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模擬戦と試験内容と学園長登場

最後の方がグダグダになりましたが次から試験編です。

試験内容に穴があれば教えてください。

あと、明日から前回お伝えした小説を投稿します。

そちらの方もよろしくお願いします。

「それでは模擬戦闘……はじめ」


 フォロンがそう言うと同時にアルが左足で地を思いっきり蹴り僕に肉薄してきた。フォロンは言うと同時にその場から離れている。


 アルは射程内まで近づくと右脚で踏ん張り、右拳をギュッと固めると僕の顎目掛けてアッパーカットを繰り出してきた。僕はそれを冷静に見極め、上体を後ろに反らすことで避け、それと同時にだらりと下げていた剣の腹をアルの腹に殴りつけるように叩き込む。


「うおっ! ……あぶねぇ。やるな、シュン」


 アルは僕の剣を振り抜いた右拳の反動を利用して右脚で強く地面を後方へ蹴り付けることで回避した。

 額から垂れる冷汗を小手に覆われていない指先で拭き取りながらそう言った。その顔には本当にヒヤリとしたという感情が見て取れた。


「そんなんじゃあ僕に掠り傷一つ付けられないよ。出し惜しみしているとすぐに決着を付けちゃうよ? アルはそれでもいいのかな?」

「ハンっ! 嘗めるなよ、シュン。その言葉を後悔させてやるぜ! 『火よ、我が力となれ! バーニング』フンッ!」


 アルは両足を踏ん張るように腰を屈めて火魔法の『バーニング』、筋力上昇魔法を小手にかけた。小手は魔法がかけられたことによりその能力を発揮させると赤く輝き始め、アルの両手から魔力が迸る。

 アルは魔法がかかったことを理解するとまたしても僕に向かって突っ込んできた。


 アルは身体強化をしていないように感じる。使えないのか小手の上昇と併用が出来ないのかのどちらかだろう。

 今度は両拳を顔の近くに構えている。そのまま近づいてくると左右のラッシュを放ち、僕に反撃をさせないようにしている。僕は体捌きと部分強化をした手でアルの迫り来る全力の拳を払い、落とし、掴み取る。


 魔法のおかげで威力が上がり、小手の効果でスピードも上がっているけど、僕を倒すにはまだ足りない。


「ダメだよ。単調な攻撃は相手の目を慣らせるだけだから。やるなら緩急とフェイントを織り込まなきゃ。そうじゃないとこういうように取られちゃうよッ!」


 顔面に迫り来る右拳を強化した左手で体をアルの外側へ持っていきながら手首を外側から持ち、そのまま右脚を軸に体を反転させて掴んだ左手を腰に持っていくことでアルのバランスを崩す。崩れたアルの身体が僕の目の前に来たところで右脚を踏ん張り、腰を下ろしてアルの腹にただの掌底を叩き込む。


「カハッ……ぐ、ぅ」


 アルは息を吐き出し苦痛に顔を歪ませる。

 腕の力だけではなく、右足で地を蹴る力体捌きからの回転力を利用した腰の捻り、左手で引き込んだ反動も入っている。


 いつもならこの掌底に魔力が込められているけど、さすがに怪我をさせるわけにはいかないから魔力を込めていないし、途中で力も抜いている。それでも、体に来る衝撃は計り知れないだろう。


 アルの身体はくの字に曲がろうとするけど、右手を僕に持たれているため両足が宙に浮いていく。僕は左手を内側から捻り上げて上へ持っていき、アルの腹が僕の方を向いたところで左手を離し、掌底を放った右手を腰に溜めて、アルの腹に手を添えるように置いて体ごと押し込む要領で奥へ飛ばした。寸勁のような技だ。


「アル~ッ!」


 シャルの悲鳴染みた声が訓練場に木霊する。

 アルは数メートル程水平に飛び、地面を擦りながら横たえたままの体が着地する。訓練場の土が舞い上がりアルの身体を隠す。


 土埃が晴れ、地面に横たえたまま嘔吐(えず)くアルの姿が現れた。


「うっ、うぅ、ゲホッ、ゲホッ。う、うぅ~」


 アルは嘔吐(えず)きながらも気を失っておらず、まだ立ち上がろうと頑張っているが、体を起こそうと地を付いている手は震えている。体も小刻みに揺れ、先ほどの衝撃がまだ体に残っているのだろう。

