキモいんだよなぁ!」
「―――あらあらウフフ……」
「ま、まあでも、皆さん人それぞれですから!」
「いいや、アイツは特段ヒデェな!」
「―――酷いです……!」
「どういうところが酷いのですか?」
「んーー! んーんー、全部かな!」
いや全部なんかよ。
「―――もう……マノンったら酷いですね! ぷんぷん!」
「まあまあ、そう怒るな……って……」
は……?
ん……?
え……?
思考が停止する。
待った待った、やっぱそうだよな?
さっきから少しあった違和感、やっぱコイツだよな?
「あら、どうしましたの?」
「あー、いや、あのー、あ、その……」
「あらあらウフフ……かわいい反応ね」
ツーっと胸のあたりをなぞられる。
とても……妖艶な女性に。
「主様……?」
あっ、やばい。ルインが振り向いてしまう!
「なっ、なんでもな―――」
「―――ああぁ! アスモフィじゃねぇかぁぁぁ!」
ルインより先に振り返ったマノンが、俺の隣に居る女性に向かって大声を上げた。
するとその女性はにこやかに笑うと、こう言ったのだ。
「はい、皆大好きアスモフィおねえちゃんですっ!」
■
とりあえずルインから一発叩かれた俺は、気を取り直して、彼女に話を聞いてみることにした。
「はぁ……本当にお前がアスモフィなのか?」
「はい! 私がアスモフィです、魔王さまっ!」
「わぁお、俺が魔王だって事まで知ってるのか」
アスモフィ……。
【色欲】を司る悪魔アスモデウスの子孫にして、現魔帝八皇の僧侶枠。
何故ここに居るのかは分からないが、探す手間が省けて助かったと考えるべきだろう。
アスモフィの見た目は……そうだな。簡単に言うとエロい。
ピンク髪で巨乳できわどい服。
おそらく男なら二度見……いや百度見くらいはするだろう、エロさだ。
「あらあら、そんなにジロジロ見られるとお姉ちゃん恥ずかしいわぁ」
「あるじさま……!」
どうどう、ルインどうどう。
「と、ところでアスモフィ。お前は何でここに居るんだ?」
「あら、それを説明するにはまずこの国について語らないといけないわね。どこか場所を変えて話しましょう?」
「え? あ、ああ了解した」
ルインに噛みつかれそうな中、咄嗟に話題を変えて切り抜けた俺は、アスモフィにさう提案されて、困惑しつつも了承をした。
「じゃあ行きましょう。いい場所があるのよ」
そうアスモフィに言われるがまま、俺たちは歩いた。
―――しばらく歩いたあと、着いた場所は、一軒家。
正面の屋根上には、大きくこう書かれた看板が飾ってあった。
『アスモフィおねえちゃんのお・う・ち♡』
おおう……。
確かにヤバいな。この人。
「ささ、入って入って!」
言われるがまま、家へと入る俺たちだったが、さらに驚きは加速する。
「お、おおう……これは……」
「酷い……ですね」
「な!? な!? ヒデェだろ!?」
三者三様の反応を見せた俺たちだったが、何がそんなに酷いのかというと。
まず部屋が汚い。
ゴミ屋敷よりゴミ屋敷だ。
と、いうか床が見えない。
しかもゴミの山の中に男……?が居るのだ。
次に、廊下。
これは……ラブドール、だろう。
しかもその姿は幼い少年の物から年老いたおじいさんの物まで、多種多様に揃っていた。
最後に屋内全体に広がるこの匂い。
いや、かなり酷いぞ。
ゴミのせいもあるんだろうが、何というか、こう、イカ臭いというか?言葉で言い表せないような匂いがしている。
「あ、あはは、おねえちゃん困っちゃうなぁ……! ちょっと外で話そうねぇ?」
何故お前が怒るのだ。
「さ、会議しましょ?!」
家を出た俺たちはアスモフィのその言葉で会議を始めることにした。
■
「こほん。えーっと、まずはこの国、聖皇国ラーゼについて話すわ。―――この国はね、すごい大きな問題があるのよ!」
と言う訳で早速話が始まった。
「問題?」
俺はそう聞き返す。
「そう、問題! この国は“皇帝エスペル”っていうハゲオヤジが治めている国なんだけど、そいつが魔界に攻めてきたのよ!」
「……魔界に?」
俺はその言葉に疑問を持った。
そして俺と同じ疑問を持ったルインが、それをアスモフィに聞いた。
「で、ですが魔界に行くには魔族の力が!」
「そうなの。あのハゲオヤジ、たまたま外界に来ていた悪魔を捕まえて、無理矢理協力させたのよ」
「そんな……!」
またか。
何故この世界はそこまでして魔族が虐げられなきゃいけないんだ。
そりゃ俺を襲ってきたあの悪魔っ子たちも、躍起になるわな。
「それで?」
「それで、私はそれを聞いてこの国に来たわ。もちろん魔族であることは隠してね。そしたらこの国のあーんなことやそーんなことが見えてきたのよ」
「ほう、それは?」
「―――この国はね、戦争をしようとしているわ。魔族と、人間の」
そう来たか……。
戦争、ねぇ……。
「この国の人はみんな、聖属性の魔法を使うのよ。だから魔族なんて一撃。そういうコンセプトの国なのよ」
コンセプトって。
それにしても、戦争か。
「なあアスモフィ。単刀直入に言わせてくれ」
「なぁに?」
「お前も俺たちの仲間にならないか? 一緒にこの世界を支配しよう」
「うーん、どうしようかしら」
腕を組み、その大きな双丘をぷるるんと持ち上げ、悩むアスモフィ。
やがてアスモフィは何かを閃いたように言った。
「じゃあ、私と……そうね、マノン? 一緒に来なさい。私たち2人と戦って、貴方の力を示してちょうだい」
「お、戦うのか!? いいぞ、俺もやるぞー!!」
は?
ちょっと待ってくれ。
偉大なる魔帝八皇の2人と戦うだって?
「いや……は? え? さすがに分が悪いと思うんだが」
「へぇ? 怖いんだ、ぷぷぷー! おねえちゃんがっかりだなぁ!」
クソ、このクソ悪魔め……。
俺がそんな煽りに乗る訳……
「いいですよやってやりますよ! 私と! 主様で! 貴女たちをボッコボコにしてやりますよ!」
え、えぇ……。
こうなったらもうやるしかないのか……?
「……はぁ……分かったよ。やればいいんだろやれば」
「ウフフ、そうこなくっちゃ! それじゃあ改めまして―――魔帝八皇が一人、【色欲】のアスモフィ、新たな魔王様に勝負を挑んじゃいます!」
かくして、俺とルイン対マノンとアスモフィという、明らかに戦闘力に差がある対決が決まってしまったのだった。
ブクマとかめちゃくちゃほしいの翁




