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祭りの終わり

大分空いてしまい申し訳ありません。


二週間ほど前から酷い腰痛で椅子に座れず、ここ最近やっと椅子に座れるようになったところです。

姿勢が悪いので余計に治りも遅く、腰痛はなかなか治らなんですよね。

まあ、幸い骨には異常が無く、筋を痛めていただけで薬と湿布の処方で済みました。

今でも長時間同じ体勢でいたり、変な座り方や寝方をしていると痛みます。

痛みがズキズキではなくズーンとずっと痛いのですよ。

初日なんて左側の激痛で目が覚めたぐらいです。

適度な運動、若しくはストレッチが大切な理由が分かる良い教訓とでも言いますか、人間実際痛い目に遭わないと分からないんですね。

皆さんも気を付けてください。


それと、小説自体はほぼ最後まで書き終わったので、これからは毎日投稿します。

最後までよろしくお願いします。

 映像や『投影』の魔道具を使って、中央公園の世界教の教会で開かれている結婚式を映し出す。


 僕やフィノは式に出席して、主役であるローレ義兄さんとローレライ義姉さんが手を取り合い、祝福と仲介人のシルヴィアさんが祝詞を唱えるのを、義父さん達と一緒に並んで見てる。

 多くの貴族や集まっていた各国の王族や重鎮も出席し、僕達と同じようにその瞬間を待っているんだ。


 そしてついに、シルヴィアさんの祝詞が終わった。


『世界教教皇シルヴィア・ヴァレンタインが、ローレレイク・マルス・シュダリア、と、ローレライ・リリ・ジルベスター、の結婚を、しかと見届けました。これよりお二人は神に誓いあった夫婦となります。待ち受ける苦難も、幸福も、喜びも全て分かち合い、協力してほしく思います』


 そして、爆発する祝福の叫び声。


 何万という人々が一斉に歓喜の咆哮とも呼べる声を上げ、耳に響く拍手の音に交じって口笛のような音が所かしこから聞こえる。

 この日を、この瞬間を、このワンシーンを見たいがために集まった人達なんだ。

 この熱狂は何時間、ううん、何日って続いて、ぶち壊そうとする邪神を退ける切っ掛けになってくれるはずだ。


『皆の祝福の声、私も嬉しく思う。これほどまでの人に祝福された者は歴史の長い我が国でもいないことだろう』


 こっち風の結婚式で貴族や王族の新郎が着る軍服っぽい白と赤の綺麗な服、その上に豪華なマントを羽織ったローレ義兄さん。

 拡声器によって響き渡る声が祝福の声を静め、誰もがローレ義兄さんのセリフを待つ。


『通例通りならば、民にお触れを出すだけとなるのは皆も知っていることだろう。先日のガーラン魔法大国と獣人族の国ビスティアの襲撃。この二つの事柄を憂い、皆を不安にさせる噂、未来を曇らせる暗雲……』


 魔法大国やビスティアの人達もいるから、言葉も考えて話さないといけない。

 下手したら襲撃を喜んでいるようにとられるからね。

 それだけは避けないといけないんだ。


 まあ、支援をしているからそんなわけないってわかると思うけどね。


『しかし! 皆もそれが杞憂ではないと薄々勘付いていることだろう』


 騒めき出す国民。

 ローレ義兄さんは鎮まるのを待たずに、不思議と届く声で告げる。


『二年前の大規模魔物侵攻と魔闘技大会襲撃、隣国ジュリダス帝国での内乱、各地でも目に見えない騒ぎが起き、極めつけに先の件……』


 一旦そこで区切り、固唾を飲む人達をぐるりと見渡した。


『世界教から邪を祓うお守りが配られ、豹変する者、苦しむ者、騎士に連れて行かれる者を多くの者達が目撃したはずだ。それらは全て、世界を終焉へ導こうとする邪神が動いているからに他ならない!』


 口々に邪神、嘘だろ、本当だったのかと上がる。

 ローレ義兄さんはローレライ義姉さんの手を取り、王として言い放つ。


『だが、安心してほしい! そのために王国、帝国、魔法大国、聖王国四大国が手を取り合い、エルフやドワーフと様々な種族とも渡りを付けた! その中には当然魔族もいる!』


 今度は魔族という言葉に反応する。


『魔族は敵ではない! 中には敵となる魔族もいるだろう。しかし! 私達の中にも敵となる者は多くいるのだ! これは単なる戦争ではない。世界の命運と私達アルセフィールに住む人間が生き残るための存亡をかけた決戦となる。魔法大国やビスティアの悲劇を未然に防ぐためにも、強力な魔族の力が必要だと分かってほしい!』


