表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そこに居たはずの誰かへ  作者: 作者でしゅ
最終章 君たちが戦うくらいなら、この寿命尽きるまで共に眠ろう
81/83

5話 上級荒木場探索


 強敵から宝箱が出現するかも知れないが、敗北時は前世武具の総HPMP1日低下(大)。


 ケンちゃんは学校の外周。

 美玖ちゃんは3階と4階。

 俺は2階と1階。

 神崎さんは部活棟と一般寮前の駐車場。


 探索モードだと、運営の方で敵の出現を調節してたりすんのかね。

 数値は窓から一般寮の駐車場が見えるとあって、マイナス21となっている。


 便所を通り過ぎた先。教室に宝箱はないか確認しながら、2階の長い廊下を歩いていると、目の前に生徒の影が出現する。


「1体か」


 法衣をまとった聖職者さんじゃありませんか。


 今回は身体に銀色のパッシブを確認。


 【天の光】も発動してますな。


 聖職者は【光る両手】を合わせる。これは【光十紋時】の準備動作。

 させるかと脇差を構えた瞬間だった。


「召喚」


 床に2つの魔法陣が描かれ、そこから【光の人型】が出現した。


「こいつも装備の切り替えできんのかよ」


 【鎧】をまとうと【人型】にも同じエフェクトが発生し、それが青く光る。守り3種強化。

 2体は丸腰のまま俺へと走り出す。


「光耐性に変更」


 突風を消費して〖風刃〗を強化するが、【天の光】にドーム状の防護膜が発生しており、それが風属性ダメを防いでいた。


 1体が【天の光】から抜け出して俺と接触。

 召喚個体にHPはない。


 法衣《生身には風刃での攻撃はできないが突風の冷却減少(中)》


 属性強度は削れるし、突風の冷却も減少している。


 鎧のエフェクトをまとった【人型】は素手のまま殴ってきたので、問題なく盾で受け止めた。

 続けて到着したもう1体が俺の足を払ってきたため、それに合わせて〖無断〗を叩き込む。


 最初に接触した個体を〖黒刃〗で斬りながら、もう一体の脇を蹴って姿勢を崩す。


「すげえ優秀なんだよな、このスキル」


 俺の攻撃は【光十字】により軽減されていた。


 それでも自分に〖銀の鎖〗を放ち、両者へと〖黒青〗〖赤白〗の鎖を射出。

 属性デバフが効いている様子はないか。



 装備を法衣にもどせば、【人型】の鎧も消えた。


「ほう、これはこれは」


 聖職者が【光壁】を足場にして飛び移る。

 続けて膝を折り曲げれば【壁】が回転して傾斜が付くも、そいつの靴底は重力に逆らって張り付いたまま。


 両腕が【白く輝き】、【天の輝き】により肉体から赤い蒸気が立ち昇る。


「光十紋時じゃなかったのか」


 【法衣】が黄色く光り、【壁】を蹴って自らを発射させれば、もの凄い勢いで俺へと迫る。咄嗟に横へと避けるが、【輝く拳】が床に減り込み、発生した【重力場】に【紋章】を描く。


