閑話4:子に尾を踏まれた虎は
本日、一話目の投稿になります。
※父目線の話ですが、一般に凄腕と言われる冒険者の能力範例も兼ねています。
今オレは、冒険者ギルドの一室に設置されている魔法装置の前に立っている。
まさかカインズのやつが、ここまで早く力を付けてくるとは……。
息子は、ここのところ、毎朝のように、オレを相手にして槍の鍛練をしている。
しかも気を抜くと、危なく一本取られそうなほどの一撃を、ちょくちょく放ってくるようになってきた。
技量的には、実はまだまだなのだが、あれほど闘志を剥き出しにして、向かってくると、こちらの注意も防御に向いてしまう。
何くそ、とばかりに反撃すると、大抵はオレが一本を取って仕切り直しになるのだが、たまに滅茶苦茶な反応速度を見せることが有り、そんな時に放たれる迎撃の一撃が、恐ろしいほど鋭い。
そういう時は、敢えて貰ってやっている。
闘志を宿した戦士は強い。
良い傾向なので是非とも、このまま伸ばしてやりたいものだ。
精神状態の変化を切っ掛けに、自分自身の壁を破ることに繋がるというのは、戦士には良くある話だ。
オレ達と組んだばかりの時の、ソホンが良い例だった。
同じような境遇の農村出身組の中で、ソホンだけが頭一つ抜け出したのは、ヤツが前にいたパーティが壊滅してからだ。
そんな目に遭ったら、普通なら田舎に引っ込むか、自堕落な生活ぶりをして駄目になるのだが、ヤツは違った。
もの狂いのように、鍛練に励み、単独で魔物を倒しまくり、ぐんぐん力を伸ばして、若い前衛職の中では、短い間に比較対象さえ居なくなるほどだった。
その姿は見ていて危ういものを感じさせた。
ヤツをうちのパーティに引き込んだのは、ナシュトさんだ。
ナシュトさんは『あれほどの前衛をソロにしとくのは惜しい』などと言っていたが、本当は純粋な若造が壊れていくのを、心配していたのだろう。
カインズの変化は、勿論だがソホンとは違う理由だろう。
試験中の同年代の受験生に、よほど優秀なヤツが居たのだろうか?
だが、それにしちゃ気合いが入り過ぎだ。
……さては女か?
こないだソホンが、家に引っ越し祝いを持ってきた時に、何やら二人でヒソヒソ話してたが、何か関係あるのかね?
悪い遊びでも教えてなけりゃ良いんだが……。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
オレが考え事をしているうちに、ギルド職員に頼んでいたステータスの代筆が終わったようだ。
『名称:イングラム』
『種族:エルフ』
『年齢:39歳』
『職業:冒険者(Bクラス)』
『LV87』
《能力》
生命力:996
魔力:3028
筋力:657
体力:719
知力:682
敏捷:1393
器用:2215
精神:1584
統率:512
《スキル》
【ジョブスキル】
「レンジャー:56」
「シャーマン:58」
【武器スキル】
「弓術:65」
「槍術:48」
「短剣術:22」
【戦闘スキル】
「聴覚探知:43」
「精神集中:37」
「魔法耐性:28」
「状態異常耐性:19」
【魔法スキル】
「魔力感知:61」
「魔力操作:64」
「魔力回復速度上昇:55」
「魔力消費減少:48」
「高速詠唱:53」
「詠唱短縮:46」
「風魔法:12」
「生活魔法:27」
「精霊魔法:66」
「精霊の加護:上級」
【汎用スキル】
「演奏:18」
「歌唱:13」
「木工:16」
「釣り:7」
「算術:11」
「罠作成:48」
「野草知識:46」
「史学知識:9」
「魔物知識:51」
「御者技術:20」
「騎乗技術:18」
当たり前かも知れないが、田舎の安穏とした生活では、能力やスキル等は伸びない。
たとえ自己鍛練を欠かさない者でも、現状維持か微増というのが関の山というところだろうか。
オレも例に漏れず、ほとんど引退時と変わっていない。
エルフという種族の特性が、老化を遅らせてくれるため、能力の減退こそ無かったが、逆に言えば、能力が上昇していくほどの鍛練も、出来てはいなかったようだ。
やはり、潜らねばならない。
帝国領内で最大の迷宮へ。
迷宮都市へ向かうとならば、帝都は離れねばならない。
日帰り可能な帝都近郊のダンジョンでは、正直オレには物足りない。
それに、日銭稼ぎの冒険者と臨時に組んでいても、得られるものは極めて少ない。
帝都に来てからの二週間ほどで、その事実は痛いほど実感出来ていた。
迷宮都市には今、ジャクスイが居ると聞いた。
仲間には、そこそこの腕利きを揃えているようだが、ちょうど学院の講師になった者がいて、後衛が不足していると聞く。
ここは素直に甘えてしまおう。
ヤツにとっても悪い話では無いはずだ。
家への道すがら、オレは決意を固めると、帰宅を取り止め、古い友人が切り盛りする孤児院へと足を向けた。
オレが不在中の息子のことを頼むのに、彼以上の適任者はいない。
彼なら快諾してくれるだろう。
問題は、その後だ。
結局、孤児院を後にし我が家に辿り着いても、アマリアに何て言ったら良いのかは、オレには一向に良い案が浮かばないままだった。
お読み頂きまして、ありがとうございます。
本日は、もう一話投稿予定です。
いつの間にか気が付いたら、週間ランキング20位前後にいました。
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