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case.2 路地裏のお助けキャラ

何度でも災難は降りかかる。



「さて、私たちはどうしましょうか」


「そうですね……」


「私は、二人にお任せしますよ!」



 困った。

 主様捜索ミッションが開始したのはいいけど、何処に行くかが決まらない。



「あ、そうだ」



 おっと、白夜様が何かに気づいたようです。



「さっきの話に出てきた、“死国”ってとこに行ってみませんか?」



 死国……《死国ディブリビアゼ》ですね。

 今のところ、そこが一番主様の居る可能性が高いですから……行ってみてもいいかもしれません。



「そうですね……とりあえず、行ってみますか?」


「はい! それに、もしかしたらその国で、《魔帝八皇》の最後の一人に出会えるかもしれないんですよね?」


「あ、そうみたいですね。マノン様曰く……【怠惰】の罪の継承者、ルヴェルフェ様がいらっしゃるとか」


「それなら、やっぱりその国から調べてみましょう! 今ならまだ朝ですし、設定した刻限までにはまだまだ時間はありますから!」


「そうですね、分かりました! それでは早速転移しましょうか!」



 私は頷きながら、転移の魔法を使用する。


 そう、簡単に上手くいくとは思っていないけど、もしかしたら普通にいるかもしれないし……。

 そんな淡い期待を胸に、私たちは転移の光に包まれた。



 太陽はまだまだ天に燦々と輝いている。









「ここが、ディブリビアゼ……」



 私は到着後、開口一番にそう言った。



「なんだか、禍々しいというか何というか……」


「ちょっと不気味です」



 辺りに漂う……これは瘴気だろうか……?

 とにかく暗い。そして漂う不気味な霧が、さらに恐怖心を煽る。


 転移してきたのは町中、その路地裏だ。

 目の前に見える通りには、人……いや、小人族ドワーフが何人か歩いていた。


 ただ、数えられるくらいしか人通りは無く、とにかくそれも相まって不気味だった。



「ひとまず……これを着てください」



 そう言って私は、顔を隠す用にとローブを二人に渡した。

 二人は、それを受け取ってすぐに着た。

 私もそれを見て、すぐに自分も着ることに。



「どこから探しましょうか……宛てが何もないんじゃ、探しようが無さそうですけど」


「おにいちゃん、こういう時は何かお助けキャラみたいなのがいるはずでしょ?」



 妹の月夜様が、よく分からないことを言っている。

 “お助けキャラ”…………とは?



「ああ、そうだな。だが、そう都合良くいるもんか……?」


「あの、失礼ですがそれって―――」



 私が、その“お助けキャラ”というものに興味を示した、その時だった。



 ―――私は、意外にもその言葉の意味をすぐ知ることになる。






「―――こんな路地裏で、どうされたんスか」





 一人の小人ドワーフが私たちに声をかけてきた。

 その人は、私たちと同じような黒いローブを身に纏い、赤い目でこちらを見つめいる。



「あ……の」



 少し驚いてしまって、言葉が続かなかった私を見かねたのか、その人は自分の頭をさすりながらこう言った。



「あー、すまねッス。何かお困りだったみたいだったんで、お節介とは分かってても声かけちまったんスよ」


「そ、そうでしたか! こちらこそすいません、取り乱してしまって」



 私はその人にペコペコと礼をした。

 すると、



「ああいいっていいって、小人ドワーフってのはこういうお節介焼きが多い種族なモンで。あ、申し遅れたッス。自分はスレイドって言うモンです」



 と、ご丁寧に自己紹介をして下さった。

 私はそのスレイドさんの誠意に応えるべく、お返しに自己紹介をした。



「私はルインと申します。訳あって、お仕えしている主様の捜索をしています」


「主様……ッスか。その人はどんな人か、分かるッスか?」


「えっと……主様は……」



 私は、スレイドさんに思いついたことからどんどんと言っていった。

 途中で、皇様も自己紹介をして、軽く打ち解けられたようだった。



「ほーん……いい奴なのか悪い奴なのか……。ま、その人がルインの嬢ちゃんにとって大切な人ってのは伝わってきたッスよ」


「えっ? あ、いや……別にそれほどでも……」



 と、つい否定してしまったが、一瞬で気づく。

 これでは私が主様を否定してるみたいじゃないか。



(ダメよルイン……私は主様が……一番―――)