 体の芯に残る衝撃は残らないように逃がす技術がなければ、アルのように一気にダメージが溜まってしまう。


「そこまで! 勝者、シュン様」


 フォロンがアルの状況を見てすぐに判定を出した。

 僕は構えを解いて剣を鞘に戻すとアルの元へと駆け寄る。シャルは既にアルの元へと行き体を起こして支えていた。


「ちょっとやる過ぎたかな? すぐに治すからジッとしていて。『ヒール』」

「うっ、あ、ああ。……楽になってきたぜ。サンキュー、シュン」


 僕は体を支えられているアルの腹に手を当てて回復魔法を唱える。淡い光が僕の手から出てアルの身体に浸透すると、一瞬でアルの身体を治した。


「回復魔法も使えたんだ……。魔法使いかと思ったけど、体術もできるのね。剣を持っているところから見て剣術もできるのよね?」


 アルが立ち上がると同時にシャルがそう訊いてきた。


「まあ、そうだね。剣術は単なる護身用だからそれほど上手くはないよ。魔力強化なしだったら精々Cランクを相手にできるぐらいだろうし」

「いや、それでもすげぇと思うけど……。はぁ~、なんだかよくわからない内に終わっちまった気がする」

「そうね。外から見ていても何が起きたのかよくわからなかったわよ? アルが攻勢に出たと思ったら一瞬でアルが宙に浮いて、吹き飛ばされたんだから」

「ふふふ、あれでもシュン君はほとんど力を出していないのよ」

「げっ! そうなのかよ……」


 フィノの言葉を聞いてアルががっくりと肩を落とした。


「まあ、これでも僕はAランク冒険者だからね。負けるわけにはいかないよ。ああ、これは誰にも言わないでね。騒がれるのは好きじゃないから」

「Aランクかよ……。ならまあ、納得だな。だけど、どうやったらそこまで強くなれるんだよ。本当に俺達と同じ年か?」

「まあ、努力するしかないんじゃないかな? 後は効率のいい練習をして身に着けるとかかな?」

「それが分かれば苦労はしねえよ。まあ、この三日はシュンが教えてくれるんだからいいけどよ」


 アルはそう言うと体を動かし、体に痛みが残っていないか確かめている。

 僕は次の模擬戦、シャルとの戦闘を始めようと中央に戻ろうとしたら、フィノが僕の傍まで来て自分がすると言い始めた。


「シャルの相手は私にさせて。私がどこまでできるか試したいの。お願い!」


 フィノは僕に上目使いでお願いしてくる。両手を胸の前で拝み、首を少し傾げながら、というオプション付きでだ。

 僕はその可愛さにやられ頬が赤くなるのを感じ、それを誤魔化すために頬を掻きながら目を逸らして言う。


「い、いいけど、最初はシャルの様子を見てからにしてね。フィノはあまり実感がないかもしれないけど相当強くなっているから、僕と同じような力加減で魔法を放ったらシャルが大怪我をしちゃうから気を付けてね」

「え? 本当なの? でも、私はCランクだよ?」


 フィノはキョトンと首を傾げてそう言った。


「いやいやいや、冒険者ランクと実際の強さは違うからね。逆はないけどFランクの中にも強い人はたくさんいるから。僕の目から見てフィノはAランク相当の実力を秘めているよ?」

「そうなの? シュン君が言うのならそうなんだろうね。わかった。最初は様子を見て、徐々に力を出していけばいいんだよね?」

「うん、それでいいよ。怪我をさせないのもだけど、フィノも怪我をしないようにね。すぐに治せるように準備はしておくけど」

「うん、頑張ってくる。待ってて」


 フィノは腰のレイピアを抜きながら中央に向かって行く。僕はその場から離れてアル達の元へと下がった。


「フィノちゃんはCランクだったのね。実力はAランク。相手にとって不足はないわ。負ける気なんてさらさらないけどね」


 シャルが鞭を片手に持ってフィノにそう言った。


「ええ、そうね。私には自覚がないからわからないけど、シュン君がそう言うのならそうなのだと思うよ。私だって負ける気はない。シャルの全力を私に見せて」


 フィノはレイピアの剣先を下に向け、僕とは違って背筋を凛と伸ばして体を完全に開いた構えを取っている。

 対するシャルは右手に鞭を持ち、左手を腰の杖にかけるという構えをとっている。恐らく、あの鞭は魔力媒体のようなものだと思う。アルの小手のように魔力を通すことが出来るのかもしれないな。

 まあ、魔力を感じないから魔武器ではないと思うけど。


「両者準備はよろしいですね?」

「うん!」

「ええ!」


 二人はフォロンにいい返事を返す。

 フォロンは二人を見た後、片手を振り下ろして開始を宣言する。


「それでは両者怪我のないようにお願いします。模擬戦闘……はじめ」


 フォロンがそう言うとシャルが鞭を自在に動かしフィノに向けて横薙ぎに振った。フィノは風を身に纏わせて迫り来る鞭をバックステップで躱すと、お返しに右手をシャルに定めて火球を放った。


「『ファイアーボール』」


 詠唱破棄で放たれた火球は鞭を振り抜いた格好でいるシャルに襲い掛かるが、シャルは鞭を操って火球を消し飛ばす。破壊音と共に下級の残滓が空中を漂い霧散する。


「フィノ、やるじゃない」

「シャルこそ」


 お互いに軽く言葉を交わすとシャルは鞭を振い、フィノはレイピアで弾きながら魔法を放つ。シャルはステップで躱すが避けきれなかった魔法が被弾する。フィノは危なげなく冷静に迫り来る鞭を弾き躱し流している。

