#226 次なる目標へ
ちょっと短い上に遅れたけど許して!_(:3」∠)_
遅れたのには全く何も一切関係ないですが、日本語化対応したEVE ONLINE始めました(゜ω゜)
メディアスタッフ達も撤収し、物資などの補給も終え、ブラックロータスとクリシュナの出港準備が整った。鹵獲した船も全て捌き終え、整備士姉妹は久々の休暇を満喫している。具体的には昨晩遅くまで二人で酒盛りをしていたようで、もうじき昼というこの時間になっても部屋から出てきていない。メイ曰く、バイタルは安定しているとのことなのできっと寝ているのだろうと思われる。
「うーん、空荷で出港するのは勿体ないですね」
「仕方ないわよ。コーマットプライムコロニーは好景気、高需要で何もかもが高いし」
「道中の交易コロニーに寄って何か良さげな交易品を見繕っていくしかないだろうな」
どうせ出向するなら小銭稼ぎに何かしら荷物を運んでいったほうが良いのだが、エルマの言う通りコーマットプライムコロニーでは何もかもが高騰気味であり、ここで荷を積んでいくのは今ひとつ効率が悪かった。ここに荷を運んでくる分には大層儲かるんだろうけどな。
「メイ、リーフィル星系へのルート設定は大丈夫か?」
『はい。全て滞りなく。いつでも出港可能です』
「わかった。急ぐ旅でもないから、道中の交易コロニーにはできるだけ寄っていくとしよう。リーフィル星系で売れそうなものを見繕って荷を積んでいく」
『承知致しました。それではニーパック星系のゲート通過後に存在する交易コロニーに寄港するように航海スケジュールを設定します』
「そうしてくれ。それじゃあ、出港だ」
『はい。出港手続きを開始致します』
そう言ってホロディスプレイに表示されていたメイの姿が消え、少しするとブラックロータスが動き始めたのが感じられた。ブラックロータスの休憩スペースには外が見える窓などはないので、外の様子を見るために外部の光学センサーが拾っている映像をホロディスプレイに表示させる。
「……あっ」
「あー……」
「あらー……」
メイが操作しているのだろう。光学センサーが拾っている外部映像に写っているとある人物の姿が拡大表示される。
それは白い軍服を身に纏い、腰に大ぶりの剣を差した女性であった。一見、彼女は出港しつつあるブラックロータスの姿をにこやかに見送っている見えるが……完全に目が笑っていなかった。
「ヒロ、セレナ中佐に挨拶は……?」
「えーっと……ハハッ」
何か忘れているとは思っていたが、そうか。セレナ中佐に挨拶をするのを忘れていたな、ハハハ。
俺達が光学センサー越しに彼女の姿を見ているということを確信しているのか、彼女の口がゆっくりと動く。
「えーと……か、し、ひ、と、つ、で、す、よ?」
「それは横暴だろう……?」
ミミがセレナ中佐の唇の動きから読み上げた言葉にツッコミを入れる。どちらかというと今回は俺がセレナ中佐をお世話したんだが? いや、挨拶を忘れてさっさと御暇するってのは俺も不義理だとは思うけど! 思うけどさ!
「……まぁ、これはヒロが悪いわね」
「……うーん、擁護できません。ごめんなさい、ヒロ様」
「えー……」
二人から同時に下されたアウト判定に不満の声を上げて抗議するが、判定は覆らなかった。くそう、ここでクルーの裏切りに合うとは。
そうしているうちにブラックロータスはコーマットプライムコロニーから出港し、セレナ中佐の姿も見えなくなった。次に会った時に今回のことをネタに無理難題を吹っ掛けられられないように祈っておくとしよう。
『航路設定完了。超光速ドライブ、チャージ開始します。カウントダウン。5、4、3、2、1……超光速ドライブ起動』
メイの宣言と同時にドォン! と轟音が鳴り響き、ホロディスプレイに映っていた星々が光の矢と化して後方へと流れて行き始める。
「ウェリック星系、ジーグル星系、メルキット星系を経由してニーパック星系のゲートウェイを通過、その後四星系を中継してリーフィル星系か」
「今度こそは穏やかな旅程になりそうですね……なりますよね?」
「多分。恐らく。きっと」
銀河地図を見たところ、リーフィル星系はバリバリにグラッカン帝国の勢力圏内で、セキュリティレベル評価も高い。それはつまり、星系軍や帝国航宙軍の警備がしっかりとしており、宙賊の被害が少なく、他国からの侵略や宇宙怪獣などの脅威も少ないということだ。
それはつまり、俺達のような傭兵の活躍の場が少ない星系ということでもある。傭兵としてはあまり旨味のない星系だな。
「そうなると良いわねぇ……」
「えっ、なにそれは。何か心当たりがあるのか?」
「うーん……まぁ、多分大丈夫だと思うけどね」
エルマが言葉を濁す。割と直截に物を言うエルマにしては珍しい態度……いや、貴族関係や家族関係の話題に関しては言葉を濁すことが多かったからそうでもないか。ということはつまり、そっち関係で何か面倒事があるのだろう。
「またシスコンお義兄さんみたいな面倒事じゃないだろうな?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど……まぁ、現地で見てもらったほうが早いわよ」
「いや、今言えよ……」
「言葉では説明しづらいの」
そう言ってエルマは苦笑いを浮かべる。なんだかこれはまた面倒事が起こりそうな気配じゃな?
いつもどおりと言えばいつも通りなんだけど、もう少し平穏無事な生活を送りたいもんだ。
そう思いながら俺は嘆息し、休憩スペースのソファに背中を預けて天井を見上げるのであった。
明日12/10は最強宇宙船四巻の発売日!
今後五巻、六巻と出していくために是非買ってね!_(:3」∠)_
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