case.15 末路
よよよ!
『運命に抗え。』
■ □ ■
「何だ……貴様のこの力は……ッ!」
―――コツ……コツ……
「おい! 何故黙っている……ッ!」
―――コツ……コツ…………
「何故……何故無言で近づいてくるのだ!」
―――コツ……コツッ。
「なぁ、サファイア。知ってるか?」
「な、何をだ!」
「何って、そりゃあ―――主人に逆らった奴隷の末路だよ」
「そ、それは……ッ! 知るか! ふざけるのも大概にしろ!」
「それがお前の選択か?」
―――パチンッ……
指を鳴らす音が大広間に響く。
この音を聞き、俺の後ろから一つの影が飛び出した。
「……主様の邪魔をする貴方たちは邪魔なの。―――消えて」
ルインは短剣使いだ。
その手に持った小さな短剣で、次々とサファイアの周りに居る雑魚を斬り倒してしていく。
さらに、
「―――“無双剣”」
「―――“灼熱”」
「―――“屍鬼召喚”」
勇斗の剣戟、ミミの炎魔法、真奈美の死霊魔術。
どれも、『転生勇者』と言うだけあってそれなりの威力・強さを持っている。
それらもまた、サファイアの周りの雑魚モンスター達を蹴散らしていた。
4人の攻撃により、サファイアの周りにいた雑魚モンスター達は次々と消えていく。
「チッ、やはりこの洞窟の魔物じゃ限界があったか―――ならば、ここは逃げるしか……」
「―――俺が、お前を逃がすと思ったか? “拘束”」
「なァッ……!」
飛び立って逃げようとしたサファイアを俺の魔法、“拘束”が止める。
スキル『魔道』によって、一般的に汎用魔法とされてる魔法はある程度使えるようになっていた。
まるで生まれる前から知っていたかのように、息を吐くかのように“魔法”が使えた。
さすがに、魔法の種類までは分からなかった為、ここに来るまでの間、戦闘に役立ちそうな魔法をルインやミミに聞き出しといた。
「クソ! まさか魔法が使えるようになっているとは!」
「これだけじゃないぜ。“電撃”」
魔力の線で繋がれたサファイアの足に、線伝いに雷の魔法攻撃が向かう。
「グァァァァッ!」
「いい魔法の実験台だな。次はコイツだ。“氷結”」
今度はサファイアの両翼を、氷の魔力が凍てつかせる。
「これでもう飛べないなぁ?」
「フザケやがって……ッ! あまり、我を舐めるなよッ! “竜之息吹”!」
するとサファイアは拘束されている自分の脚ごと、広範囲の炎のブレスで攻撃してきた。
しかし。
「“魔力変換”」
俺に当たるはずだった炎のブレスは、みるみるうちに消えていく。
正確に言えば、俺の身体に吸収されていく。
「何をしたんだッ!」
「“魔力変換”だよ。魔法使いの基礎中の基礎の技らしいな」
「―――“魔力変換”だと……ッ!? だ、だがあれは、自分の魔力量より下の者が放った攻撃でなければ変換出来ないはずだが―――……ッ!! まさか! 貴様、我を超えると言うのかッ!?」
「クッ……ハハ。―――つまりはそういう事だ。さぁ、改めて……そろそろ終幕といこうか」
一歩、また一歩とサファイアへ近づいていく。
「チッ、何故解けない! この“拘束”、何かおかしいぞ!」
「いいや、これっぽっちもおかしくないさ。ただこの“拘束”に、“魔力吸収”の魔法を“付与”しているだけだからな」
「―――んな……ッ! “魔力吸収”に“付与”だって……ッ! 貴様、この短時間でどれだけ強くなったと言うのだッ……!」
そう言われて、改めて実感してしまう。
本当に、あれから数時間しか経ってないんだよな。
だが、俺が強くなったのは事実だ。
だからこうして、サファイアを圧倒できているのだから。
「クッ……」
俺はサファイアに手をかざす。
「最後に、言い残す事はないか」
「ハッ、今更。何もないさ」
竜の顔で歪な笑みを浮かべるサファイア。
「……じゃあなサファイア。来世でまた会おう」