 焦りの色を濃くするシャルは鞭を振っている間に少しずつ魔力を煉り込み続け、溜まったと思ったところで魔法を放つ。シャルの魔法は『ウォーターウィップ』という魔法でこれもまた鞭系統の魔法だ。

 フィノはレイピアでは弾けない水の鞭を周りに魔力障壁を張ることでやり過ごす。シャルは当たったことを喜ぶが、フィノは何事もなかったかのように平然としているため首を傾げた。その間もフィノの魔法が飛んでくるから迎撃することを忘れていない。


 魔力障壁を使ったのか。

 今のは仕方がないかもしれないな。僕だったら無詠唱が使えるから土の壁を出せるし、飛んで回避することが出来る。


「詠唱破棄が使えるのか。あの剣捌きもすげえな。魔法が効かなかったのはなぜだ?」

「ああ、あれ? あまり広めないでほしいんだけどあれは魔力障壁っていう魔法だよ。魔力を放出させて身を守る魔法だね。簡単に言えば結界のようなものだよ」

「人の魔法を広める気はないから安心してくれ。そこら辺のマナーは心得ている。だけど、聞いた限りではすげえ魔法だな。魔力障壁って言ったか? それがあれば無敵じゃねえか」


 アルは僕の方を向いて興奮したように言った。

 僕はそれに首を振って答える。


「いや、魔力障壁には欠点が多くあるんだ。詳しくは言わないけどまず消費魔力が多いこと。最低でも万単位の魔力量がいるね。次に魔力制御をずっとしていないといけないこと。並列して魔法が使えなければ攻撃が出来ない。他にもいろいろとあるよ」

「そうなのか? だが、それが出来ているっていうことはさすがはAランクの実力はあるっていうことか」

「ありがと。だけど、あれでもまだ全力じゃないよ。全力だったら最初の鞭を躱した後にもっと強力な魔法を使っていただろうからね。上級の魔法まで教えたからね、僕は」

「げっ、上級まで使えんのかよ……。こりゃあシャルには荷が重いだろうな。そんなフィノに魔法を教えたシュンは何者だよ」

「僕? うーん、僕は普通だと思うよ。まあ、ちょっと人より魔法に精通しているぐらいだと思うけど……」


 アルは納得できなさそうな顔をしているけど、二人の戦いが気になるようで詳しくは聞いてこなかった。

 んー、試験結果によってはこれからも付き合っていくだろうから何時か話さないといけないときがくるかもね。まあ、その時はその時になって考えよう。


 二人の戦いは終局になりつつあった。

 フィノの魔法の手数が次第に多くなり、シャルはその対処が間に合わなくなり被弾の数が多くなっている。フィノはしっかりと魔法を制御しているみたいで被弾しても大したダメージにはなっていないし、顔や肌にはなるべく当てないようにしている。

 まあ、女性にとって顔と肌は大切だろうから一生残る傷なんてつけられないよね。僕だってフィノの白くて綺麗ですべすべな肌に傷を付けたやつがいたら怒るだろうし、フィノも悲しむだろうからね、気持ちは同じだよ。


「きゃっ」


 フィノの魔法が足元で爆発したため体のバランスを崩し転倒してしまった。フィノはそれを見逃さずシャルが立ち上がり体勢を整える前に足に部分強化を施して接近した。蹴り出した地面の地が爆ぜ、小さなフィノの足跡がくっきりと残った。

 シャルは身を転がして回避しようとするがフィノの蹴り出したスピードは思った以上に早く、転がった先で首に剣先を突き付けられ降参を余儀なくさせられた。


「……降参よ。やっぱり無理だったわね」

「そうでもないよ。あの水の鞭は危なかったしね」

「そこまで。勝者、フィノ様」


 フィノはそう言ってレイピアを鞘に戻すとシャルに手を差し出して引っ張り起こした。その後互いに手を握ってこちらに近づいてきた。


「二人ともお疲れ様」


 僕は二人を労った後、洗浄魔法で服に付いた土と誇りを取り去った。

 やっぱり洗浄魔法を知らないようだったから、二人の評価をした後に教えることにした。


「で、二人の戦いを見て僕が思ったことなんだけど、まずアルは突っ込み過ぎだね。途中でも言ったけど単調な攻撃だけでなく、フェイントや蹴り技を入れた方がいい。じゃないと僕がやったように取られるよ?」

