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case.4 破壊の悪魔

全部壊せばいいんですよ





「―――“破壊デリート”ッ!!!」



 フラウロスの魔力の籠もった高速の突き。

 それをムルは間一髪で躱す。



「まだまだァッ! “破壊ブレイク”ッ!」



 続けて地面に拳を打ち込み、そこから衝撃波を巻き起こしてきた。

 しかしそれもムルは飛んで避ける。



「チイッ! 逃げるのだけはいっちょ前にウメェな、お前!」


「お褒めに預かり光栄だわ……ッ!」



 言いながらムルは水属性の魔力弾を撃ち出す。


 そして同時に、この戦況をどう切り抜けるかを考える。

 目の前には三悪魔と呼ばれたバランスのいいパーティーに加え、無限に湧き出てくるルシファーの配下の上級悪魔達が居る。


 三悪魔を一人で相手するのに精一杯なのに、それに雑魚の大軍を相手にするとなると、中々厳しい物になってくる。



 ……この状況を突破する策が思いつかなかった訳ではない。

 だが、それが成功するかどうかは、この目の前の脳筋悪魔、フラウロスにかかっている。



「一か八か……ね!」



 ムルはそう思い駆け出した。



 目の前の……悪魔の大軍の方へ・・・・・・・・



「なッ……バカかテメェ! そんなに死に急ぎてぇなら俺らが殺してやるからよォッ!」



 ―――かかった……!

