第五章の登場人物 用語 国の情勢 ※ネタバレあり
◇第五章のあらすじ
鉱山監査官のラストールとともに領都グランサクソンに到着したガランたちは、領主のサガナス・サクソン公爵との面会を果たしました。聖銀鉱脈発見の褒賞として白金貨三枚を受け取ったガランたち。その面会の場で、トゥサーヌ北で偶然見かけていたフォビオと再会。フォビオは遠いカリバザス王国から旅をしている魔法使いでした。
サガナスは面会の場で、逓信・逓送(郵便や小包み)が届きにくくなっていると告げます。逓送を担っていたのはシュヴァーン子爵家でしたが断絶していました。サガナスの話では、書簡や手紙を奪う賊が増えたとのこと。賊を雇って中身を知ることで、悪事をもみ消したりする貴族がいたのです。聖銀鉱脈を発見し、位置を知っているガランたち。その情報が漏れるかもしれないと心に留めました。
ガランたちはラストールと別れ、カカラ鉱山オラバウルから紹介された鍛冶工房に向かいます。乗合馬車の車中で前世の記憶をぼんやりと追っていたアッシュが『謎の声』を聞きます。ですが周囲に変わったことはありませんでした。
気を取り直したガランたちが地図を頼りに工房を探し当てところ、その工房前で揉め事を発見。揉めているのは工房主アストンでした。粗暴な男が剣を抜いたとき、割って入った老人がいました。その老人の名はディー。達人級の腕前の武人でした。
ディーと知り合ったガランたちは、タイガとアインの使う槍をディーに見立ててもらいますが、長い武器は間合いの内側が弱点だと教えられ、賊が出没する街道を旅するなら剣も持つべきだと勧められます。
怪我をしたアストンに代わり、ガランがディーの武器の手入れをしたことで鍛冶の腕前を認められ、ガランは自分たちの近接武器を作りました。
ガランたちの出発当日、横断馬車が襲われたとの一報が入ります。偶然にも横断馬車にはフォビオが乗っていました。賊の奇襲、そして魔物との遭遇で危機を迎えた横断馬車隊でしたが、フォビオの機転と魔法の腕前でそれを撃退します。
ガランたち四人が立ち寄った村に横断馬車隊も引き返してきました。ガランたちはディーとフォビオを仲間に加え、旅を続けることになったのです。
◇登場人物
◯ガラン ドワーフ族
男性。この物語の主人公。
暮らしていたセミュエン王国の集落で同胞と家族を失い、孤独となった少年。
祖父の遺言に従い、ドワーフの秘伝を知るため同胞を探す旅をする事となる。
ソウジュの里で学び、生きるための力を身に付けた。
グランサクソンのアストン工房でディーの武器を手入れし、タイガにブロードソード、アインにエストック、アッシュにダガーをそれぞれ作った。
自身にはハンドアックスを作っている。
使用精霊魔法:《火》《地》《大地の縛り》
本名「ガーランド」
一人称は「オレ」
◯アッシュ エルフ族
女性。この物語のヒロイン。
シベル王国辺境にあるソウジュの里に住む少女。
訪れたガランと友になる。
不完全な記憶を持つ異世界転生者。
転生前は男性。
記憶が不完全なためアイデンティティが揺らぎ、思い悩んでいた。
記憶の景色を実際に見たいという理由で外の世界に憧れ、ガランと一緒に生きるための力を磨いた。
グランサクソンの乗合馬車で『謎の声』を聞く。
アストン工房でガランにダガーを作ってもらった。
使用精霊魔法:《風》《風の波紋》
本名「アシュリーン」
一人称は「ボク」
◯クー ケンジャフクロウ
アッシュの遣い鳥。
賢い。
◯タイガ ヒト族
男性。ぼうけんもの。
案内人としてガランとアッシュに同行する。
兄はリョウガ。
アストン工房で槍入手。
ガランにブロードソードを作ってもらった。
断絶したシュヴァーン家のことを知っている?