「うっ、すまねえ」

「あと、放つタイプの魔法が苦手なのか知らないけど、牽制を込めた魔法が使えた方がいいと思う。後は身体強化と部分強化を使えるようにしたほうがいいね。『バーニング』もいいのだけど、身体強化と部分強化の方が調整もできるし、慣れればそっちの方が強いと思う。両方使えばもっといいだろうけど、肉体が成長するまではどちらかにした方がいいね」

「放つ魔法と強化魔法か……。強化魔法はともかく、放つ魔法は苦手なんだよな。まあ、やるしかないか」


 アルは深い溜め息を吐いて今後の目標を決めたようだ。

 次に僕はシャルの方を見て言う。


「次にシャルだけど、その鞭に魔力を通して戦っているよね? じゃないと鞭が燃えて火魔法を破壊するなんてできないだろうから」

「ええ、そうよ。鞭に魔力を通わせて強度と威力を上げているの。よく見ただけでわかるわね」

「まあ、僕も剣に魔力を通すからね。後は慣れかな? で、シャルは鞭の扱いについて僕は分からないからだめだけど、()いて言うならもっと魔法を多用した方がいいだろうね。見た感じアルとは違って放つタイプの魔法が苦手っていうわけじゃなさそうだし」

「放つ魔法が嫌いなわけじゃないけど鞭の方が強いのよね。私が使えるのは水魔法だからそんなに威力がないのよ」


 シャルは鞭を円形に整えて腰のベルトに収めながらそう言った。


「そうかな? 確かに水魔法は風や火魔法の様なダメージを与えることは出来ないけど使い方によっては岩も切れるし、拘束もできる。ようは魔力の込め方と魔法の使い方だけだね。これは何にでも言えることだけど」


 僕は訓練場の地面を地魔法で隆起させて、先日の迷宮特訓で考えた『バイブレーション』を使った。

 水分子を振動させるつもりで作った魔法は僕の想像したように剣の形となり、それを岩に対して斜めに切り落とすとズドンッ、と岩が滑り落ちた。残った岩を『ウォーターロック』、水で巻きつけて粉々に破壊した。その後は地魔法で馴らして整えておいた。


「……はぁ~。目の前で見せられたのだから出来るということよね。まあ、この三日ではできないと思うけど、頑張ってみるわ。フィノちゃんは何かない?」

「そうねー、私は戦っていて攻撃が単調とは言わないけど、鞭の軌道が分かるから弾きやすかったことかな? 私もシュン君が言ったように身体強化と部分強化を施してるから合ってるかわからないけど」

「わかったわ。他の戦い方を模索してみる」


 二人は自分達の欠点を理解して試験までに少しでも高めようと決めたようだ。

 この後はアルを僕が、シャルをフィノが付きっきりで教え、昼になった所で一旦集まり昼食を食べに大通りまで向かった。




 外は寒さの影響もあるのかそれほど人が出ているわけではなく、外食する者や体を温めようと酒を飲む者、主婦が買い物をしに出ているぐらいだ。冒険者の数も少なく、学園の生徒も少し見える。今は入学試験が近いから休みにでも入っているのだろう。


 僕達は近くにあった鍋物が多くあるというお店に入って昼食をとることにした。


「そういえば、シュンとフィノはどこから来たんだ? 俺達は言ったが聞いてはいなかったな」

「そうだったっけ? 僕達はシュリアル王国の出身で、少し前までは迷宮都市バラクにいた。試験も近くなったから食の都リーヨンを通ってきたんだ」

「何!? お前達はバラクにいたのか! じゃ、じゃあ、迷宮に入ったことがあるのか!」

「あ、うん、あるよ。まあ、四か月ほどしか滞在してないから簡単な分類のところにしか入っていないけどね」

「お待ちどう! 注文の料理だよ。熱いから気を付けな」


 僕は本当のことを全部言っていいのか瞬時に判断できず、濁して伝えることになった。

 アルはそれで納得したのか、しきりに頷いて自分もいずれバラクに行って迷宮を踏破したいと言ってきた。


「うんうん、俺も将来迷宮を踏破して、石碑に名を刻むつもりなんだ。シュンは名を刻んだか?」

「うん、刻んだよ。初級の迷宮は三十層ほどで魔物もそんなに強くないから、ここを卒業する頃には踏破出来ると思うよ。まあ、しっかりとその間に特訓と迷宮について知らないといけないけどね」

「おう! そうとなったら絶対に試験合格しなくちゃな。俺が見た感じシュンとフィノは合格するだろうし、筆記試験の方も楽勝なんだろう?」


 アルは運ばれた鍋をよそって一口はふはふ言いながら食べてそう言った。

 僕もよそった後一口食べて答える。


「楽勝かどうかは分からないけど、しっかりと勉強はしてきたつもりだよ」

「出来る奴はそう言うよな。まったく。……話は変わるけどよ、シュンとフィノは貴族様か? 奴隷みたいだけどメイドと執事がいるから」


 ドキッ!


