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011話 ビキニ女再び


 車が走り出す事、数十分。やはり見慣れない風景が続く。

街並みは普通なのに、歩いている人、運転している人は皆女性ばかり。

いまだに男性の姿をリアルで見ない。いったいどうなっているんだ?


「母さん、そろそろこの服を何とかしたいのですが?」


「そうね、そろそろ普段着に着替えてもいいかしらね」


 ありがたい! ずっと女装で過ごさなければならないかと、本気で思ってしまった。

とはいっても、病院に普通の服は置いてきてしまったしな……。


「純一さんの服はトランクに入れてあるわ」


「本当ですか! それは助かります!」


「……。本当に性格が変ってしまったのね。その態度は嘘ではないの?」


「以前の僕は相当ひどかったみたいですが、これが僕の素ですよ」


 母さんはうっすらと涙を浮かべている。


「嬉しいわ。本当に嬉しい……。レイ! 車を」


「かしこまりました」



 運転手さんは近くのスーパーに入っていく。

駐車場の奥の方に車を止め、エンジンを切る。


「少しだけ買い物をしてくるから、トランクから好きな服を着ていてくださいね」


「分かりました」


「レイ、行くわよ」



 運転手さんと母さんは二人でスーパーに行ってしまった。

この時間を使って、車内で着替えてしまおう!


 運転席のにあるトランクを開けるレバーを引き、トランクルームを開ける。

そのまま、俺は外に出てトランクを開ける。


 ……服がごっちゃに入っている。

運転中に崩れたのだろう。とりあえず服を漁ってみる。




 純一のファッションショー! イン どこかのスーパー!



 初めに取り出したのは黄色のスーツ! 上下セットで大きな蝶ネクタイ付!

誰が着るか! 何だこの芸人のような服は! 却下だ!


 次! 真っ黒な皮のボトムにドクロの刺繍が入った皮ジャン!

これも却下だ! 何だのこの服は!


 次! 取り出したのはトリコカラーのロングティーシャツに、同じカラーの帽子!

……普通の服はないのか! 何だこのウォー○ーを探せのような服は!


 他には無いのか!

服を漁っているとなぜか透明な筒が見える。

ん? 何だこれは? シュコー と音がする。


 恐る恐る筒の根元を確認すると、そこにはビキニの女性が寝ている。

ぎゃぁぁぁ! さっき、風呂場にいた女だ!


 突然女が、起き上がり、俺に抱き着いてくる。


「あっは! やっぱりね! 狙った通り!」


 女は俺をそのまま押し倒し、股間に顔を擦り付けてきた。


「はぁはぁ、いい! この感じ、最高ね!」


 押し倒された俺は、腰を抜かし、立ち上がれない。

や、やばい! 今の状況はまずい! 誰も助けに来てくれないぞ!


 そのまま女は俺の首元に顔を近づけ首筋を舐め始める。


「ん、いい味だわ! 若い男の子ってやっぱり最高ね!」


 片手で俺の太ももをまさぐりながら、首元をなめまわしてくる。

お、襲われてるー! 誰か! へるぷみーー!



――ウォン! ウォン! キュルルルル!



 遠くからバイクの音が聞こえてくる。

俺のすぐ隣でバイクが止まり、そのまま俺に覆いかぶさっている女が目の前から消える。


「やっぱりな!」


 あ、あの姿はアンナさん! た、助けに来てくれたのか!

車まで吹っ飛んだ女はムクリと起き上がり、アンナさんを見ている。


「何故邪魔をする!」


「お前のような女に、北村さんを襲わせるわけにはいかない!」


 アンナさんはビキニ女に向かって威嚇する。

ビキニ女は少し距離を取り、アンナさんを睨んでいる。


 お、女の喧嘩は怖い。俺はズリズリと座ったまま後方に下がってく。

ん? 俺ってもしかしてかっこ悪いんじゃ? ここは俺がびしっと成敗しないといけない場面では?


 気を取り直し、俺も体制を整える。


「アンナさん、ありがとう。本当に助かりました。ここは僕が自分で処理します」


「大丈夫か? 無理はしない方が……」


「いえ、自分の身は自分で守ります」


 俺は体制を整え、ビキニ女に向かって行く。


「お前、もう俺にかかわるな!」


「断るわ! あなたのような男には恐らく二度と会えないからね!」


「だったら、俺が惚れるような女になれよ! そしたらデートしてやるよ!」


 ビキニ女とアンナさんの動きが止まる。

バイクのエンジン音だけが、この場に響いてくる。


「そ、それは本当? 本当にデートしてくれるの!」


「ああ、俺は嘘はつかない。絶対だ!」


「約束よ! 私、いい女になるわ! そして、あなたに認めてもらう!」


 女はそのままスーパーの方に消えて行った。

いったいなんだったんだ? そして、俺の前にはもう一人の女性がいる。


「あ、あの。北村さん?」


「アンナさん、ありがとう。本当に助かりました」


 俺は思わずアンナさんに抱き着き、抱擁する。


「わ、私もいい女になったら北村さんとデートできますか!」


 え? アンナさんとデート?

いや、別にそれくらい何時でもいいけど……。


「アンナさんだったら、いつでもデートしますよ。命の恩人ですし」


「ひゃっはー! やったぁ! デート、デートォォ!」


 アンナさんはなぜかテンションを上げ、バイクに乗って消えて行った。

嵐のような一瞬の出来事。その場に残されたのは女装で若干服が乱れた俺一人。


 む、むなしい。一体なんだ、おかしすぎるだろ。

いそいそと服を漁り、普通のボトムとシャツ、靴を手に取り、車に戻る。


 はぁ、やっと普通の服に馴れた。落ち着く……。

ん?ふと鏡を見ると、顔は女のままだ。


 あ、化粧ってどうやって落とすんだ?

母さんが戻ってきたら聞かなきゃな。


 俺は車で一人、うつらうつらする……。



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