021話 パンツが破れた!
バイクの音が聞こえた! この音には聞き覚えがある!
きっと、きっとアンナさんが助けに来てくれたんだ!
ふははは! なんでこの場所が分かったのかはさておいて、この状況を打破できる!
天は俺に味方したのだぁ! マリア! 年貢の納め時だぜ!
俺は期待を胸に、必死にパンツーを押さえている。
はたから見たらかっこ悪いかもしれないが、あと少しの辛抱だ!
マリアさんはまだ俺のパンツーを掴んでおり、一向に離す気配がない。
まだか、アンナさん! 早く来てくれ!!
――ウォン! ウォン!
パラリラパラリラー ブイーーーン!
……。バイクの音が遠ざかっていく。
あれ? なんで? アンナさんじゃないのか?
き、期待させるなぁぁ! ああぁ、ケツが! 半分出てしまった!
ま、まずい! ぬぉぉぉ! 脱がさせるかぁぁ!
――ビリ
「「あ……」」
お、俺のパンツーが音を立て、少し破けてしまった。
「お、俺のパンツーが……」
「じゅ、純一様……。も、申し訳ありません!」
マリアさんが少し冷静になり、俺の服から顔を出してきた。
口の周りはよだれだらけ。もぅ、べろべろですな。
髪も少し乱れており、赤面した顔が男心をそそる。
って、何とか死守できたかも!
俺は少し破れたパンツーを履き直し、ベッドから降りる。
「マリアさん、少し話をしましょうか……」
「はい……」
ベッドの隣にあるローテーブルへ移動し、座る。
マリアさんも俺の正面に移動し、女の子座りをする。
半裸の女の子を見るのは好きだ。だけど、マリアさんは彼女ではない。
一線を越えてはいけない子だ。しかし、色っぽい……。
「下着、少し破れてしまいましたね……」
「まぁ、これくらいなんでもないさ」
「も、申し訳ありません!」
マリアさんは深々頭を下げる。
「気にしないでください。でも、これからは気を付けてくださいね。女の子はそんなに攻めてはいけないですよ」
「純一様……」
頭を上げたマリアさんの瞳から、うっすらと涙が流れる。
「替わりにこれを……」
マリアさんは立ち合がり、自分のシシマシマを脱ごうとした。
ちょー! 替わりって何の! まさか、そのシマシマ紐パンを俺に履けと!
それは無理! 生脱ぎは心躍るイベントですが、その先はいったいどうなる!
俺だって健全な男だ! いつまでも理性があると思うなよ!
「マ、マリアさん。そこまでしなくてもいいですよ」
「お優しいですね……。ますます好きになりました」
その時、方紐がはらりとほどけ、少しだけずれ落ち、無かった!
マリアさんがさっと紐を手に取り、結びなおす。
期待してしまった自分が嫌だ! でも見たいのも男心!
恥じる事ではない!
「マリアさん。僕はまだ気持ちの整理ができていません。待ってもらえますか?」
「ま、待ちます! ずっと、これからもずっと純一様の事好きですから!」
真っ直ぐな目で俺を見てくるマリアさん。
さっきまでの野獣の目ではなくなっている。少し優し目だ。
普段からこんなんだったらなー。
「僕はこれから妹の所に行きます。マリアさんは服を着て、仕事に戻ってください」
「分かりました。今度は、純一様が私を攻めてくださいね!」
「か、考えておきます……」
マリアさんは、脱ぎ捨てた服を着て、部屋から出て行った。
嵐が過ぎ去った。あ、危なかった。
あと少しで喰われるところだった。
でも、バイクの音を聞いたとき安心してしまった。
アンナさん……。また会えるだろうか。
そうだ! デートの約束していたんだ!
連絡先は名刺でわかるし、あとで電話しよう!
俺はパンツーを履き替え、着衣を直す。
部屋の掃除はとりあえず後にして、由紀の部屋に行こう。
きっと俺の事を待っているはずだ!
部屋から出て自分の部屋の扉を閉める。
あれ? 由紀の部屋ってどこ? 隣かな?