 それでもなかなか信用できないのが実情だ。

 でも、魔族からしたら同じ気持でもあるんだ。


『既に魔王との協力も進んでいる! 此処にいる王国が誇るSSランカー幻影の白狐シロこと、私の妹フィノリアの婚約者シュンが見事友好を結んでくれた! 結婚式という晴れ舞台で言うようなセリフではなかったが、このような場を借りてでも告げなければならなかった事態になっていると分かってほしい』


 ローレ義兄さんが軽く頭を下げ、続いて出席していた人達も頭を下げたものだから皆驚いて言葉を無くす。

 魔族との共闘もあり得ないことだから、それ以上に有り得ないことをして受け入れてもらうしかないんだ。

 そういうのが上に立つ者としてやれることだと僕は思うからね。


『何もこれは悪い事だけではない。もし……いや、決戦に勝てば魔族との関係が良好へ向かう。それは怯えるものがなくなるということだ。シュンとフィノリアには各地の協力を得てもらうために回ってもらった。皆は、その苦労と思いを少しでも理解できるなら無碍にしないでほしい』


 訴えかけるのもそう。

 少し罪悪感が芽生えるけど、日常的にやっていることと変わらない。

 例えば、僕の思いをフィノに知ってもらいたいっていうのとね。


 少し待てば、ちらほらと声が上がる。


「よく考えたんだが、魔族ってどんな奴だ?」

「そりゃあ凶悪で残忍なんだろ?」

「えー? でも、フィノリア様が会ったっていうじゃない」

「負けてられん! ローレレイク陛下達が言うのだから大丈夫だ!」

「シロはあの子だったの!? 一緒に組んだことがあるんですけど……」

「何言ってんだい! シュンちゃんとフィノリア様はよく見かけてたよ」

「そうそう、シュンは元々強かったしな」


 別にサクラを紛れ込ましたりはしてないよ?

 元々いろんな種族と渡りを付けて、エルフ族やドワーフ族が来ていたから魔族と持って噂があったんだ。

 利用はしたけど、これは全てローレ義兄さん達の人徳がなせるものと言えるよ。


『皆思う所はあるだろう。だが、彼等もまたこの世界に住む一つの種族なのだ。この決戦は厳しいものとなるだろう。そして、大きな分岐点となる。皆には、私達一同、心から輝かしい未来のために協力を願う。私とローレライの、この結婚式は輝く未来への第一歩となるだろう』


 そう締め括られ、一拍空いて大爆発。

 昼前の空に魔法を封じ込めた魔導花火が咲き誇り、陸から拍手と歓声の音の波が打ち寄せる。


「何とか無事に終わったね」


 一つの山場を乗り越え、一息ついて疲れを見せるフィノ。


「そうだね。だけど、反対する人はいるだろうし、まだまだ気は抜けないよ」

「うん」


 そして、ローレ義兄さんとローレライ義姉さんのパレードが始まった。

 危険だっていう意見もあったけど、そこは魔道具や僕達が傍にいることで守ることで封殺。

 それぐらい出来ないと勝てるわけがないってね。


 純白と漆黒の馬が引く馬車に乗り、大通りを通って王城に帰る進路だ。

 僕とフィノはローレ義兄さん達の後ろに座って、その後ろにダグラスさんとレムエストルさん、クロスさんとララさん、フェルナンドさんとバランさんっていう順番。

 最後に騎士達のパフォーマンスが始まって、様々な催しから祭りムードに戻っていく。


 次は僕とフィノの結婚式になると思う。

 何故か普通よりかけ離れたものになる気がするんだけど……その輝かしい光景を見る為に何としても生き残るんだ!

 フラグ?

 そんなのへし折って逆にぶつけてあげるよ!




 そして陽が暮れ、辺りが徐々に薄暗くなってきた。

 あと一時間もすれば花火大会が始まって、このお祭りは終わりを告げる。

 僕達は屋敷に戻ってそれをじっくりと見る予定なんだ。


 義父さん達は各国の人達のお世話があって、ローレ義兄さん達は下世話だけど新婚さんだから夜のお仕事があって、シルは一緒に来てるよ。

 後アル達、アルタ達、お世話をしてくれるフォロンとツェル、そして何故かポムポムちゃんとサテラさんがいて、バリアルとバーリスがスイカをドカ食いしている。


「ほんと、なんで?」


 いやね、来るだろうなぁとは思ってたよ?

