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#322 世間話(内容は極めて物騒)

感染者を殴り飛ばすのは楽しいZOY( ˘ω˘ )

「どうだ?」

「美味しいですね。これが全部機械で、しかもふーどかーとりっじというもので作られているというのが驚きです」


 クギが両手で掴んだハンバーガー……のようなものを啄むように食べながら尻尾をふりふりしている。真っ白いバンズに朱色がかったパテ、それと濃い緑色のレタスとは思えない何か。形だけならハンバーガーなのだが、色彩が変なんだよな。でも味はちゃんとハンバーガーなので、やっぱりこれはハンバーガーなのだろう。

 まぁその、使うカートリッジによって微妙に色が変わったりするんだけどね、これ。味は殆ど変わらないけど、色は変わるんだよ。原材料の違いなのかもしれない。


「ヒロ様ヒロ様、これも美味しいですよ」

「どれどれ? おぉ? これは確かに。なんかカレーっぽい」


 ミミが食べていたのは黄色がかったパンのようなものなのだが、中にカレーのようなスパイシーなペーストが入っていて美味しかった。なんかナンの中にカレーが入ってるみたいな料理だな。


「……むぅ」


 なんかセレナ大佐がこちらに不貞腐れたような顔を向けてフライドポテト――のようなものをモソモソと摘んでいる。見た目が緑色でも食感と味はフライドポテトそのものなんだよな、アレ。


「どうしてそんなに不満げな表情をしていらっしゃるのかな?」

「別に……楽しそうで良いですね」

「うわめんどくせぇ」

「めんどくさいって言うのやめてもらっていいですか?」

「ちょっと貴方達、こんなところで取っ組み合いとかやめてよね? ただでさえ目立ってるのに」


 笑顔で不穏なオーラを発し始めるセレナ大佐を見咎めたエルマが呆れた様子で注意してくる。

 うん、そうだね。目立ってるね。見るからに傭兵って感じの男に美人が四人とメイドロイドが一体。そのうち一人は帝国航宙軍の制服姿で、しかも剣を腰に差している。なんかよく見ると傭兵っぽい男も腰に剣を差している。貴族? こわ。近寄らんとこ……となるのも当たり前の話だ。

 そのせいか、俺達が座っているボックス席の周辺は見事に空白地帯と化している。うん、正直に言うととても申し訳ない。だが俺達としても気を遣って好きなものを食えないなんてのはお断りなので、我慢していただきたい。まぁ、こちらが席を空けろと言ったわけでもなし。勝手に怖がって距離を空けているのだから、気にする必要も無いのかもしれないが。


「貴方達はいつまでこのコロニーに滞在しているのですか?」

「最短でもあと一週間は動けないな。新しい船の納品を待ってるのと、ブラックロータスの改修作業もしてるんでね。クリシュナは動けるけど、新しい船とブラックロータスを置いて他所に行くつもりはないな」


 セレナ大佐の質問に答えつつ、俺は俺で注文しておいたホットドッグのようなものを食べる。ソーセージの歯ごたえが今ひとつだが、それ以外は何の不満もない出来だな。やっぱり配色はなんかおかしいが。


「そういうセレナ大佐はどうしてここに? ああ、まぁ軍事機密を聞き穿ろうってわけじゃないけど」

「大佐になったからですよ。後は察して下さい」

「ふむ?」


 昇進したからウィンダス星系に留まる必要があるってことか。つまり指揮官であるセレナ大佐が昇進したことによって、対宙賊独立艦隊の艦隊規模が大きくなるってことかな? なるほど。それなで帝国随一のシップヤード星系であるウィンダス星系にセレナ大佐が滞在しているわけだ。恐らく、ここで新造艦とかそうでもない艦とか色々と受け取っている最中なのだろう。


「大変そうだな。手続きとか」

「ええまぁ、色々と……評価されるのは嬉しいんですが、あまりにトントン拍子で事が進むと気苦労も多いですよ。親の七光りだのなんだのと妬んでくる連中もいますし」

「それが全く無いって言ったら嘘だろうけど、それ以上に大佐殿の柔軟な発想とか、ここぞという時の判断力とか、あと運とかも絡んでるよな」

「……運が良いというのは否定はできませんね」


 そう言ってセレナ大佐がチラリと俺に視線を向けてくる。まぁそうね。俺とブラックロータスがあの絶妙なタイミングで介入しなかったら、セレナ大佐は結晶生命体相手に戦死してた可能性はあるね。或いはコーマット星系でやった陸戦で深手を負っていたかもしれない。いくら帝国海兵の支援があっても、あの化け物相手にセレナ大佐一人で挑んで無傷で勝てるかどうかは危うかったかもしれない。


