表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、中身はアホのこのままでした【連載版】  作者: 空飛ぶひよこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/52

アホのこと生徒会4

 私の言葉に反応して、副会長の眉間にくっきりと縦皺が刻まれる。

 ……あらま、美形の不機嫌顔って要で見慣れてると思うけど、中性的な顔立ちの副会長だと、ますます迫力あるね。雪女みたいよ。


「……下の名前で呼ぶのはやめて下さい。それに、やはり貴女はアホですね。ここは生徒会室なんだから、私が放課後来るのは当たり前でしょう。着任初日なんですから」


 あー、そういえば、副会長女みたいな名前嫌ってる設定あったなあ。中性的腹黒二重人格萌え属性はないから、すっかり忘れてたよ。要以上に副会長ルートおざなりにプレイしたもんなあ。

 愛那ちゃんってかわいいのに。いーじゃんね、名前に反してゴリマッチョってわけじゃないんだから。そこそこ似合ってるよ。

 ……て、あれ?


「副会長、ほとんど初対面の私に思い切りアホとか言ってるけど、いつもの貼り付けた猫皮どうしたの?」


 おかしいな……副会長ルートって確か、ヒロインが「作り笑いは辛くないですか?」とか指摘されて、「私の演技を見破るなんて……気にいった」ってなる王道展開だったと思うんだけど。

 むしろ今の流れなら、私が副会長ルートに入って「きゃっ、どうしよう……庶務ポジに引き続き、またヒロインポジ取っちゃった♪ てへぺろ」ってなる感じだと思うんだけど。……いや、副会長ルート入りたいわけ違うけど。

 私の言葉を、副会長はハッと鼻で笑った。


「貴女のように直感だけは鋭いアホに、演技する労力がもったいないですから。そもそも、放課後くらいは素でいたいですし」


「……ねえ、愛那ちゃん。さっきから私アホ言い過ぎじゃない? 今まで私としゃべったことないよね」


「だから、下の名前で呼ばないで下さい……! しかも、ちゃんづけって舐めてんですか?」


 もちろん、わざとだ! 嫌がらせに決まっている。


「人のことアホだとか言うから悪いんですー」


「貴女がアホなことなんて、学園中の生徒が知ってるでしょうが。今さら何ですか」


「だったら、愛那ちゃんの名前が女の子みたいだってことだって、学園中の生徒が知ってるでしょ。今さら何よ」


「ああいえばこういう……だから、私はアホが嫌いなんだ!」


 ……どうやら、私がアホ故に愛那ちゃんの琴線に触れなかった模様だ。あー。それはそれは、ありがたいこって。……けっ。

 でもさー、そういう愛那ちゃんだって結構アホのこだよね?

 今だってちょっと煽られただけで、取り乱してるし、そもそも自分の良い人の演技見破られてないと本気で思ってるんだから。

 スケバンマッチョさんだって「副会長に選ばれた斎ノ原は表では色々取り繕っているけど、結構腹が黒いうえに直情型だと言われているんだよね……要様が上手く操縦できるか心配だよ」ってぼやいてたしさ。バレバレじゃん。


「……綾華。あんまり斎ノ原をからかうんじゃねぇ」


「うむぐっ」


 と、そこで今まで傍観ポジにいた要が、首根っこをつかんできた。

 ちょ、軽く首しまったよ! 今!

 私猫じゃないから、そこ掴むのやめて下さい!


「斎ノ原も……お前にとっては不本意な庶務かもしれねぇが、恨むなら会長にその決定権を与えた校則を恨め」


「不本意と言うか……どう考えても、仕事できないでしょう。この人じゃ」


「その辺りは俺が責任持って躾ける。そもそも鳳凰院家の今後の為に、今のうちから仕事の要領覚えさせるつもりで任命したわけだからな。完全に私情だ。私情でお前に迷惑はかけねぇよ」


「……なら、良いですけど」


「え、そんな理由での任命だったの」


 ……なんだ、要が私との時間なくなって淋しいから、私任命してくれたのかと思ったのに。結局君は、私のわんこではなく、鳳凰院家のわんこと言うわけか。

 くっ……私の密かなときめきを返せ……! 要のすけこましー!


「副会長の話が一段落したところで、チャラ男会計こと海棠かいどう しゅんくん、登場ー。俺は、女帝様(笑)歓迎するよー。だって、かわいーもん」


 しゅたっと効果音つき(口で言っちゃう辺りチャラい)で、わざとらしいポーズを決めながら、生徒会室に飛び込んで来たのは、お坊ちゃまらしからぬピンクと黒のツートンカラーのヘアを奇抜にカットしたチャラ男会計くん。

 ……うお。ゲームだからそんな気になってなかったけど、これ身近で見るとすげーな。美形だから様になってはいるけど、バチバチつけたピアスも合わせて、目に痛いよ。

 垂れ目がち(泣きぼくろ付)な目を細めて、にっこり笑いながら、私の顔を覗き込んできた。……って、近! 距離、近!


「うわああ。前から気になっていたけど、こうやって身近で見ると女帝様(笑)ほーんと美人だねぇ。こんだけ美人だったら、俺中身がどれだけ残念でも、全然よゆー。むしろストライクゾーン、ど真ん中? ねぇ、ね、休日って何してるの? 今度俺とデートしよーよ。俺、SNS映えする、すっごくお洒落なカフェ知ってるんだー。 パンケーキとか、好き?」


 ……お、おお。初っ端からナンパか。しかも、畳みかけるように、鮮やかに。オサレパンケーキチョイスの辺り、ナンパ師としてのセンスを感じる。

 本当、チャラいな、会計。誰だ、こいつを生徒会メンバーに投票したの。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