 でも、本当に来るとか……ね。


「現実逃避してないでおもてなししないと」


 そう言って現れたのはフィノだった。

 でも、何時ものフィノじゃない。

 僕と色違いでお揃いの浴衣を着て、普段下ろしている髪を簪でお団子にした可愛いフィノ。

 勿論何時ものフィノもすっごく可愛いフィノだけど、今のフィノは違う意味で可愛いフィノで、普段と違うフィノに僕はドキドキしてる。


 こ、こう言う時は褒めるんだったよね。


「フィ、フィノ……僕の見立てに間違いはなかったよ。率直な感想だけど、凄く抱きしめたい」

「え? シュ、シュン君も似合ってるよ。抱きしめられたい」


 うっ、フィノの顔が夕日に照らされて分かり難い。

 でも、それが余計に雰囲気を醸し出して――


「見てくださいよ、ステラ。初々しいというか、変わっていませんね」

「はい、魔王様。お二人から愛のオーラが出ています」

「愛のオーラですか。私もそろそろ相手を見つけるべきでしょうか? 最悪シュンさんに」

「それは止めておいた方がよろしいかと」

「そうですね。お二人は見ていた方が楽しいですもんね」


 いやいや、それはどうなんだろう?

 僕としては大いに助かるけどさ。


「ガシュガシュガシュ! このスイカという果物は美味いな! 特に程よい甘味が良い!」

「はい、父上! 少々種が厄介ですが……プッ、こうすると楽しくもあります」

「種を食っても問題はないだろうが……まさか、腹の中で生えることもなかろう」


 そういう迷信こっちの世界でもあるのかな?

 種なしのスイカが作れないことも無いけど、一々作ってもあんまり意味ない気もする。


「なあ、シュン。あの子誰なんだ? 隣にいる女は滅茶苦茶エロっぽいんだが……。レックスが死にそうだ」


 アルが向いた方を見ると、


「やっべっ!? 俺のセンサーが反応グハッ!」

「何言ってんのよ!」

「いやいや、あれを良く見ろ! 少し動いたら零れんばかりのゴフッ! あっちの方がスイカじゃギャッ!?」

「今日という今日は許さないわッ! この際貴方のゾウさんを千切ってやる!」


 ……僕は何も見なかった、聞かなかった。

 フィノがゾウさん? と呟いていたのも気のせいだ。


「正体については知らなくて大丈夫だよ。世の中には知らない方が幸せなこともあるんだ」

「いやいや、最近知っておかないといけないことだらけだったんだぞ!?」

「アル、聞いて後悔しないって言える?」

「フィノまで!?」

「アールー。フィノちゃんがこういうんだから知らない方が良いのよ。ただものじゃないのは分かるし、あっちの二人は竜人? でしょ?」


 竜人じゃないけど似た様なもんだ。

 そう言ったら怒るかもしれないけどさ。

 でも、実際人型の時は区別付けられなくて、何でも流れている竜の血筋が違うから区別されているんだって。

 バリアルやバーリス竜魔族は翼と四本足の西洋竜と言えばいいのかな? で、竜人族は蛇型の東洋竜の血筋みたい。


「そ、それも聞きたかったんだ! いつ、竜人と知り合ったんだ?」

「アル!」

「お前だって気になるだろ? 竜人つったら伝説の戦闘部族だぞ。一生のうちに一回会えるかどうかも怪しいし」


 竜人は戦争がなくなってから姿を見せなくなったからね。

 僕もバリアルの仲介で一度会ったけど、どこか違う気配を持つ人達だった。


 精霊や世界樹みたいに世界の龍脈を護る? 維持する? よく分からないけど管理しているって言ってて、邪神の気配も掴んでて独自に動こうとしていた所にバリアルが来たんだって。

 争いに発展したみたいだけど、事態を聞いて僕と話すことになったんだ。


 二人はレックスとレイアを仲裁して、バリアル達に声をかけに向かう。

 そこへ入れ替わりでシル達がやって来た。


「話さなくてよかったんですか?」

「いずればれることだけどね。この場では普通にしてほしいと思って」

「なし崩しにアル達も巻き込もう、とか考えてるでしょ」


 フィノには隠し事出来ないね。

 何度も言うけどしないからね?


「やっぱり、シュン兄様はシュン兄様です」


 ぐっ、言い返せない。

 シンシアさんのことで負い目もあるから余計に。


「シンシア様のことは何も思ってないですよ? 話してみると結構楽しかったですから。予め教えてくれていると助かりましたけど、シュン兄様は忙しいので仕方ありません」


 分かっていますよって一片の曇りもない笑顔を見せるシル。


 絶対怒ってるよ!

 怖くて鳥肌が立つもん!

 フィノがいるからそこまでじゃないけど、いなかったらどうなっていたか……。


 僕は、引き攣った笑みを浮かべるしかなかった。


「シル、こっちに来てそうめん食べましょう。夕食はまだだったよね?」

「はい、フィノ姉様!」


 ありがとう、フィノ!