 アルは中身がなくなった器によそいながら、何気なくそう言った。僕は心臓が跳ねるのが分かり、思わずフィノを見てしまった。

 フィノも聞こえていたみたいで僕と目が合い、何と言っていいのか分からず沈黙が流れた。フィノと話していたシャルも突然固まった僕とフィノを見てなんといっていいのか分からず、アルを睨むことにしたようだ。


「……いや、な、何かごめん! 俺ってやっぱり、聞いちゃあいけない事を聞いたか?」


 アルが居た堪れなくなり気まずそうな顔でそう言った。僕とフィノはお互いに頷くと少し誤魔化して言うことにした。

 さすがにフィノが王族だと知ると今までの関係が崩れると思ったからだ。折角仲良くなったのだからこのままで居たいのだ。


「えー、私とシュン君は、まあ貴族だね。で、でも、今までのように接してくれるといいかな?」

「僕も同じだね。僕は貴族と言っても法衣貴族とか名誉貴族みたいなものかな?」


 僕とフィノは二人を覗いながらそう言ったが、二人は顔を見合わせると軽く噴き出して説明してくれた。


「ああ、俺達も貴族だから気持ちは同じだ。これからも仲良くしようぜ。まあ、試験に合格しないといけないけどな」

「そうよ。でも、貴族と言ってもしょぼい領地しかない田舎貴族だから平民と同じよ。こちらこそ仲良くしてね」

「ありがとう。よろしく。何があっても友達でいてね」

「うん、私もよろしくね。後で畏まらないでね」


 僕達はお互いの事情が一致したことで再び握手を交わし、先ほどよりも強く太い絆になったと思う。

 そして、食事を再開すると再びアルが爆弾を投下した。


「それにしてもシュンは何をしたんだ? 名誉貴族っていうことは何かをして認められたから国から貰ったんだろ? しかも俺達と同じ年だからな。ちょっと気になったんだが……ダメならいいぞ」


 アルは自分で言っている間に僕とフィノの表情が強張っていくのが分かったのだろう。

 また沈黙が流れシャルがアルを睨む。

 僕は肩の力を抜いて落すと一つ溜め息を吐いた。


「はぁー、詳しくは言えないけど偉い人の命を救ったからかな? まあ、僕がしたとは言い難いんだけどね」

「そうね、シュン君が、したとは言い難いね。(いまはだけど)」

「……? よく分からないが救った証として爵位を貰ったっていうことでいいのか?」

「まあ、そうだね。詳しいことは聞かないでもらうと助かるよ。下手したら国家機密並のこともあるから」

「げっ、そうなのかよ。なら、これ以上追及はしねえよ。さ、食べようぜ。冷めちまうからな」


 アルはそう言って鍋からよそって食べ始めた。シャルもそれを見て食べ始めたから、僕とフィノはもう一度目を合わせて何時か二人に打ち明けられる日が来ればいいな、と思って鍋を食べる。


 午後からは僕が三人に魔法の基礎を教えることとなった。

 基礎は魔力操作と制御の簡単なやり方で、それほど凝ったようなこともさせなければ魔力が枯渇するようなこともさせない。

 したことは僕が危害のない『魔力弾』を作り出して、その『魔力弾』を壊さないように弾くという簡単に見えて難しい遊びをしたぐらいだ。


 これは両手に一定の魔力を流すことで弾くようにした『魔力弾』をバレーをするかのように弾いて渡す、というゲームのようなものだ。

 流す魔力が少ないと軽くダメージを受け、多いと『魔力弾』が破裂するというわけだ。

 こうすることで遊びながら魔力制御と魔力操作を練習させることにした。


 初めて見た二人はこれが何なのかわかっていなかったけど、僕とフィノが実際にしてみることで安心したのか最後の方ではチームを組んで遊んでいた。

 さすがに僕がいた方は勝つようになるから罰ゲームはいれなかったけど、今度から入れてもいいかなと考えている。




 次の日。今日は試験内容の発表の日だ。

 僕達は試験内容が張り出される学園の入り口まで来ていた。そこにはすでに多くの受験生と保護者らしき人が集まっていた。

 見た感じ貴族が多く従者か護衛が傍にいるといった感じで、試験内容に肩を落とす者と嬉しそうにする者、虚勢を張って口元が引き攣る者、自信満々に胸を張って帰る者とバラバラだ。


「ここからだとよく学園が見えねえんだな」


 アルが学園の敷地を隔てている柵に触れながらそう言った。

 白い雪が積もった五階建てほどの高さの学園の校舎の屋根は見えていて、ここからだと敷地内に生えた木々や真っ白な中庭、巨大な噴水、校舎とは別の棟が数棟見える。聞いた限りでは他に大図書室や大広場、訓練棟、薬草棟等々武術関係から魔法関係、調薬関係まで揃っているとのこと。