 ムルはニヤリと微笑んだ。


 そのまま危険を顧みず、悪魔の大軍の中へと入り込んでいく。

 もちろん、攻撃を仕掛けてきた悪魔から順番に排除しているが、なるべく早く反対側へと駆け抜ける為に、攻撃は最小で収めている。



「チッ、邪魔だ雑魚がッ! どけどけどけェェェッ!」



 そしてフラウロスは、ムルの考えていた作戦通り突っ込んで来る。



「ちょ、フラウロスッ! 待ちなさ―――」



 フルーレティの静止も聞かず、フラウロスは突撃する。



 ―――悪魔の大軍を薙ぎ払いながら。



 そう、脳筋なフラウロスの性格を利用した作戦だ。

 悪魔の発生源はムルの元居た位置の反対側。


 だから反対側へ走った。


 そこにフラウロスを誘導できれば、その発生源を邪魔に思い、潰してくれると思ったからだ。



 そして、そのムルの狙い通り―――



「チッ、邪魔だ邪魔だ邪魔だァァァァッ! ヤツを殺すのはこの俺様だァァァァァッ!」



 フラウロスは、悪魔の発生源である魔法陣を粉々に破壊した。



「あー……」


「バカだね」



 これにはフルーレティとメフィストフェレスも目も当てられないといった様子だった。


 しかしだ。

 これはムルにとって有利な状況。


 つい先程まで大量にいた悪魔の軍勢は消え去り、残るはその残党と三悪魔のみ。


 これならまだ勝機はある。


 作戦が成功したことを内心ほくそ笑みながら、再び三悪魔へと向き直る。



「ヘッ、これで邪魔者は居なくなったッ! 大人しく俺にやられなァァッ!」



 またもやフラウロスは突っ込んでくる。

 先程から攻撃してくるのはフラウロスばかりだが、何かそういう約束でもあるのだろうか。


 フルーレティとメフィストフェレスが加勢してくる様子は伺えない。



「まあ……その方が助かるんだけどねッ!」



 繰り出される拳を避けながら、ムルは舞った。



雷舞らいぶ はちの型『閃光』ッ!!!」



 扇から一閃の雷光がフラウロスを襲う。

 しかし、



「無駄よォッ! “破壊デリート”ッ!」



 ただの突きで、それを打ち消してしまった。



「何……その力」


「アァ? 俺のこの力かァ? これは“破壊”の魔力。つまりそういうことだァァァッ!」



 説明になっていない説明に戸惑いながらも、ムルは思考する。

 攻撃も防御も優秀なフラウロスに、どうやって勝てるのか、と。


 勝ち筋としては、ムルの扇“海舞かいぶ”を使うこと。

 しかし、それは必殺技だ。


 三悪魔の第一戦目でそれを使うのはどうだろうか。

 なら、この馬鹿脳筋は軽く倒さないといけない。



「喰らえやァッ! “破壊バースト”ッ!!!」



 今度は魔力弾を放ってきた。


 ただの魔力弾……に見えるが……一応避けた方がいいだろう。

 そう思い、ムルは避ける。


 だが、そこへフラウロスは現れた。



「おらァッ! んなの予測済みだッ! “破壊デストロイ”ッ!!!」


「―――うぁぁっ!!」



 咄嗟のことで回避出来なかったムルは、フラウロスの強力な一撃を受け、地面へと叩きつけられてしまう。



「オラオラ、どうしたよ……それでテメェの本気なのかァッ!?」


「煩いわね……ただアンタにやられた訳じゃないのよ……! 砕きなさいッ!」


「ァ……? なっ!」



 フラウロスは上を見て驚いた。



 ―――隕石だ。



 空から隕石が落ちてきている。


 そう、ムルはただやられていた訳じゃなかった。

 回避行動を取りながら、新たな舞を繰り広げていたのだ。



「―――炎舞えんぶ 参ノ型『爆撃』」



 さらに、フラウロスが驚いた一瞬の隙を突いてムルは態勢を立て直し、さらに舞を繰り広げる。



「燃え盛りなさい。炎舞 肆ノ型『火ノ海ひのうみ』ッ!」



 すると、フラウロスの周りは一瞬にして文字通り火の海へと変わった。

 さらに、



「―――氷舞ひょうぶ 壱ノ型『氷牢ひょうろう』ッ!!!」



 氷で出来た牢獄が、フラウロスを囲んだ。



 そう、これこそムルの十八番。

 かつて乳牛アスモフィと戦った時にも使った技だ。



「チイッ、厄介だなッ! 全部纏めて壊して―――」


「させません。氷舞 弐ノ型『凍結とうけつ』」


「なッ……!」



 フラウロスは、“破壊”の魔力を込めて全てを破壊しようとしたが、その拳はムルの氷の舞によって止められてしまう。


 拳と、脚が氷漬けにされたのだ。



「クソがッ! このまま隕石を喰らえってのかッ!?」


「アハッ……大人しくしててくださいね」


「ハァ……?」



 そうこうしている間も空からは着実に隕石が近づいてきている。



「チッ、そろそろ―――」



 そう、フラウロスが呟いた時だった。




「―――おい、時間だ。そろそろ本気を出せ」




(ッ……!?)



 ルシファーの、声。

 これは恐らく、フラウロスに向けて放たれた言葉だろう。


 そう、考えていた直後だった。



「―――へエッ……本気出していいってよォ……? なら、お言葉に甘えて本気を出させてもらおうかねッ!」



 そう言ってフラウロスは手足の氷を、さも当然のように砕いた。そしてそのまま空へと飛び上がり、ワンパンで隕石を砕いた。



「そらッ! 遅いのが致命的だったな!」


「まだよッ!」



 全てを破壊されたが、まだムルは諦めていなかった。



「ほう。まだやるかッ!! 中々度胸のある娘だッ!」


「氷舞 ろくノ型『氷滝こおりだき』ッ!」



 フラウロスはムルの攻撃に備え、構えを取る。


 そしてその直後、地面から突き出てくる氷の柱が、滝のようになるまで、逆流して形成されていく。

 しかしそれはフラウロスには当たらなかった。



「フンッ! “破壊ブレイク”ッ!!!」



 何故なら、現れた瞬間にフラウロスがそれを破壊したからだ。

 破壊の魔力は伊達ではない。

 

 何をしてもフラウロスによって破壊されてしまう。


 何か、打開策はないのだろうか。



「クハハ! 形あるものならば・・・・・・・・何でも壊せる・・・・・・この我に、貴様は勝つことが出来ないッ! さぁっ!これで終わりだッ!!!」



 今、なんと言ったのか。

ムルは、考えた。


 今のフラウロスの言葉。


 “形あるものならば何でも壊せる”。

 この言葉を裏返せば、或いは打開策になるかもしれない、と。


 つまり、“形あるもの”の逆、“形なきもの”で攻撃すれば良いのだ。

 固形ではなく、液体や気体で。



 ムルは再びニヤリと笑った。

 そしてこう一言。



「―――終わるのはどちらかしらね。さぁ、ここからが本番よ。覚悟しなさい」


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