 目で今度一つ言うこと聞いてねって言われたけど。


「そーめん、というのは何でしょう?」

「白い麺のようですね。以前食べたラーメンの親戚ではないでしょうか」

「そうめんは冷たい料理ですよ。このツユに氷水で冷やしたそうめんを入れて食べてください」

「暑い夏にぴったりの料理ということですか。こちらの卵や野菜はトッピングでしょうか?」

「はい、上に乗っけて一緒に食べるとまた美味しいんです」


 本当は竹を切って流しそうめんにしたかったんだけどね。

 僕的には昼間にしたくて、ここならこっちでいいかなって思ったんだ。


「レン達も楽しそうで何よりだ。アルタはリリの所にいなくていいの?」

「そ、それは……良いんです。俺はゆっくり進めて行きたいと思っているので」


 アルタにはアルタの進め方がある。

 人の恋路を邪魔する奴は何とやらって奴だ。

 心の中で応援しよう。


「あ、決戦前に結婚しようとか言わないようにね?」

「……何故でしょう?」

「え? あー、や、そういう人って……よく、ここぞって時に失敗するじゃん?」


 これこそフラグになるのでは? と頭をよぎって仕方がない。

 縁起でもないことを言っている自覚はあるんだけどね。

 実際僕は似たような立場にいるわけで……頑張って強くなっておこう。


 アルタにジト目を向けられ、気まずい雰囲気になった時丁度陽が暮れ、ドンッ、と大きな破裂音が轟いた。

 そして、何かが打ち上がり風を切る音が響き、暗い夜空を照らす大きな花が咲き誇る。


「花火大会が始まったんだね」


 そこへ花火に頬を綻ばせるフィノ達が戻って来た。

 僕達の分のそうめんも持ってきてくれて、お礼を言って受け取る。


 星々に混ざって様々な花が咲く。

 魔法を使ってるから多少違いはあるけど、世界は違っても空は地球と同じに見える。

 花火が上がればなんとなく感慨深い気持ちが湧く。

 もう割り切っていても、あの記憶だけは放れないみたい……。


 はぁ、それも照らされるフィノの横顔を見ればふっきれるけどね。


「これが花火ですか……汚くないですね」


 ツッコまないぞ、僕は!


「大会と言っても職人のお披露目みたいなものかな? 次からしっかり規約とかルールを作って、ってな感じになると思う」

「花火を作るのは難しいと聞きます。それは魔導花火でも同じなのですか?」


 と、意外なことにリリが興味を示して聞いてきた。


「花火と魔導花火は全くの別物だよ。花火は火薬や金属粉を使った繊細な物だけど、魔導花火は魔石を芯に回路を組んで魔法を起動させる使い捨て魔道具みたいなものなんだ」

「では、仕組みが分かったら誰でも作れるということでしょうか?」


 今度は魔道具という単語に反応したクラーラ。


「魔道具とも別物だからね。魔法陣、魔法文字や術式、打ちあげたい花火の回路、爆発距離に規模も考えないといけない。造形魔法を使っているからわかると思うけど、それを術式で作って、色の順番とか、爆発するタイミングとか、無害な威力とか考えないといけないんだ」


 魔導花火は僕が発案して、アルカナさんと一緒に作り上げたものなんだ。

 最初は花火の魔法開発だったんだけど、折角なら誰でも遊べるように道具にしてしまおうってね。

 花火は高級品だから、家庭用の花火は存在しないから尚更興味が出たよ。

 完成した魔導花火は商業ギルドが買い取って主導で開発・販売する予定だ。


 魔導花火は回路とかさえ考えておけば、後は職人がちょろっと書き込むだけだからね。

 費用は掛からないし、安全面も水や光にしておけば無害だ。


「なんか閃光弾みたいな感じだな」

「あー、なんとなくわかります。あれ、すっごく眩しいですよね」

「魔導花火は全くだけどな」


 花火を信号弾にしようって話も上がってたりするんだ。

 魔導花火を作ってれば嫌でも術式を覚えてしまうから、イメージが固定できなくても魔法で再現できるってわけ。


 そこから様々なアイデアを入れた職人達の花火が大空へ放たれる。

 皆思い思いにその花火を見て感動しているようだ。

 研究した副作用とでも言うのかな? 今までの花火よりも派手になってるところもあるからね。

 花火作りとか、高位貴族や王族の物ってイメージが強くてあまり有用視されず、開発の着手もその手の職人が個人として開発する程度だった。


「綺麗だね、シュン君」

「風情があるね、フィノ」


 風鈴が飾られている廊下に座って、僕とフィノは同時に同じようなことを口にした。

 顔を一緒に見合わせて、クスリと笑う。


 そして、空に大きな花火が咲く。


「……シュン君と会って、私はすっごく幸せ」


 床に突いている手にフィノの指が絡む。


「私は何度でも思うし、何度でも言う。ありがとうって」


 目を離さず告げられる。

 僕も花火から目を離さず、触れ合う指先を組み合わせた。


「僕もそうだよ。その幸せを終わらせないために」

「この光景をもう一度見る為に」

「「絶対に勝とうね」」

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