 ここからいろいろな技術が生まれるのがよくわかる。


「試験に合格すれば嫌というほど見れるようになるわ。それよりも試験内容を見に行きましょう」


 シャルはそう言ってアルを引っ張っていき、僕とフィノはゆっくりと二人を追う。

 門のようなところの前には掲示板が設置されていてそれに試験内容がでかでかと書かれた紙が貼られていた。


「何々……」


 試験内容は以下の通り。

 筆記試験・技術試験・実践試験の三つを二日に分けて執り行う。

 八時四十五分までに学園内に入り、受験者である証明書を校舎入口の係りの人に見せ、指示に従って各教室に向かうこと。また、一秒でも遅刻した者や証明書を無くした者は問答無用で不合格とする。その後九時より試験を開始する。

 筆記試験の試験時間は各三十分の十分休憩とする。その後四十分間の昼休憩を挟み、技術試験を行う。技術試験には時間を設けないが、試験官の指示に従って素早く動くこと。

 ※カンニング、無記名、代人受験等を行ったものは問答無用で不合格とする。酷い場合は永久的に試験資格を剥奪するものとする。


 一日目。

 筆記試験は算数、国語、歴史、一般教養、魔法についての計五つの各百点満点とする。

 技術試験は武術試験と魔法試験の二つがあり、武術試験は自分の得意とする武器を持ち試験官と闘ってもらう。負けたからといって不合格ではなく、純粋に身を守れる技術を持っているかを見る。

 ※魔法使用不可ただし身体強化・武器強化は有、魔道具使用不可、飛び道具有ただし状態異常が込められたものは不可とする。

 魔法試験は最も自信のある魔法を特別な魔道具に放てもらう。試験項目は魔道具によって測る消費魔力と威力、試験官三人による使用魔力量、行使した魔法の等級、放つまでの時間等いろいろと視られることとなる。

 ※自身最強の魔法ではなく、得意な魔法を使用すること。

 武術試験、魔法試験共に百点から減点・加点する方式とする。


 全ての試験の合計点数が六百五十点を超えたものを合格とし、合格人数を百名ぐらいまでとする。少ない場合はそのままとし、多い場合は上位百名ぐらいを合格者として、試験終了日を入れた三日後の日に張り出しを行う。


 二日目。

 実技試験は実際に受験生同士二人で戦ってもらう。魔法・魔道具何でも有の内容とし、自身の全力を出し切って挑むこと。ただし回復薬等の道具使用は不可、回復魔法は有とする。特殊な結界を用いて行うためダメージは全て精神ダメージとなるので怪我の心配はしなくてもよい。勝ったからといって合格するとは限らない。そして、点数はつかない。




「……これはまた、厳しくねえか? 全部で……七項目だから七百点満点だろ? 無理じゃね?」


 アルがこの世の終わりを見たかのように愕然として言った。隣で手を取っているシャルも同様なようだ。

 周りを見るとアル達と同じような顔をしている人がちらほら見受けられる。隣にいるフィノも若干不安そうだ。


 それにしても証明書って何だっけ? ……ああ、そういえば推薦状とここの学園長に渡す手紙があったな。まだ昼まで時間もあるからこの後学園の人に言って取り次いでもらおう。

 っと、その前に三人を安心させてあげようかな。


「三人とも安心しなよ。多分七百点満点じゃないからさ。実際はもっと高いと思うよ」

「は? 何言ってんだシュン。筆記試験の五つと技術試験の二つの合計八つ、それがそれぞれ百点満点だから……七百で合ってるじゃないか。二日目の実技闘試験は入らないんだぞ?」

「そうね。私でもわかるわよ?」

「シュン君、どういうことなの?」


 何言ってんだこいつというように見るアルとそれに賛成するシャル、心配するフィノを近寄らせて周りの人に聞こえないように僕が気付いたことを伝える。


「いい? 確かに筆記試験は五百点満点で合っているけど、技術試験は百点満点じゃないよ? どこにもそんなこと書いてないしね。更に言えば百点満点だとしたらどうやって加点するの? 減点だけでいいよね? そう言うことだから少なくとも百五十点満点で、多くても二百点満点だろうね」

「ああ、そうか。そう言われればそう言う気がするわぁ。シュンが言っていることが正しい気がするな」

「そうね。それなら合格点数が普通に見えるわ」


 アルとシャルは胸を撫でおろして安堵する。

 フィノが何か言いたそうにしているから聞こうとすると、僕の魔力感知に大きな魔力反応を感知した。が、すぐに反応が消え去り確かめられなかった。


 ん? 今、結構大きい魔力反応を感知したぞ? 気のせいかな? でもそんなこと今まで一度も起きたことなかったしな。僕の感知をすり抜けるには師匠並の魔力制御能力がいると思うんだけどな?

