1話 中間テスト前、最後の上級活動
平日は学校や野球の練習場で活動して、日曜日は荒木場に向かうといった感じで過ごしている。
土曜日も挑戦してみたんだけど、宮内いないと生存率が違ってくるんだ。ヘイトスキルだけでなく、やっぱ守護盾はとんでもなく優秀ってこんだね。
今のところソロは禁止ってしてるけど、もうちっと効果(大)のビー玉が揃えば解禁してく予定だ。つっても俺か神崎さんくらいなんだけどさ。
一度の上級活動で2つから3つのスキル玉を入手できているため、やろうと思えば前世スキル無しでもビルドを組めそうになってきた。
これまで入手したのと効果が似たスキルはショップも更新されない。でも合成はできるので、なんどか重ね強化もできている。
夏休み以降も三好さん関係の人がきて、俺たちは許可証を渡していた。
お金だけじゃなくて、かなり強力な錬金薬も2つほど頂く。今後は有料でとのことです。
これだけスキル玉があれば、前世が戦闘職でなくても十分やってけるはずだ。
ショップで売ってる衣類にはスキル枠つきのもあるから、〔武具〕がなくてもお金はかかるけど成長は見込める。
現状だとビー玉がつけれないのが痛いんだけど。
ただ召喚系だけは入手難度が高く設定されてるみたい。
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10月になれば中間テストがあるため、今回の上級活動で勉強期間に入る予定だ。
電車に揺られて喫茶店で合流したのち、朝食兼昼飯を食べてからスーパーに移動する。
映世の休憩所にて。
「天使残念だったなケンちゃん」
「猿にしとけばよかったって、ちょっと後悔してるよ」
人工天使を狙って購入したんだけど、盾と片手槍のセットだった。
召喚猿は各色で役割が別々だし、赤猿はHPダメしか与えられない。だけどガチャ失敗しても攻猿・守猿・見えな猿とバフ系のスキル玉なので使いやすい。
対して天使は攻守のバフを自分に付けれるし、属性物理の強度があるからHP0後の敵に攻撃が可能。
「雪谷は前世武具が細剣と鏡盾だから、一緒に持ち運ぶのも難しいか」
俺は〔腕当〕だったのが幸いでした。〔脇差〕も〔小盾〕もかさ張らないしさ。
「うん。だから2軍落ち状態だよ」
ショップで購入できる〔武具〕にもHPやMPはあるんだけど、〔前世武具〕に比べると少ないかな。そこら辺は値段というかレア度で違ってくるかも。
専用武具の〔小盾〕や〔戦槌〕〔契約のナイフ〕なんかは、けっこう多めに設定されてるし。
少し前に運営からの更新があり、何カ所かに持ち運び不可の宝箱みたいなのが設置されるようになった。
「今はそこのアイテムチェストで寝てんのか。ちっともったいないな」
スーパーの休憩所、神社のトイレ横、大鳥居の社なんかだね。
開けた人の私物だけを取り出せる仕組みになっているけど、ゲームじゃ定番だよなこういうの。
神崎さんはニコニコ顔で。
「私は包丁と武器操作の触手、やっと買えたぁ」
「さすが毎日活動してるだけのことはありますな」
販売許可証は最初に〔武具〕や〖スキル玉〗をセットした人に販売されるようになった。
〖炎の斬撃〗は神崎さんで、〖人工天使の武具〗は巻島さんだね。
「あの、神崎先輩に提案なんですけど」
美玖ちゃんは少し言い難そうに。
「包丁と触手ですが、後衛の人がセットしてた方が使いやすい気がするんです」
「確かに重力場を使ったあと、自分で包丁を地面に突き立てるより、後衛に任せた方がスムーズかも知れんな」
「えぇ……」
イヤそうな声をあげながらも、その場面を想像したようで。
「確かにそうかも」
手に持った包丁と、手鏡のスキル画面を交互に眺めていた。
「まあ神崎さんが決めるで良いんじゃないっすか。別の誰かに任せると、タイミングが合わないこともあるでしょうし」
「もし渡すならケンジ君かな。今日は真希のスキルだけだし、枠も空いてるよね?」
残念ながら巻島さんはバイトが入ってしまった。急な欠員だったそうで、店長が半分泣きながら頼んできたらしい。