そして俺は、“魔刃”を放った。
俺の放った魔刃は5発。
2つは両腕を。
もう2つは両脚を。
―――そして残った1発は首を。
しかし、最後の1発。首に当たる直前の事だった。
「タダでは死なんさ! 我の数千年生きてきた叡智の結晶! 今ここに解放する! 魔王ルミナス! 貴様は未来永劫苦しむといいッ!」
サファイアは、手に大きな水晶玉を取り出し、そしてそれを地面に叩きつけて粉々に砕いた。
―――そしてその直後。サファイアは首を跳ね飛ばされて死んだ。
「あれは……一体―――」
そう思った、矢先の事だった。
「―――グアァァァァァァァッ!」
全身に走る、電撃を喰らったかのような痛み。
「主様ッ!」
「アァァァァァァァァッ!」
それは止まらない。
ルインが心配そうに駆け寄ってくるが、ルインにはどうしようもない。
「グアッ!」
しばらくして、弾き飛ばされるような痛みで、長らく続いていた痛みが消え、そして同時に遥か後方へ吹き飛ばされた。
「一体……何だったん……だよ……!」
痛みを堪え、そして同時に困惑もした。
(何が……起きた?! とりあえず、まずは状況整理からだ)
俺は思い立って、ステータスを確認した。
するとそこには―――
◆
【ルミナス】
性別 男
種族 半神
職業 魔王
レベル 3
スキル 『支配』
『転生』/呪い
技能 魔刃
持ち物 無し
称号 『魔を突き進む者』
支配 ・ルイン
・橘勇斗
・水瀬美怜
・滝真奈美
攻撃力 160
防御力 140
魔力 720
▶スキル『召喚』『守護』『憤怒』『魔道』が消去されました。
▶技能“破滅の願い”が消去されました。
▶スキルポイントが消滅しました。
◆
何だ……これは……?
一体……何をされたんだ、俺。
一度状況を整理しよう。
まず分かることは、メッセージが出ている通り、スキルが消去されている事だ。
(職業固有スキルと、“呪い”状態のスキルだけ残った感じだな……)
それに、“破滅の願い”や“スキルポイント”が消されて―――
(スキルポイントが“消滅”した……?)
待てよ……?
その書き方だと、スキルポイントそのものが消えたみたいな―――
▶スキルポイントの消滅―――ERROR ERROR ERROR ERROR ERROR
システム側も、エラー起こしちゃってるじゃんか……。
ってことは、マジでスキルポイントシステムが消えたってことなのか……?
それなら、ラッキーどころの話じゃないが……。
消えたスキルと、消えたスキルアップの概念……まあ、差し引きゼロ―――ってよりかは、今後もスキルを手に入れられる可能性を考慮すると、むしろプラスのような……
まあ、この話はもういいか。
俺が得をしたって事で、終わりにしよう。
さて、話を戻すが……
これら以外の変化は、特に無いようだった。
(一体、どういう事なんだ……?)
サファイアのヤツ、一体何でこんな事を―――
「主様、大丈夫ですか?」
「ん? あ、ああ、なんとかな……」
それにしても、まさかここまで上手く行くとは思わなかったな。
マジで、この『転生』っていうスキル、有能だ。
「主様。この後はどうなされますか?」
「ん? ……あぁー、そうだよなぁ……」
何も考えてなかったな。
別に、行きたい場所なんて分からないし、そもそも無いし。
「もし、向かう場所が無いのであれば……」
「何処か、行きたい場所があるのか?」
「はい。それは―――」
あ、そうだ。
俺も一つだけやりたい事を思いついた―――
「―――今の、魔族が住む世界に……行きませんか?」
―――レベル上げ、したいなぁ……。
すいません!
こっちの更新は金曜日までお休みさせてください!色々と方がついたらまた再開しますので!
次回更新日 金曜日24時〜(つまり土曜日になった瞬間)




