新一とカオスとゴッドと競馬場(6)
「よっしゃあ!」
真琴と新一とゴッドは、一斉に大きく声を上げる。
真琴はその場でぴょんぴょん飛び跳ねる。真琴のふくよかな胸がぽよぽよと振るえる。しかし、新一とゴッドは喜ぶことに夢中である。
「やったじゃんカオス。いくら当たったんだよ」と新一が言う。
「えーと、20.3倍って書いていますから。10150円ですかね。9000円くらいのプラスですよ」
カオスは計算して、自分自身で驚く。
「やったじゃん、カオス。みんなで力を合わせて計算した結果だよ」
真琴はカオスの肩をたたく。
「ですよね。そういえば、秋山さん。決め台詞の出番ですよ」とカオス。
「あ? それは、ちょっと待って。なんで私が決め台詞をやんなきゃいけないのよ。とりあえず私は、今、自分の馬券は外したのよ。当たったのはカオスでしょ。まー、みんなで相談して計算したんだけど」
真琴は急に真顔になる。
「じゃあ、僕がやりますね。コホン、コホン」
カオスは咳払いをする
「僕の計算に狂いはない。馬はサイコロを振らない。そう僕は、ディーポ・カオス。カオスな男!」
カオスはメガネを取りながらその場でくるりと一回転した。
「なんだ、それ? カオス。まじカオスだぜ」
ゴッドは腹を抱えて笑っていた。
真琴と新一も手を叩いて笑った。
真琴は家に帰ると、ベッドに仰向けに寝転んだ。ふくよかな脂肪のかたまりが真琴の胸の上でぽよぽよと振動する。
「あれ? そうか、私は負けたのか。あぶねーあぶねー、勘違いするところだった」
真琴は、ハッと目を見開く。カオスの当たりで上機嫌になっていたが、自分の収支はマイナスである。久しぶりにナリタブラリアーンに裏切られたのだ。
『真琴のレース収支;マイナス6300円』




