表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/185

case.13 リスタート

淡々と人を殺す様はまるで、魔王だった―――



『魔王に“死”は訪れない。未来永劫な。』






■ □ ■





 ―――目を開けると、そこは森だった。



 ……一体どれだけ眠っていたのだろう。

 その答えは分からないけど、ちゃんと記憶は残ってる。


 さっきまでの俺の身に起きた事はよく覚えている。



(これが、スキル『転生リスタート』の力……なのか)



 ひとまず、俺は辺りを確認する。



 まず、周りは木、木、木。

 さっきも言ったが、俺はどうやら森にいるようだった。



 森、という事はルインと一緒に洞窟を出た後の話になるのか。



(……ん? それじゃあルインは何処に居るんだ?)



 どうやら近くには居ないようだ。



 ……と思ったのだが、ふと足元を見ると―――



「う……うーん……?」


「うおっ!」



 そこには、地面でぐっすり眠るルインの姿があった。



「―――ルイン!?」


「うにゅ……あるじはまぁ……?」



 寝ぼけながら起き上がったルインは、寝ぼけた声で喋った。


 俺はそんなルインを見ながら、ホッと一安心しつつも、少しだけ不安な気持ちになった。



「……う……ん? ―――ハッ、主様!」


「えっと……大丈夫か?」



 手を差し伸べ、ルインを立ち上がらせる。



「えっと……ありがとうございます」


「いや、気にしないでくれ。……って、それよりもルイン。俺たちが今何をしているところか、分かるか?」


「はい……? えっと……あっ、そうです! 私たちは今あの洞窟を出て少し歩いたところで、目的は情報収集だったかと!」


「そうか。……ありがとう」



(洞窟を出た直後……と、いうことは)





 ―――木陰からあの獣人が出てくるあたりか。





(記憶を引き継いでる、ってのは強いよな……。こういうのには何か代償が付きものな気がするが……)




「主様? どうなされたのですか?」


「ああ、いや。何でもない。そろそろ行くとするか」



 この先起こることは知っているから、全て先読みして行動しないと。


 そして俺たちは歩き出す。


 

「それにしても、さっきの主様のお言葉、とってもかっこよかったです!」


「さっきの、俺の言葉……?」


「はい! あの、俺は魔王になる! ってやつです!」


「あ、あー、そこか……」



 ほんとに洞窟出てすぐの辺りだったんだな。



「?」



 ルインが何やら不思議そうな顔して、覗き込んでいるので、軽く誤魔化した。



「ああ、何でもないぞ。安心しておけ、俺が救ってやるからな」


「はい!」




 と、そこで見覚えのある地点にやって来た。


 

(確か……ここら辺だったな)



 なんて考えていると、狙ったかのように事件は起こった。



「―――ま、魔族だ! 魔族が出たぞぉぉ! クソ、クソが! 死ね! 死ね! 魔族なんて死んじまえ!」



(フッ……予想通りだな)



 ここで何本も矢が飛んできて、ルインがそれを喰らってしまう……んだったよな。


 あの時の俺は咄嗟に動くことは出来なかったが、今の俺はもう違う。



「―――『守護ガーディアン』」



 静かに、俺はスキルを発動した。


 発動したスキルは、ルインを守護防壁で包む。



「ひゃっ!? え、ええ!?」


「―――チッ、気づかれてたか……! クソがァァ!」



 突然襲われたことに驚くルインと、防がれたことに動揺し、突撃してきた獣人。


 だが、俺は一切動揺せず動き出す。



「ルイン、落ち着け。俺が守るから安心して見てろ」


「はっ、ひゃい!」



 獣人と相対するように駆け出す。



「死ねぇぇぇぇぇぇ!」


「吹き飛べ。“魔刃”」



 魔力による斬撃。

 俺の放った魔刃は、獣人の右腕を切り飛ばした。



「ウアァァァァァァ! 痛い痛いいだぃぃいい!」



 痛がる獣人を横目に、俺はルインに問う。



「なぁルイン。何か攻撃系のスキルで使いやすいものはないか?」


「こ、攻撃家のスキルですか? えっと、それなら……『大魔道マジックロード』とかですかね」


「マジックロード……?」


「はい、ある程度の範囲の魔法を、無詠唱で唱えられるようになるスキルなのですが……」



 何それ、カッコいいな。

 魔法が使えるのは、ちょっとテンション上がるぞ。


 

「―――うん、採用だ。ありがとな、ルイン」



 だが俺は、興奮する気持ちを抑えて、あくまでも冷静にそう呟いた。



「いえいえ! ですが、採用……とは?」


「まあ見ていろ」



 そうルインに言った俺は空を見上げ、そのまま口を開いた。 

 



「なぁ、居るんだろ? ―――“神サマ”」



 返事はない。



「はぁ……なら申し訳ないが実力行使だ。俺の前に屈しろ。『支配ルール』」



▶スキル『支配ルール』を発動します。



 何処に居るかも分からない神に向けてスキル『支配』を使う。



 だが、もちろん何も反応はない。




(ふむ……やはりこういう事ではないか……。もしかしたら、と思ったのだがな。―――思い出せ……俺。俺は今までどうやってスキルを手に入れられたんだ……?)




憤怒レイジ』を手に入れた時は、この獣人に対する怒りで満ちた時に。


守護ガーディアン』を手に入れた時は、ルインを守りたいという思いが強くなった時に。



 じゃあ『転生リスタート』は……?

 確か、ルインが死んで……怒りだけじゃなくて悲しみとか、そういう色んな感情がごちゃまぜになってた時に……だったか。




 そして俺は一つの可能性に辿り着いた。……というか、一つの共通点に気付いた。



(どれも、感情がピークの時に獲得出来てるのか)



 つまり、“対象ルイン”に対する感情が強くなった時、スキルは自動的に獲得出来る、ってことか?



 ―――物は試しだ。


 

 ……とも思ったが、今はそこまで感情を豊かにする事が出来るような状況では無いな。



「……まあいい。魔法が無くても貴様は殺せる」



 仕方なく諦めた俺は、


「ヒイッ……! 何なんだよ、お前ら!」


「俺は魔王。―――魔王ルミナスだ。死ぬ前に覚えておきな」


「しっ、死にたく―――」


「―――“魔刃”」



 言い終わる前に技を放つ。


 首をスパンと切断し、獣人を迷いなく殺した。



「主様……」


「行くぞ」



 次は、あの悪魔のような“転生勇者”共だ。

ブクマ、高評価ぜひぜひお願いしますね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