「私スキル枠に余裕もないし、触手セットしちゃうと炎の斬撃も外さなきゃだし。今日はお願いするね」
「確かにそれなら、ケンちゃんに頼んだ方が良いか」
「浦部さんの重力場にも使えますし」
すぐに学校へ行くのは止め、周辺でなんどか戦う。
重力場と包丁の連係を練習しときたい。
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校舎で活動する前に、俺らは神社で休憩をする。
神崎さんは便所を指さすと。
「しばらく試験勉強になるし、それが終わると少しで私たち修学旅行になっちゃうから、今日は連戦にしない?」
「それもありっすかね」
「最後にボス戦が必ずあるんだっけ。ちょっと緊張するなあ」
この中でレベル的なのが一番低いのはケンちゃんだからな。やっぱ部活中心だと時間がとれん。
ゲームのために会社や学校やめろとは流石に言えない。
「そっか、2年生は修学旅行なんだ。沖縄でしたっけ?」
「うんうん今から楽しみぃ」
「俺は飛行機が怖いっすね」
「ギン兄は乗ったことないんだ」
高い所は平気だ。でもあんな鉄の塊が空を飛ぶなんて。
「浦部君は相変わらずだねぇ」
「地面から浮かんでるんすよ」
なぜみんな平気なんだ。
俺は電車や飛行機より、バスや船派です。
「あれ、ってことは雪谷も修学旅行か」
「中学は3年生ですよ」
宮内くんは自分の時どうだったか忘れていたようだ。
「沖縄かあ」
うちの中学は京都奈良広島だっけか。
「兄ちゃんたちが羨ましい。やっぱ活動したりするんですか?」
「数値によるかな。京都の件もあるから、マイナス40より下とかは絶対無理だし、上級だったりしても悩むところっすね」
人口密度だけでなく、その土地柄で難易度に違いもあったりする。
「沖縄はアメリカ軍が上陸して戦った場所だからな」
「硫黄島とかも数値は気になるところっすけど」
自衛隊なんかは居るんだっけか。
「そう言えば気になってたんですけど、幽霊とかって映世と関係あったりするんでしょうか?」
「えぇ ちょっと止めてよぉ」
神崎さん苦手なんすね。
「幽霊そのものは分かんねえけど、忘れさられたまま寿命を迎えた迷い人って、輪廻には帰れるんでしょうか」
「……」
姉たちが主に活動してるのは奈良らしい。
京都と同じく一部が昔の町並みになっているけど、難度はマイナス1から20のあいだ。
そんで奈良で助けられた迷い人は、京都の住人だった例がいくつかあるそうだ。
「京都の妖怪か」
「俺、もっと活動した方が良い気がするんだけど。けっきょく当日はあれか、現世になるんだよね」
「幽霊は怖いけど、もしそうなら私は行きたいかな」
「親御さんだけでなく、巻島さんとも話し合った方が良いすよ」
そうだねと神崎さんは苦笑いを浮かべていた。
美玖ちゃんは黙ったまま。
宮内が妹の肩に手を添え。
「もし行くなら、父さんと母さんを一緒に説得しないとな」
「うん」
大学卒業後の参戦って感じだと思ってたけど、やっぱ美玖ちゃんの動向にもよるか。
雫さん救出作戦だけど、確かに失敗しても次はあると予想している。
だけどさ、年を重ねるたびに少しずつ悪化してく可能性も高いんだ。
美玖ちゃんが手の平で音を鳴らし。
「では、そろそろ行きましょっか」
「ボスを倒して、もっと強くなろー!」
「だな」
「まずは校庭の連戦からですよね、駐車場はまだちょっと自信ないです」
「順を追って進めてかんと」
今は日曜だけど陸上やらテニスやら、体育館で行う種目も含め、活動している部活はけっこうあるようだった。ここは水泳部なんかも室内にあるそうだし、一般の寮生だって多いんだ。
「数値はマイナス17か。校庭にしては高めっすね」
「問題なくクリアできるなら、もう次の段階でも良いんじゃないかなぁ」
一般寮前の駐車場がマイナス15から25のあいだ。テニスコートがマイナス1から10って感じかな。上手いこと区切られてて助かるよ。
とりあえず5話まで終わってます。
各自のスキルですが、修学旅行出発時で用意してますのでそちらに合わせて投稿予定です




