中編
いきあたりばったり。
目が覚めると、ぼんやり眼でガラケーを操作し、旅の道中を撮った桜や景色などの写真をぼんやり眺め、友人や家族に厳選したものを写メした。
早朝の誰もいない頃を見計らって、私はひっそりとラブホを発った。
コンビニでサンドイッチと缶コーヒーを買い、車の中で食する。
旅は引き続き、日本海側の海岸線の道を北上していく。
福井を抜け石川県で兼六園を観たが、ろくに観光もせずに運転を続け、夕方に富山県へと入った。
ふと、頭の中にある情報が過ぎった。
(富山県に全国最大級のパチ屋がある)
ということを、思いだしたお店の名前を、カーナビで検索し一路向かった。
店に着いた頃には、もう、とっぷりと陽が暮れあたりは真っ暗になっていた。
そこはノースランドというお店である。
お店に入ると、その圧倒的な広さに驚かされる。
広々としたホールには多くのパチンコやスロットの機種が並んでいる。
かといって、島(パチンコ台の並び、列)は雑然としてなく、洗練されたおしゃれな大人な空間といった感じを覚えた。
「さあやるか」
私はまずパチンコ台から「CR花満開極」を打ち始めた。
美しい液晶の画面に桜が映し出される。天女のほのかが来れば激熱(激しくアツい、当たりへと直結しやすい)となる。
私の台に、ついに待ちに待ったほのかが降臨する。「さくら」の曲に合わせて、ほのかがしなやかな手つきで図柄を消していく。当たり図柄の手前で動きが止まり、数秒の間のち、ほのかが腕を動かしたら大当たり。
「やった!」
私のほのか(笑)は、無事大当たりを射止めた。しかし、図柄は偶数、このままでは連チャンの見込みはない。
確変昇格の演出はあるも図柄の昇格はなく、時短100回を華麗にスルーした。
私は出玉を飲ませて立ちあがった。
(次だ)
パチンコ雑誌で知っていたが、打ったことがない「CR名画」など打ち散らかし、甘い汁を覚えたパチスロコーナーで大液晶画面の台「ガメラ」に座るも、訳が分からず、投資するのが怖くなり、そそくさとお店を後にした。
コンビニの駐車場で後悔しながら一夜を過ごす。
当然、そこは車が行き来し、あまり眠れるわけでもなく早々に車を走らせることになった。
(そうだ平泉に行こう)
ふと、そう思った自分がいた。新潟、山形そこからどうやって、岩手に行ったか覚えていないが、翌日の早朝に平泉についた。
目的は中尊寺金色堂を観る。
ふらつく身体で、坂道をのぼり辿り着いた金色堂はマジで良かった。
・・・どうって?今は脳内再生されんのよ。ただ良かったってのは覚えている。
ここで、なんちゃって名物わんこそば(わんこしてないから)をいただき、遠野に行ってみることにする。
私は、民俗学的で、いいところ的なイメージを持っていたので、そののどかな街並みを歩き、博物館などを見学した。
・・・なにしろ駆け足で、回った旅なので、観光で立ち寄った時間が本当に短くて、今思えばもう少し堪能しておけばよかったと・・・はい。
このあたりで、気持ちは北海道に行ってやるというテンションになってきた。
(よし、青森から青函トンネルで北海道に行こう!)
漠然とそう思った私は、青森を目指す。
あるコンビニに立ち寄ったさいに、
「青函トンネルは車で行けます?」
と聞いたら、バイトの方がはあ?という顔をされた。そうだそうなのである電車でしかいけないのである。
これは青森一般常識なのだろうが、九州男の私にとっては、驚愕の事実なのであった。
竜飛岬を前に佇み、ただひたすらに早く聞いとけばと・・・。
で、算段を考え直し、フェリーで北海道上陸を目指すことにする。
安く済ませようと大間の方へ、ひいこらと到着・・・しかしっ!シーズン・オフだったか整備中等の理由でフェリーが停止していた。
(くそう)
再び、青森へと引き返し、ようやく青函フェリーで函館への上陸を目指す。
もうすでに夜になっていた。
つづく。
北海道はでっかいどう。