 まあ、考えていてもわからないし、悪意を感じたわけじゃないから放かっておいてもいいよね。


「どうしたの? シュン君」

「いや、何でもないよ。フィノこそ何か言いたかったんじゃないの?」

「あ、うん。満点が七百点じゃないことは分かったけど、どうして言い切れるの? もしかしたら違うかもしれないし……」


 また感じた。

 感知した右側に目を向けてみたけど、そこには誰もいなかった。

 うーん、絶対に誰かいる気がするんだよね。

 だけど、今度は魔力を覚えたぞ。次は逃がさない。


「まあ、絶対とは言えないけど筆記試験は満点ってついているのに技術試験についていないのはおかしいと思うよ。書き忘れっていうのも考えられるけど、どう考えてもミス出来る範囲が五十点までっていうのはおかしい」

「そっかー、そうだよね。さすがシュン君だね」


 フィノはそう言ってはにかむように笑顔を見せてくれる。


「大体この試験内容も意地が悪いんだよ」

「ん? どういうことだ?」

「だってさ、筆記試験の魔法についてって何? 漠然としすぎだよ。二日目の実技試験なんて何のためにするのさ。武術試験でいいよね? 最後の点数はつけないっていうことは点数以外に何かをつけるっていうことだよね?」

「言われてみればそうだな。魔法試験の自分の得意な魔法を使用しろっていうのもなんかありそうだしな」

「そうね、普通は最高の魔法とか、自身が使える最強の魔法とかよね」


 ――ッ! きた! 『アースバインド』


「……? どうしたの、シュン君。いきなり魔法なんて……って、この人誰?」

「――っ!? いたいっ! に、肉挟んでるって! ギ、ギブ、ギブアップしますぅ!」


 今度こそ感知した瞬間に無詠唱の動作なしで魔法を放ち、魔力が掻き消える前に全身を拘束した。

 フィノは僕が魔法を放ったことに気が付きすぐに僕に聞いてきたけど僕が向いている方向を見るとすぐに僕の腕に抱き付いてきた。まあ、自分の隣に土で拘束された深緑色のフード付きコートを目深く被った、いかにも怪しい不審者ですっていう人が居れば驚いて飛びつくだろう。


「あなたは誰ですか? 先ほどからずっと僕達を見ていましたよね? 相当上手く魔力を隠していたみたいですが僕はそれぐらいじゃあ騙されませんよ? さあ、白状してください。さもないともっと痛くしますよ?」

「は、話すから、この魔法を解いて!」

「いえ、白状するまで解きません。さあ、言ってください」


 僕は拘束した人のフードに手を掛けながらそう言った。フィノは僕の背中に匿い、アルとシャルはまだ状況が飲み込めていないようだ。周りの受験生はこちらが見えていないのか誰も見ていない。

 恐らく、これもこの人の魔法なのだろう。

 種族までは分からないけど声は男のものだから男性だろう。


 フードを剥ぐとその顔が露わとなった。フードの下は大変美形な顔があり、長い緑色の長髪から尖った耳が覗いていることからエルフだとわかる。その顔は苦痛に歪んでいる。

 だけど、僕はこの拘束を緩ませるつもりはない。こんな不審者の拘束を解いてフィノに危害があっては困るからだ。


「お、俺、学園長! 学園長のノールスウェイ・ルルノア・ルーンホアードだから! この学園で一番偉い人。不審者じゃない。だから、この拘束を解いて、お願い。さっきからお腹の肉が挟まって痛いんだよ」


 ノールスウェイと名乗ったこの人は涙目で懇願するように頭を下げてそう言った。


 ふぅー、学園長だったのか。今ならまあ、わかるような気がする。感知できる魔力もフィノに匹敵しそうだし、実力も相当ありそうだ。

 だけど、学園長にこんなことをしたというのにあまり罪悪感がない。

 でも、このままにしておくことも出来ないからとりあえず拘束は解いておこう。


 魔法を解くと体を曲げて挟まれていたのであろう場所を押さえている。


「っつぅー、君容赦ないね。……うわっ、真っ赤になっているじゃないか。『ヒール』っと。ああー、痛みが引いてくぅ」


 おじさんが熱々のお風呂に入っているようなことを言いながら回復魔法を掛けるノールスウェイさん。


「学園長とは知らず申し訳ありませんでした」


 僕は軽く頭を下げて謝る。

 ノールスウェイさんは僕が謝るとは思わなかったのか固まった。


「で、ノールスウェイ学園長はなぜここにおられるのですか? しかも、巧妙に魔法を使ってまで隠れて見張るようなことを? 今も認識阻害の魔法を使っていますよね」

「そこまでばれてんだ。い、いや~、君達のことをご両親から聞いてね、そろそろ来る頃じゃないかと思っていたんだ。手紙も受け取っているんでしょ? なのに、君達は私のところに来る気配がない。あんなに楽しみにしていたのに、来てくれないなんて悲しかったよ。そこで、試験内容発表の日には来るんじゃないかと見張っていたんだが、思った通り来てくれた。すぐにわかったよ? 君達がご両親から自慢もとい、聞かされた二人だっていうのは。私の目には誤魔化されないよ、君達二人の魔力は。既に合格でもいいんじゃないって私は思うけど、一応これは規則だから受けてね」


