case.2 チーム分け
「ただいま〜……って……」
「なんか仲良くなってないか?」
「あ、お二人とも! お仕事ご苦労さまです! 首尾はどうですか?」
「あ、うん。大丈夫よ、問題無いわ」
俺たちが掛け声をしたすぐ後、地下牢に行っていたアスモフィさんたちが帰ってきた。
そして、俺たちの高まった団結力を感じ取ったのか、二人は少し困惑している様子だった。
しかし、そんなのはお構いなしにルインさんが二人に切り出したので、アスモフィさんは少し戸惑いながらもその問いに答えた。
「それで、会議はどうなったの?」
「あ、色々解決しました」
「あ、うん、だからね? 今後はどうするのって話よ」
「あ、はい! これからはもう一度主様捜索ミッションを実行しつつ、」
「私を筆頭とする有志たちで街を発展させて、」
「俺っちを筆頭に戦闘関係を強化して、」
「―――って感じです!」
レヴィーナさんとサタールさんが、もう今後のやりたい事を決めて、それを挙手して割り込んできた。
「お、戦闘関係ってのは面白そうだな! オレもお前と一緒にやってもいいか!?」
「おう、来い来い。ってかお前は元々誘うつもりだったしな!」
「うっしゃ! サンキュー、サタール!」
二人はハイタッチをして笑い合っていた。
戦闘狂の二人にはちょうど良い仕事なのだろうな。
そして、
「さて、それじゃあ私率いる発展組の志望者はいるかしら?」
と、サタールさんに負けじとレヴィーナさんも動き始めた。
最初は誰も手を挙げなかったが、それを見兼ねた数名がレヴィーナの下に集まった。
「私……やってみようかなって思うよ」
「あら、月夜ちゃん……。いいの、お兄ちゃんと一緒じゃなくて」
「はい、お兄ちゃんは多分……」
「―――ああ、そういうことね」
月夜とレヴィーナさんは二人で目を見合わせたあと、俺とラグマリアを見てニヨニヨと笑いながら握手していた。
……なんか嫌な感じだ。
「私も、お邪魔者みたいですから、貴女のチームに参加させてもらいますね?」
「ラージエリ……。ふふ、貴女も……そうよね、分かったわ。歓迎します!」
「ありがとう、足を引っ張らないように尽力させてもらいますね」
次はラージエリさんが、レヴィーナさんと二人でニヤニヤしながら俺とラグマリアを見て、そして最後に握手をした。
やっぱり嫌な感じだ。
「私もこのチームでいいかしらねぇ……」
と、今度はアスモフィさんが悩んでいたので、それを見たサタールとレヴィーナが同時に猛アピールを仕掛けた。
「貴女のような天才が私たちのチームには必要なのよ!」
「絶対に回復役は必要なんだ! 頼む! 後生だから俺っちたちの所へ来てくれ!」
そう、グイグイと迫りくる二人に戸惑うアスモフィさんだったが、そこへルインさんがやって来て、
「アスモフィ様、私は主様捜索組のリーダーをやろうと思うのですが、貴女もメンバーに入りませんか?」
「―――ッ。そう……ね、うん、そうよね。分かったわ、ルインちゃん。私も貴女のチームに入ります!」
「はい! よろしくお願いしますね!」
二人は、サタールさんとレヴィーナさんを全く気にしない様子で握手を交わし合っていた。
「回復役が必要なら、私がやろうかしらね」
「え……いいんスか!? ありがたいです!」
「いいのよ。私も暇だし、魔王を探すのも面倒くさいしね」
そう言って、サタールさんの《戦闘チーム》にラグエルさんが参加した。
するとそれを見たベルゼブブさんが流れるように、
「では我も此処だな」
「マジすか!? あざす!!」
サタールさんのチームに参加したのだ。
理由は、まあ……十中八九ラグエルさんが行ったからだろうな。
そしてサタールさんが率いるチームというこで、
「自分も、もちろんここに参戦しますよ」
「おう! 当たり前だろ!?」
と、クサナギさんもサタールの方へ行った。
これで、《戦闘チーム》は5人になったか。
今いるのは俺含めて15人だから、3チーム5人ずつでちょうど良い塩梅だろう。
「私の所にもあと二人くらい欲しいところね」
「それじゃあ、自分が入るッスよ」
そう言いながら手を挙げたのはスレイドさんだ。
「えっと……」
「スレイドです。ルヴェルフェ様の弟子やってます」
「あー、ルヴェルフェのね。了解了解、歓迎するわ!」
と、スレイドさんがレヴィーナさん率いる《発展チーム》に参加していく。
さらには、