◯アイン ヒト族
女性。ぼうけんもの。
タイガと同じく案内人として同行する。
兄はリョウガ。
顔に火傷の跡があり、声も嗄れている。
男装しているが理由は不明。
リョウガからタイガと共に「弟たち」として紹介されたが……。
アストン工房で槍を入手。
ガランにエストックを作ってもらった。
断絶したシュヴァーン家のことを知ろうとしている。
◯フォビオ・マクレガン ヒト族
男性。魔法使い。カリバザス王国魔法士爵位。
トゥサーヌからグランサクソンまで流れ着き、サガナスに客人として招かれた。
異国の魔法使いであることから、サガナスに逓送網再建に必要な現状把握のために、各地で手紙を出すことを依頼されていた。
横断馬車襲撃後、ガランたちと同行することを決めた。
◯ディー ヒト賊
男性。謎の老人。
アストンが襲われているのを達人級の腕前で救った。
アストンとは旧知の仲であり、サクソン領とアイダ領の境・トーイの街へ墓参に出る準備として、装備の手入れを依頼しにアストン工房に来ていた。
ガランの祖父、ロラン作の剣鉈を所有していた。
ガランたちに武具の扱いと修練法を指導した。
ヤサカ村でガランたちに誘われ、同行することになった。
シュヴァーン家の断絶事件、貴族の闇の部分を知っているようだが……。
◯サガナス・サクソン ヒト族
男性。シベル王国公爵位。
サクソン領の領主。
ガランたちに聖銀鉱脈発見の報奨を渡した。
異国人であるフォビオを客人として迎え、逓送網再建のヒントを得ようとしている。下地作りのための現状把握として、フォビオに国内各地から手紙を出すように依頼していた。
◯グリム ヒト族
男性。サクソン領兵団副司令官。
◯ブルタス ヒト族
男性。サクソン領兵団長。
◯ラストール ヒト族
男性。カカラ鉱山支局長。
シベル王国鉱山管理総局監察官。
ガランたちへ聖銀鉱脈発見の報奨受領を勧め、領主館に同行した。
◯ヨゼフ ヒト族
男性。ラストール使用人。
◯デリー ヒト族
男性。サクソン領兵団第八小隊班長。
ラストールの護衛としてグランサクソンまで護衛した。
◯アストン ヒト賊
男性。アストン工房店主。
オラバウルがガランたちに紹介した鍛冶師。
荒くれ者の荷運び人夫への武具の販売を断ったことから諍いに発展。
そこをディーとガランたちに救われた。
ディーとは旧知の仲。
ガランの腕前に興味を持ち、鍛冶場を貸し与えた。
ガランが秘伝の技を求めているのを知り、師であるレフトルフタに会わせようと使いを頼んだ。
◯マートン ヒト族
男性。アストンの実子。
鍛冶修行中だがサボり癖がある。
◯グロンダン家の荷運び人夫たち ヒト族
男性。総勢8人?
アストン工房で武器を入手しようとしたが、アストンから販売を断られ激昂。剣を抜いたところでディーに叩きのめされた。
粗暴な男たちで素行が悪く、グランサクソンの人々からは嫌われている。
武器の購入目的は転売?