 【天光膜】の内側には属性耐性強化もあるようで、〖鎖〗の効果が軽減されちまったか。


「動けん」


 動作阻害デバフは重ね掛けしても倍増とはならないし、同じスキルだと1方が無効化されたりもする。


「土耐性に変更」


 なんとか動けるようになったが、2体の人型が俺に掴みかかってきて、その隙に姿勢を整えた聖職者がこちらへと踏み込む。

 こんな感じで直接拘束するのと、動作阻害のデバフは相性が良い。


「〖巻き取り〗」


 【人型】は滑車に引き寄せられ、俺のいた場所と〖武者〗が入れ替わる。【輝く拳】を避けながら前腕を〖太刀〗で斬り上げるも【光十字】が割り込む。


「時空には時空を」


 〖銀の刃〗が威力の軽減を弱めて、聖職者の腕に切断線を刻んだ。


 背後から〖一点突破〗で貫こうとするも【光壁】に遮られてしまう。

 光十字がなければ強度は低いみたいで、けっこう簡単に破壊できた。


「狙いはお前じゃねえ」


 聖職者に避けられた先の【人型】を貫き、〖衝撃波〗と共に機能停止を確認する。


 残る1体が俺に殴りかかるが、〖防護膜〗のお陰で大きく姿勢も崩さず。得物を〖メイス〗に切り替えて側頭部を殴打すれば、そいつも倒れて消滅した。


「動きにくい」


 未だ【重力場】は健在。

 床が破裂する音が背後から聞こえ、聖職者の気配がこちらへと急速に迫る。


 自分へと〖鎧の鎖〗を放ち、守り3種低下。

 〖巻き取り〗を発動させたことで身体能力も下がったけれど、【拳打】から逃れることには成功。


「いや、かすめたか」


 〖突風〗を消費したにも関わらず、けっこう削られたな。


 鎧の鎖を解除したのち、〖盾〗を打ちつけて〖黒の滑車〗に亀裂を生じさせてから、メイスで〖重力場〗を発生させる。

 装備を盾から包丁に交換して、そのまま床へと突き立てようとした。


 【ドーム状の防護膜】には属性耐性強化があった。〖重力場〗を無視して踏み込んだ靴が目前の床を抉り、顔面へと膝が迫る。

 咄嗟に〔籠手〕で防ぐが、壁ごと破壊されガラス片が飛び散り、教室の机と椅子を散乱させた。


「くそっ」


 自分に〖白青〗の鎖を放てば、〖緑の団員〗が旗を掲げ、〖緑の鎖〗が俺へと伸びる。


「同業者ですか。いや、私はもう違いますね」


 近場の椅子を退けながら立ち上がる。


 廊下より法衣をまとった騎士が教室へと入って来た。


「良し。数値はあがったはずだ」


 銀色のパッシブも消えている。


「アドルフさん!」


 こちらへと机をぶん投げてきたが、〖青き原罪〗が盾で防いでくれる。聖職者が続けざまに彼へと拳打を仕掛けるも、俺が割って入り〖咎人のメイス〗で防ぐ。


「【腕】にはHP耐久と衝撃分散か」


 敵の側面に〖赤い滑車〗を出現させるが、その気配を察知したのか、〖クレメンス君〗を呼んだ時点で間合いから逃れていた。


「出番だボルガっ!」


 赤い鼻息を撒き散らせながら、転移なしの突進で交差した〔双角〕が迫るも、【光十字と光壁】で威力を弱められるが胴体を挟み込む。


 俺が〖メイス〗で聖職者ごと突進を受け止めれば、〖赤き原罪〗が燃え盛る金棒で相手を殴打した。


 赤鎖《命中した個体または滑車からも細鎖が1つ追加で出現・原罪にも細鎖が伸び性能強化(中)》


 敵は吹き飛ばされても炎上したまま。私は〖アドルフさん〗の追撃に合わせて〖青の鎖〗を放つ。


 肩に剣が刺さって凍りつくが、〖天光膜〗による属性耐性は健在。

 片手で彼の刃を掴み、もう片方の腕で盾を押し退けながら、〖青き原罪〗の脇腹を蹴飛ばす。


 精神バフのポーションを口に含んだのち、邪魔な机や椅子をメイスで退けながら接近。


「ハイデっ!」


 私の攻撃は避けられて黒板を破壊するも、彼女の槍が聖職者を貫いてHP0。


 《下馬後も愛馬は残り、全原罪を対象に通り抜けると性能強化(中)》


 ハイデが引き抜くと同時に横へと退けば、愛馬により強化されたクレメンス君が金棒を叩き込むが、【光十字】と【光壁】で弱められ、交差された【輝く腕】に受け止められる。


 姿勢を立て直した〖青き原罪〗が盾で側面から殴りかかるも、横へと流した金棒で防がせた。