「まぁ、そんなに大切な人なら……ちゃんと見つけてやらねぇとな。俺のお師匠サマに聞ければ一発で分かると思うんだが……」


「お師匠様、ですか」


「ああ、偉大なる《魔帝八皇》の一人。その名もルヴェルフェ―――」




「「「ルヴェルフェ!?!?」」」




 その瞬間、私と皇兄妹の声がシンクロした。



「お、おう、そうッスよ」


「まさか……こんなに早く辿り着くとは」


「都合いいなぁ……異世界」


「ホントにねぇ……」



 私も含め皆驚いて、溜息混じりの声が出ていた。

 これが、先程皇兄妹の言っていた“お助けキャラ”というやつなのでしょう。



「でも……すまねぇな。お師匠は数日前から姿を消しちまって」


「え……?」


「『天啓が降りた』って言ってたな……まさかその言葉を残して、翌日に消えちまうとは思わなかったが……」



 なんだろう、既視感が……。



「なんだろう、既視感が……」



 私の心の声と、月夜様の声がシンクロした。

 なんだろう、不思議と彼女とは気が合う気がする。



「まあ、俺は俺なりに探してみるッス。師匠の捜索と平行して、だから少しだけになっちまいますけど」


「いいんですか!?」


「おうよ! これも何かの縁ってことで。こういう時は助け合いの精神が大事、って誰かも言ってたッスよ!」



 スレイド様、すごいいい人だ!

 ラグエル様より天使な気がする!


 「それじゃあッス〜」とプラプラ手を振って、スレイドさんは歩き去って行く。



「それにしても、すごい良い人だったな」


「ローブ被ってたから、ちょっと不気味だったけどね」



 私は、皇兄妹のその会話を聞きながら思考した。


 スレイドさんのこともそうだが、ルヴェルフェ様までもが消息を絶ったとは。

 もしこの情報を主様が先に入手していれば、主様はもうこの国には居ない可能性が出てくる。



 ―――私が主様ならどうするか。



 さっきからずっと考えていたのだが、少しだけ答えが見えてきた気がする。



 私が主様なら、その情報を手に入れた場合確実にこの国を出ていく。

 そもそも、だ。



 《魔帝八皇》《天帝八聖》《十二神将》《七つの美徳》《七つの大罪》の5つの組の中で、一番集めやすそう……まあ、消去法で考えてもそうなるだろうが、そう言えるのは《魔帝八皇》、もしくは《天帝八聖》のどちらかだろう。


 まあ、そもそもの話。

 主様がそう言った強大な存在に接触することが無い目的だった場合、私たちの行動は全て破綻するのですが。



 話を戻すと、その二つの選択肢なら、まず私なら《魔帝八皇》から集める。

 理由は大きく二つ。


 まず一つ目に、そもそも《魔帝八皇》という存在が魔王軍のものだから、だ。

 そして二つ目が、現在の欠けているメンバーが、残り一人……つまりルヴェルフェ様のみとなっているからだ。


 それなら、まずは魔王軍を……《魔帝八皇》を完成させるために、ルヴェルフェ様を探すだろう。



 と、なればだ。

 恐らく現在の主様の目的はそれで間違いないだろう。


 だったら私たちも同じ目的を持てば……自然と主様を発見できる確率も上がる筈。



 よし、見えてきました。

 ―――そうと決まれば早速ルヴェルフェ様を探そう。




「お二人とも! 色々考えたのですが、私たちのこれからすべき事が見え―――」



 そう、意気込んで振り返った時だった。



 幸福が訪れると、その分不幸も訪れる訳で。






「―――あら、何処へ行くつもりなのかしら。この【忍耐】のラグマリア様から逃げられると思って?」






 ―――《天帝八聖》……。

 私の頭の中には自然とその言葉が浮かんでいた。



「誰、ですか?」



 転移して、まだ路地裏から一歩も動いていないというのに、次から次へと色々起こりすぎだ。

 頭では分かっていても、一応彼女に聞いておいた。



「私? 私は《天帝八聖》の【忍耐】を司る者。大天使ラグエル様の子孫で、ラグマリアって言うの。以後お見知りおきを」



 金髪で、白い羽を2枚生やしたその美少女は、白い衣を身に纏っており、そのひらひらのレースになっているスカート部分を持ちながら丁寧なお辞儀をした。


 その丁寧な作法に驚きながらも、私は冷静を装って答える。



「その、天帝八聖とやらが私たちに何の用ですか?」



 ―――目的だ。それが知りたい。




 まあ、そんなの……彼女の口調から大方想像はつく。

 どうせこの状況……いつものだろう。




「―――目的? そんなの……貴方たち魔王軍を殺すことよ?」



 ほら……来た。

 絶対敵だと思ったもん。 



(私に、できるかな……?)



 私は、懐から主様に貰った神器、“からす”と“双月”を取り出して構えながら、そういう不安感に駆られるのだった。

 






 ―――力が無いと……ッ!




 ―――誰か、俺に力を……ッ!

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