「んー、じゃあボクもそこにしよっかな」
「アスモデウス様……!?」
「まあそんなかしこまらないでよ。ボクも適当にやるからさ」
「あ、ありがとうございます!」
と、アスモデウスさんが《発展チーム》に参加していった。
「となると、俺らは嬢ちゃんの組だな」
「あ、はい! そうですね!!」
俺は、背後からサタンさんに声を掛けられて咄嗟に肯定する。
残ったのはルインさん率いる《捜索チーム》だ。
メンバーは、ルインさんとアスモフィさん、そしてサタンさんと……
「貴方と、私……ね」
そう言って、ラグマリアが俺の手を引いてきた。
「ラグマリア……」
「白夜……」
俺が、ラグマリアと見つめ合って数秒。
この雰囲気を打ち壊すように、パン!と大きな音が響いた。
「はい! それじゃあチーム分けも出来たわけですし! 早速行動開始といきましょう!!」
ルインさんのその声に若干戸惑いながらも、俺たちは「おー!」と掛け声を出し、チーム毎にバラバラになって行く。
そして、ルインさんは自らのチームを集めて言った。
「さて、それでは。改めてよろしくお願いします。《魔帝八皇》が一人、主様の側近を務めている“暗殺者”のルインと申します」
ルインさんは丁寧にお辞儀をしながら、改まって自己紹介をしたので、それに応えるべく、他のチームメンバーも自己紹介を始めた。
「私も《魔帝八皇》の一人、【色欲】の罪を司る大悪魔アスモデウス様の子孫にして、最強のおねえちゃん“僧侶”のアスモフィです☆よろしくね」
「俺はサタン! あの伝説の《七つの大罪》の一人! てかリーダーだッ! よろしく頼むぜェ?」
「私はラグマリアよ。一応《天帝八聖》の一人で、【忍耐】を司る大天使ラグエル様の力を受け継いでいるわ。よろしくね」
俺以外のメンバーが全員自己紹介を終え、四人の視線が俺の元へと集まった。
「あー、えっと……まあ今更自己紹介する必要も無いと思うが、まあ流れだからな。―――俺は皇 白夜。異世界から来た、“勇者”だ。よろしく頼む」
「これで、一応自己紹介は全員分終わりましたね。さて……これからどうするか、ですが……」
「一度に大人数で行動するのもナンセンスよね」
「それもそうだな。一個ずつ確実に潰していった方が良いだろう」
「それなら、捜索メンバーを交代制で選出するのはどうですか?」
俺の自己紹介が終わるなり、早速今後の予定について話し始めた俺たち。ルインさんの提案が、少し良さげに聞こえるがどうなのだろう。
「交代制、ねぇ……」
「まあ、悪くはないと思うがな」
「ええ、私もそれでいいと思うわ」
「白夜はどう?」
ラグマリアに聞かれて俺はすぐに頷き、
「皆さんがそれでいいなら、俺は合わせますよ」
「そうですか、それでは交代制で捜索するという事で、大丈夫ですか?」
ルインさんが俺の言葉を受けて、全員に確認をする。
俺たちはそれにノータイムで頷き、肯定の意を示す。
「して、最初のメンバーはどうする?」
「そうですね……それでは、最初は私と……アスモフィ様でどうですか?」
「私は構わないわよ」
「それでは決まりという事で。他の方々はお休みください! 適当に!!」
なんて、ルインさんは適当に言い捨てて、アスモフィさんを引っ張っていった。
「さ、早く行きましょうアスモフィ様!」
「わ、分かったから引っ張らないでぇ〜!」
パタパタパタ……ダン!
と、会議室を飛び出して行ってしまった。
「んー、魔王が絡んでるだけで女ってのはあんなに変わるもんなんだな」
「そう……ですね」
「まあ、俺たちは好きにしてていいみたいだから、今は休んでようや。俺も俺で好きにしてっから、お前らもほどほどに楽しんでな〜」
そう言いながら、サタンさんも出ていってしまった。
取り残された俺とラグマリアは、互いに目を見合わせ、そして……
「「どうする……?」」
と、若干困惑気味に首を傾げてしまった。
さて……本当にどうしようか。
少し……困ったぞ。
「―――あ、あの!」
すると、ラグマリアが突然声を上げた。
「どうかしたの?」
「あ、あのね? もし、良かったら……なんだけど―――」
頬を赤く染め、そして手を複雑に絡ませながら、モジモジとして……そして、意を決したようにこちらを見つめ、こう言ってきたのだ。
「―――私と、デートしてくださいっ!!」
「え……?」
それは、突然で、大胆過ぎるデートのお誘いだった。