「しかし大変だな。部下も相当増えるんだろ?」

「そうですね。今までに比べると大分増えます。まぁ、私も侯爵家の出なので、そういった方面の能力には不足していないのですが」

「凄い自信だな」

「子爵家出身の私は軽く身体能力を強化をしているだけだけど、侯爵家ともなれば身体能力だけでなく脳の処理能力とかも強化しているのよ。凄い自信というよりは、できるようになっているの」

「そういうことです。疲れるからあまり多用したくは無いのですけれどね」


 そう言ってセレナ大佐が飲んでいるコーヒーもどきには大量のガムシロップめいた甘味料がドバドバと投入されている。頭脳労働をするために脳味噌が糖分を欲するのだろうか。糖尿病とかになっても知らんぞ。


「まぁ、聞く限りでは俺達に手伝えそうなことは何も無さそうだな」

「そうね。艦隊規模が大きくなるなら私達みたいな小規模の傭兵船団は戦力としては誤差レベルだろうし、対宙賊戦術に関してももう独自に昇華しているんでしょう?」

「まぁ、そうですね。最近は食いつきが悪くなってきたので、偽装により力を入れたりしていますよ……軍用装備でガチガチに固めた小型艦の護衛をつけてそれっぽくしたりね」

「うわぁ、悪質だな」

「駆け出し傭兵が乗るような小型艦が軍用装備でガチガチに固められているとか、襲った宙賊にとっては悪夢でしょうね」


 そう言ってエルマが苦笑いを浮かべる。どんな船を使っているのか知らないが、駆け出しの傭兵が乗るような船と言ったら通称ザブトンと呼ばれるスペースマンタとか、通称ニンジンとか呼ばれるスピアヘッドだろう。

 どちらも小型艦の中でも最小クラスの船で、ジェネレーターなども当然大型のものは積めないから、戦闘能力には限界がある。しかし、それでも軍用装備で全身を固めれば速い上に小回りが利き、宙賊艦相手には十分な攻撃力を持つ機体に仕上がる筈だ。

 そういえば、疑似餌の輸送艦も数を増やしたと前に言っていたような気がする。そうすると数隻の駆け出し傭兵が護衛に就いている美味しい船団だと思って襲いかかったら、輸送艦も護衛の船も軍用装備でガチガチに固めたやべー奴らで、しかもすぐさま対宙賊独立艦隊の本隊が増援に現れるというわけか。恐ろしいな。


「悪質も何も、私達にこういったやり方を教えたのは貴方達でしょう」


 心外だ、という表情でセレナ大佐がお上品にチキンナゲット――のような何かを口に運ぶ。手掴みで食べているのにどこかお上品な所作に見えるのは凄いよな。これが本物の貴族ってやつですよエルマさん。どう見てもそういう所作には見えないエルマさん。ああ痛い、二の腕を抓るのはやめてくださいまし。


「目の前でイチャつかないで貰えますか?」

「教育よ、教育」

「とても痛い……話を戻すけど、艦隊規模が増大するってことは暫くは訓練の日々か。大変だな」

「そうなりますね。規模が増える分、戦術も構築し直す必要が出てきますし」


 そう言ってセレナ大佐が難しげな表情を浮かべる。

 実際のところ、対宙賊独立艦隊は宙賊に対してだけでなく、結晶生命体相手にも戦力として投入されていたりするからな。セレナ大佐の更に上の考えとしては国内の治安維持と人気取りをしつつ、必要な時に必要な場所に気軽に送り込めるフリーな戦力としたいとか、そういう思惑もあるんじゃないかと思う。

 宙賊相手にひっきりなしにドンパチしてる関係上、下手な正規艦隊よりも実戦経験が豊富だったりするだろうしな。


「まぁ、役に立てることがあるかどうかはわからんが、船の調達と改修が終わったら俺達もフリーだからな。条件次第では仕事を受けても良いぞ。船の数も増えたし、俺のランクはプラチナランクだしということもあってお値段は張るけどな」

「そうですね。その時は遠慮なく連絡させて貰います。その時になってやっぱり嫌だというのはナシですよ。そちらから言ったのですからね」

「こっちが納得できる条件ならな」


 念を押してくるセレナ大佐に肩を竦めてそう答えておく。こう言っておけば条件が気に入らないからパスで、と言うことはいくらでも可能だからな。つまり、いざとなれば吹っかけて断ることもできるということだ。ガハハ、勝ったな。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >対宙族独立艦隊 艦隊規模が大きくなり、指揮官の昇進がどんどん進む可能性の一つとして、いずれ宙族相手でなく正規艦隊として運用するためという可能性もありますよね(近隣星系との刺激を避ける…
[一言] あ、察しww『コレじゃ、のめないなコレの10倍は払ってもらわないと』とか言って吹っ掛けたらあっさり払われてびっくりするヤツですね分かりますww
[一言] 冒頭の一文、たぶんゲームの中でのことでしょうけど、今の世間の状況から誤解されやすい表現は、やめたほうがいいですよ。 せっかく毎回楽しみにしている作品が途中で終わってしまうなんて、いやですから…
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