 ハイデが隙間から槍を通すけれど、肩に突き刺さっていた氷刃の根元を握りしめ、引き抜いた剣の柄で弾き、続けて切先をクレメンスの首へと突き刺す。


 俺も隙を見てメイスで殴りかかるが、装備を鎧に交換しながら【光十字】とガントレットで受け止められ、鉄靴の底で遠のけられる。


「捕らえた」


 〔両篭手〕と繋がる鎖が敵の足首に巻きついていた。実体のない〖馬〗が乱戦の中を通り抜け、ハイデが足を払って聖職者を転倒させる。


 《槍の攻撃に確率(中)で速度低下(中)が付属、最大で(極大)・馬で通り抜けた際の素早さ関係大増加》


 両手持ちのメイスを構え直せば、両者の間に2重の【光壁】と【光十字】が展開された。

 自分に〖赤の鎖〗を射出。


「団長殿」


 〖白の鎖〗が解除され、これまで受けた鎖デバフの強弱に比例して身体を強化する。


「〖剛撃〗」


 避けるにも速度低下のデバフを受けており、【光十字】と【聖壁】は大した抵抗にもならなかった。

 光の騎士は生徒にもどり、闇に消えた。


「あばよ後輩」


 懐かしき僕ちんの古巣。


「えっ 誰?」


 団長の名前教えてやろうか。


「いえ、ご遠慮願います」


 あの滑車からは心象風景じゃなくて、本物の気配がちょっとするもんなあ。


「……」


 異界の神々と繋がってたりして。


「オイラあっち行く予定だから、出来ればそれまでに会いたいんだけどね」


 あっ 司祭さん逃げちゃった。


「前世さんたち、勝手に話さないでください」


 地光撃は俺の覚醒技だからな、感謝して使ってよ。


「重力場のことっすか?」


 ならいつも助かっております。


「そうそう、それそれ」


 あっ そうだ宮内きゅんだっけ。


「彼の魂にゃヤバイ前世いるから、本当に気をつけた方が良いよ」


 原初の精霊かな。


「もっとシャレにならんから、ボクそいつに殺されたようなもんだし」


 まじか。


「もしかして兄貴か、マスターってのか?」


 ご名答、兄貴は俺らだじょ。


「じゃあ、そろそろボクお寝んねすっから」


 ねえお兄ちゃん、おでこにチュってしてよ。


「えぇ」


 なんだよ、嫌がるなよ。


「いいよもう、男のキッスなんていらんわっ!」


 おやすみ(*´ε`*)チュッチュ。


「うわっ マジで感触したんだけど」


 篭手で額を擦る。


「なんなんだあいつは」


 あれが前世って嫌だわ。


・・

・・


 《召喚した原罪の数で疲労が(大から極小)になる》


 咎人のメイスが終了し、旗持ちが疲労の一部を引き受けてくれた。


「やっぱ対策してもキツイな」


 疲労回復のポーションを飲んでおく。


「またふざけたのが出て来たな。だいたいよ、あっち行くってどこだよ」


 異界の神々ねえ、そん中に団長殿がいるってこんか。さらに司祭さんだけじゃなくて、さっきのとも知り合いなのか。


「白の原罪って神さまなの、それいくら何でもやばくね?」


 しかしどうしたもんか。


「宮内の前世に殺されたとか、これ言わなきゃ駄目なのか」


 隠し事なんて誰にでもあるじゃん。性癖とかさ。

 最近とある切欠から、逆レ〇プ物のエロ作品にハマってるなんて、ボク誰にも言えないよ。


「やば、零れ落ちてきた」


 ベルトの収納からメモとペンを取り出して、急いで書き込んでいく。


「ふうっ、これで良しっと。でも美玖ちゃんには言っといたほうが良いのかね」


 救出成功して記憶がもどった場合。ベースは俺になるのか、それとも高1の俺になるのか。

 記憶の追加になるなら、そこまで恐怖心はない。


「もう懲りてるかもだけど、もし記憶取りもどしたら、また人助けに精を出すんかねえ」


 まあ今は映世に集中だ。


 修理費やばいな、かなりの出費だ。

 手鏡を操作して修復を済ませると、聖職者の居た場所に宝箱が出現した。


「もしかして、これが宝箱増加の効果なんかな。修理をサボると出ないって仕組みか、これは報告しなきゃ」


 わくわくしながら開けると、そこには〔グローブ〕の割引券とスキル玉。


 〖光の壁〗

 ・最大数1(2で固定)。

 ・冷却なし。

 ・MP消費(中)