 最後は僕とフィノだけに聞こえるように言った。

 僕とフィノは顔を見合わせて義父さん達がどういった手紙を出したのか気になった。特に僕は。


「それにしても、君達二人の魔力量は桁外れだねぇ。君に限って言えば私ですら誤魔化されるところだったよ。あの子達が自慢するのもわかる気がする。そこまで魔力を制御出来るのなら魔法の方もすごいんだろうねぇ。……っと、ご両親から私への手紙と推薦状を貰ってるんだろう? 出してみ。あと私のことはノールでいいよ」


 ノール学園長は一人で感慨深そうにしていると急に思い出したかのように僕にそう言ってきた。

 僕は少し驚きつつ収納袋に入れていた義父さん達からの手紙と推薦状を取り出し手渡した。ノール学園長はそれを受け取るとまず手紙を読み始めた。


「……ふむふむ……ほう……あははは。了解了解」


 ノール学園長は軽く驚き、最後の方に目を向けるとうれしそうに笑った。そのあと何かを了承するという言葉を頷きながら言った。


「何と書かれていたのですか?」

「ん? ああ、君とフィノちゃんのことだよ? 前に届いた手紙には自慢しか書かれていなかったけど、この手紙には君とフィノちゃんがどういったことをしてきたのか~どういった関係なのかまでね。(君のことが簡単に書かれているけど誰にも話すつもりはないから安心していいよ)」

「ああ、それはありがとうございます。それで、僕の受験証明書はいただけますか? それがないと三日後の試験を受けられないのですよね?」

「ああ、君の証明書ね。……はい、これ。あれを読んだだろうからわかるだろうけど、それがなくなったら入学できないから絶対に無くさないように」

「入学ですか……」

「そ、私は君がいや、君達が落ちるとは思えないからね。聞いた話ではここに来る意味あるの? っていう感じだしねぇ」


 ノール学園長はコートのポケットから一枚のカードを取り出すと僕に手渡し、心底楽しそうにクツクツと笑った。


「来る意味があるかどうかは実際に入ってみないとわかりませんね。それに僕は友達を作りに来たみたいなものですから、既に来た意味はあったかもしれませんね」

「私もそう思います」


 僕が隣にいるアルとシャルを見て言うと、僕の後ろからフィノが隣に出て嬉しそうにそう言った。


「そうかそうか、それは良かった。それにしても、君達は本当に友達を作りに来たんだ。最初は半信半疑だったんだけど、今は心の底から信じられるよ。友達をたくさん作りなよ。試験日は私も顔を出すから楽しみにしているよ。あの試験内容に気が付いたのは君達だけだ。本当に楽しみだ。じゃあ、今度は学園でね」


 そう言ってノール学園長はその場から去っていった。

 僕は受け取った証明書を収納袋の中に入れ、固まっているアルトシャルに声をかけた。


「アル、シャル。そろそろ帰ろうか。今日も冒険者ギルドで特訓するんでしょ? 時間無くなるよ」


 僕がそう言うと二人は激しく揺れて僕に詰め寄ってきた。


「ど、どどどどういうことだよシュン! お前学園長先生の知り合いだったのか!」

「そ、そそそそうよ! フィノちゃんも親しそうにして!」

「いやいや、僕とフィノは知り合いじゃないよ。フィノの両親がここの卒業生なんだよ。だから、ノール学園長に手紙を受け取っていたんだ」

「そうよ。私の父様と母様はここの卒業生なの」

「じゃ、じゃあ、その推薦状って何だよ。シュンは受験生じゃなかったのか?」

「もう受験生だよ。僕は急遽魔法学園に行くことが決まったからね。手紙の半分はそのことが書かれているんだと思うよ」


 僕はこの話はおしまい、とフィノを連れて冒険者ギルドに向かった。その後ろには一歩離れてツェルがいて、そのまた後ろの方にはアルとシャルが首を傾げながら付いて来ている。




 それから三日程魔法の基礎練習と模擬戦闘を繰り返し、筆記試験用の勉強も四人で行った。前日には予行練習として都市から出て実際に魔法を使い、思いっきり戦ったりした。

 いよいよ明日は本番だ。


シュンの戦闘はもしかして模擬戦御ルール以上のダメージになりますかね?

打撲までってどこまでなのでしょうか。

推薦状を出すのが試験三日前だということには突っ込まないでください……。

そこは小説だということでスルーをお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「げっ、そうなのかよ。なら、これ以上追及はしねえよ。さ、食べようぜ。冷めちまうからな」 根掘り葉掘り他人のこと、そんなに気になるんだね。
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