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乙女ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、中身はアホのこのままでした【連載版】  作者: 空飛ぶひよこ


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アホのことヒロイン2

「な、なんで、要ここにいるの!? 今日学園長に呼ばれて、一緒にお昼食べれないって言ってたじゃん!」


「んなものさっさと終わらせて来たに決まってるだろ。お前を一人にすると、ろくなことしでかさねぇからな……案の定、制服汚したあげく、何だ、さっきの台詞は? 編入生に、何余計なちょっかいかけてやがる。そんなにてめえは学園追放されたいのか? ああ?」


「……あ、要、怒ってるの、そっち? 白ランミートソース塗れにしたことでなく?」


「両方に決まってんだろ!! このアホ!!」


 あ、やめて。会話の間でぱしんぱしん、頭をハリセンで叩くのやめて。

 痛くないけど、寧ろ頭皮のマッサージ的な感じで気持ち良いけど、さっきまで含み笑いしてた一般ぴーぽー共の腹筋崩壊しそうになっているから!


「ちょ、待って!! 制服のミートソースに関しては誤解なんだっ!! これは私が汚したわけではなく、不可抗りょ……」


「うっせえ!! 結果は結果だ。そもそもてめえ、汚さない為に何の対策もしてねぇだろうが。もう口で注意しても無駄だとわかったから、俺が別の対策を施してやる。……喜べ。俺がてめぇの為にハリセンと一緒に用意してやった、特注のヨダレ掛けだ。食事の度必ず使えよ」


「ヨダレ掛け……っ!? いやいやいや、そこは普通のナプキンでしょう!! 私、17歳よ!?」


「何度言ってもてめぇが、格好悪いからとかほざいて、ナプキン首にかけねぇで制服汚しやがるからだろーが!! その度制服申請してやってんの誰だと思ってんだ!!」


 誰か助けて下さい。

 幼馴染みから、公開赤ちゃんプレイを強要されてます。

 レースがあしらってあり、美しいエレガントな作りになっていますが、ヨダレ掛けはヨダレ掛けです。

 てか、誰か、私の代わりに、今の状況は本当に不可抗力だったと説明して下さいっ!! 私がなに言っても、キレた要さん聞いてくれないからっ!!

 ……そこのウェイター、さっさと私の責任だと、要に弁明しやがれ!! お腹抱えて、プルプル震えてないで!!

 ちょ、要、ヨダレ掛け首に掛けようとしないで!? まじで勘弁して……っ!!

 うう……要さん、いつの間にそんな変態ちっくな性癖に目覚めてしまったの? 私は飼い主としてとても悲しいよ。

 ……ここは私の躾が悪かったとして、甘んじてヨダレ掛けを受け入れてあげるべきか……って、やっぱり嫌だああああ! 要、お願いだから、いつものかわいい、私のノーマルわんこに戻ってええ! 変態わんこ属性とか、のーせんきゅーよっ!!


「………いで」


 そんなカオスの状況を打破してくれたのは、言い合いの間ずっと黙りこんでいたヒロインちゃんだった。


「――ふざけないで!!」


 怒りの形相で叫んだヒロインの言葉に、私と要は取っ組み合いをやめてヒロインの方を向いた。


「いつまで経っても学園改革の依頼がないから、学園長をたぶらかしておねだりして学園に来てみたら、なんなわけ? なんでこんなのが女帝様なわけ?」


「……こいつもかよ」


 ちっと舌打ちを漏らす要に、私も内心で頷く。

 一般ぴーぽー共には理解できない言葉。でも、私と要には分かる。

 どうやら、済木姫乃ちゃんも転生者らしい。予想通りと言えば予想通りの展開だが、ここで暴露するとは。

 ……そしてやっぱり依頼なかったんかー。必要ないもんな。今の状況で学園改革。


「ちょっと、あんた!!」


「ハイッ!!」


 睨み付けられながら人差し指でさされ、思わず背筋がのびた。

 怖い。ヒロインちゃん、目が座っている。


「あんた髪ちゃんと乾かしたり、とかしたりしてないでしょ!!」


「なぜ、バレた!?」


 思わぬ指摘に、目を見開いて驚愕した。

 まさか要だけじゃなくて、こんな短時間にあっただけのヒロインちゃんにまで気付かれるとは……さすが、ヒロイン。観察眼が鋭い。


「誰でも分かるわ!! アホ毛立ちまくり!! そしてシャツ!! 収まりきれず、右の端からはみ出ている!!」


「うぉい、気付かんかった……」


「そして扇!! お店のタグつけっぱなしとか何なの? 馬鹿なの?」


「いや、ついつい取るのが面倒で……よく見てるね」


 私の言葉に脱力したように、ヒロインちゃんはテーブルに突っ伏した。


「……なんでこんなアホが女帝様なの……私は何の為にこの学園に……」


 うっ……なんか、胸が痛い。

 項垂れて呟く悲しげな声に、罪悪感を刺激される。

 やっぱり乙女ゲームのヒロインになんか転生したら浮かれるよね。イケメンズにチヤホヤされて幸せになるエンド期待してしまうよね。

 なのに攻略の必須条件である学園改革がそもそも必要ない状況だもんな……カースト制も何も出来てないし。私追い出しても、要の心労が減るくらいだし。

 なんてか、その、ごめんなさい。

 しかし私の罪悪感は、次の姫乃ちゃんの言葉にぶっ飛んだ。


「私は『女帝様のおしおき』エンドを体験する為にこの学園にやって来たのに……っ!!」


 ……わっつ?


「バッドエンド1」、通称「女帝様のおしおきエンド」は、ヒロインがゲームの攻略に失敗した際に向かえるエンディングだ。

 女帝様を学園追放することに失敗したヒロインが、要に使用している犬の首輪を嵌められ、四つん這いで学園を一周させられる。

 最後には衆人環視のなか女帝様に赤いヒールで背中をぐりぐり踏みにじられるSMエンドだ。

 それを体験したかったということは……


「女帝様に蔑まれて、周囲から好奇の目で見られながら、犬扱いされたかったのに!! あの美しいおみ足で、踏みつけられたかったのに!!」


 ……へんたいだあっ!! ドエムだああっ!!


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