 ・物理属性強度(極小)最大で(小)。

 ・光十字と一緒に使うと壁の性能強化。


 選択。

 〖光強壁〗

 ・強度1段階強化。

 ・MP追加消費(中)。

 ・一緒に使うと光十字の威力軽減強化。


 〖光の足場〗

 ・壁としての機能は〖光壁〗と同じ。

 ・回転や角度の調節が可能となる。

 ・重力を無視して張り付くことができる。

 ・高い位置から落下しても、靴や手で着地すればクッション効果あり。


「選択かぁ」


 空中戦をトリ兵衛や天使に任せている現状だと、かなり助かるんだけど、それなら足場にした方が良いよな。まあ俺って浮かんでる高所は苦手なんすけど。

 

 壁は光十字と使わないと強度不足だわ。そう考えると光強壁にしたい。

 同じスキルってセットできないけど、別の名称になれば出来たりしないだろうか。今後、試してみんとな。


 トイレ通り過ぎたばっかだし、報酬の確認しとくか。


・・

・・

 

 〖光拳〗

 自分専用。

 ・MP徐々に消費(小)

 ・両腕のHP耐久強化(小)。

 ・光属性のHPダメ増加(極小)。

 ・地面に拳。または握った武器を打ちつけることで重力場が発動。

  以下。茶白のメイスや土の大剣などとの合成にも反映される。

 ・重力場に土の紋章が描かれ、範囲内の敵に土耐性低下(小)を付与。

 


 〖輝拳〗

 ・両手を5秒合わせることで発動。

 ・MP徐々に消費(大)。

 ・30秒で終了(レベルで延長)。

 ・衝撃分散。

 ・光属性ダメ1段階強化。

  以下守光の法衣や黄剣などとの合成にも反映される。

 ・敵の攻撃を回避。または受け流すたびに全身の光が増していき、素早さ関係強化(極小)。

 ・素早さに比例して身体能力強化。


「これは合成しなくても、セットすれば重力場を強化できるか。本来の名称は土紋・地光撃っつうんだね」


 あと宮内はこれ狙っても良いかも知れんな。手を合わせるってのが、雷光剣発動時になるみたいだ。


「ビー玉もあるな」

 

 白鎖《戦神の加護により団員の守り3種、または物理属性強度上昇(レベル比例)・戦神の加護により団員の性能、身体強化(レベル比例)》咎人のメイス時。


「団長殿、傭兵から戦神になったのかよ」


 アイテムボックス蓋裏の鏡に文字が浮かぶ。


『雪谷健司より救援要請あり、位置は体育館です』


 これは最近ショップで追加されたアイテムで、スターターピストルみたいなのを鳴らすと、全員の手鏡とかに送信される。

 弾は購入が必要です。


『それと名称で固定されているだけで、我々は好きで神を名乗っているわけではありません』


「なんか色々あるんすね」


 運営も決まりみたいなので雁字搦めなんだな。破るとなんかあるのだろうか。


「どれ、いっちょに助けに行きますか」


 ケンちゃんにありがとうって言われたい。

 承認欲求は原動力だもの。



 女の子から手作りクッキーもらったよと自慢して、愉悦に浸るくらい可愛いものだろ。

 神崎さんに告白した相手に対して、俺は彼女と友達なんだぞと優越感に酔うのも、まあ人間らしいじゃないか。


「なんで言っちゃったんだろう」


 思いだしたら恥ずかしくなってきた。

 正直に言っちゃうのこういう内容ばっかなんだよな。


 気を取り直して。


「待ってろ、浦部さんが今行くぞ」


 体育館。


「ミノタウロスかも」

 

 2階から歩道橋に行けたな。






 





本当はミノタウロス戦も描くつもりだったんですが、飛ばして日曜日になるかもです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