横断馬車隊の護衛を当てにして荷を運ぶコバンザメ。
横断馬車より前に襲撃されたようだが……。
◯グロンダン家
アイダ領の貴族家。
詳細不明。
◯オラバウル ドワーフ族
男性。カカラ鉱山鉱夫頭。
鉱夫たちの言い伝え、竜脈解釈をガランに教えた。
タイガとアインの武装が不十分だとして、鍛冶職人アストンを紹介した。
第五章では名称のみ登場。
◯レフトルフタ ドワーフ族
男性。アストンの鍛冶の師。
元は工房を持っていたが、現在はアイダ領ワング村で隠居生活を送っている。
作中現時点では名称のみ登場。
◯シュヴァーン家
アイダ領にかつてあった断絶した子爵家門。
シベル国内の逓送を担っていた。
◯謎の声
乗合馬車の車中で、無意識に記憶を追っていたアッシュの脳内に響いた謎の声。
詳細不明。
◯ロラン ドワーフ族
男性。故人。ガランの祖父。
ただし血縁関係は不明。
本名「ローランド」
◯ヴィシュカルマン ドワーフ族
イスード王国にいた鍛冶師。
ガランの祖父ロランの弟子。
ジローデンの師。
作中名称のみ登場。
◯ルフター ヒト族
シベル王国スカッチにいた鍛冶師。故人?
ヴィシュカルマンとジローデンを引き合わせた。
ガランの祖父ロランの弟子。
作中名称のみ登場。
◇用語
◯竜脈
『精霊』が通過する地層地脈。
霊樹と何か因果関係にある。
◯霊樹
ドワーフ族、エルフ族に取っての象徴的な何か。
季節を問わず常緑と云われ、枯れることがないとされていた。
詳細不明。
◯聖域
エルフ・ドワーフに於ける聖なる墓所。
ドワーフは地脈に、エルフは自然へと還る。
なぜ『霊樹』周辺なのかは不明。
◯精霊
信仰の対象でもあり、この世界に実在する超自然的な力。
限られた者にその力を貸す存在。
◯魔
獣に取り憑き獣を魔物へと変化させる存在。
魔術により変質した精霊であるが、それを知る者は非常に少ない。
◯交易手形
セミュエン王国、シベル王国を含む広域交易の通行手形。
◇魔術
西方大陸で構築された邪法。
精霊を強引に縛って自然エネルギーを奪う手法。
魔術陣と魔術呪文を使う。
誰でも使えるが縛った精霊が魔に堕ちる。
主人公たちを含む、アーシア大陸の人々はまだ魔術を知らない。
◇魔法 (本文中、【魔法名】として表記)
魔を縛って自然エネルギーに変換する手法。
魔法陣と魔法詠唱を使う。
精霊が魔に堕ちることはないが元には戻せない。
魔に対抗する精神力が必要なため才能が必須。
形状・効果・範囲は、魔法陣に書かれた文字及び詠唱内容により変化する。
フォビオは巻物を使用したが作中現時点では詳細不明。
◯【焔陣の壁】
円上に火柱が並ぶ炎の壁を出現させる。
◯【土の巨壁 】
土の壁を出現させる。
◯【原始の火 】
焚き火のような小さな火。激しく燃え上がったりはしない。
◯【轟炎の火球 】
炎を丸く圧縮した火球。尾を引きながら飛ぶ。
◯【暴龍の飛翔 】
荒れ狂う竜巻を発生させる。
◇精霊魔法(本文中、《精霊魔法名》と表記)
精霊に選ばれた者だけが使える。
祈りや同調、共鳴することで発動。
魔術や魔法と違い、触媒や詠唱を必要としない。
我欲では発動できないとされている。
◯《風》
風そのものを増幅させる基礎の精霊魔法。気流を増幅させ、動いている物体を加速させることが可能である。物体を押し上げる、物体に纏わせる等、基礎だけに応用範囲は広い。
ただし、対象の質量や表面積に対して相応の乱気流が発生するため、他の風精霊魔法の妨げになる場合が多い。
◯《風の波紋》
風を利用した音響探知の精霊魔法。動くものが発する僅かな風でも、範囲内であれば動きを探知することができる。
ただし、遮蔽物があれば正確性が低くなり、高低差も基本的には誤差が生じてしまう。
◯《風の囁き》
風を利用して音声を増幅する精霊魔法。どんなに小さなつぶやきでも、声に出せば範囲内の者に聞かせることができる。
ただし、聞かせたい相手を限定することは非常に困難であり、日常生活においては普通の会話に劣る。
類似した能力に《風の咆哮》がある。こちらは主に声で威嚇する時に使うが、非常にうるさい。
◯《浸透する水》
流れる水を察知、操作・増幅する精霊魔法。流れている水であればその流れを察知、流れを操作できる。主に水源の発見に利用するが、熟練者であれば人体に発動させ、血流操作もできる。
ただし、直接触れなければ流れの操作は困難であり、増幅はさらに至難を極める。人体に発動し、血流を整えたとしても破壊された細胞の復元の効果はない。せいぜいがマッサージ効果である。
◯《火》
熱を増幅させる火の基礎精霊魔法。自身の体温より高い熱源があれば、その熱を活力へと変換。筋力を増加させ、身体能力を向上させることができる。
ただし、制御力が低ければ熱傷や着衣発火の危険性があり、使用後には強い倦怠感が現れる。
ガランは槍を扱く摩擦熱を熱源としている。
◯《地》
地の基礎精霊魔法。物が落ちる、人が歩くなど、大地の微小な振動を察知することができる。また岩盤や坑道などを叩けば、既知の鉱物との振動比較による判別も可能であり、金属製品に使用すれば含有量も推測できる。
ただし、風で枝が揺れた樹木なども大地に微小な振動を与えるため、立体物が多くなれば発生源特定の正確性が著しく低下する。
◯《大地の縛り》
地の精霊魔法。自身が起こした大地の振動を増幅させる。増幅した振動の範囲内は運動摩擦力が上昇、急激な摩擦抵抗の増加と足元の不規則な揺れを引き起こし、対象を足止めする。
ただし、発動者自身が振動継続を担うため、発動中、発動者自身の身動きも取れない。当然ながら対象が大地に接していなければ効果はない。
◇情勢
◯シベル王国
ウルラス山脈の南側の中規模国。
北部国境:大ウルラス山脈。
西部国境:西アーシア海。
南部国境:中央アーリア砂漠。
東部国境:旧イースタシア王国。
・辺境領自治区ソウジュ
王国北西部の辺境。
ウルラス山麓付近に位置する。
エルフの隠れ里。
・ヴァレンタイン領スカッチ街
王国東部にある街。
ロランの弟子ルフターが暮らしていたとされる。
ガランとアッシュの仮の目的地。
・サクソン領ナナッカ村
ガランとアッシュが最初に立ち寄った廃村。
・サクソン領ロクサ村
交易隊商経路上にある中継地のひとつだったが廃村化。
・サクソン領トゥサーヌ街
元砦を拡張中の新興街。
・カカラ鉱山
トゥサーヌから北にある鉱山。
・サクソン領都グランサクソン
サクソン領の領都。水の都と称される。
・サクソン領ヤサカ村。
横断馬車中継地。
・サクソン領トーイ街
アイダ領との境にある街。
ディーの墓参り先。
・アイダ領ワング村
アストンの師、レフトルフタが隠居している。
◯セミュエン王国
アーシア大陸最北の大国。
ガランの祖国。
度重なる魔物の大発生で国内が乱れている。
北部国境:北アーシア大森林。
東部国境:東アーシア海。
西部〜南西部国境:大ウルラス山脈。
南部国境:旧イースタシア王国。
現状国内の情勢は不明。
・聖域の集落
ウルラス山麓にあった集落。
ガランはこの集落で育った。
◯大ウルラス山脈
セミュエン王国西部〜南西部国境でもあり、シベル王国北の国境を兼ねる巨大な山脈。
登山初心者とはいえ、ガランが縦断に三か月かかったほどの難所。
◯北アーシア大森林
セミュエン王国北に位置する広大な森林地帯。
『大森林には魔物が湧く』と云われている。
詳細不明。
◯イスード王国
アーシア大陸中央南部の小国。
ロランの弟子でありジローデンの師でもある、鍛冶職人ヴィシュカルマンの出身地。
詳細不明。




