表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【星の魔術大綱】 -本格ケモ耳ミステリー冒険小説-  作者: 宝鈴
第46章【Vitriolum】蜂蜜のように滑らかな
282/339

1 組織のメンバーについて、改めて解説しよう

【Vitriolum】蜂蜜のように滑らかな


[意味]

vitriolum (ラテン語)

・蜂蜜のように滑らかな

・ガラスの


vitriol (英語)

・硫酸 (oil of vitriol)、硫酸塩

・強烈な批評、辛辣な皮肉、激しい暴言

・硫酸で人を傷つける、攻撃する


[補足]

ラテン語「vitreus (ガラスの、艶のある、透明な)」に由来する。中世の錬金術師は「硫酸」が滑らかな液体で、ガラスのような結晶を形成することから、硫酸のことを「oil of vitriol (ガラスの油)」と名付け、現在でも科学用語として使用されている。また、強烈な批評や辛辣な皮肉が「vitriol」と呼ばれているのは、それらの言葉が、硫酸のように腐食性が強く、劇物であることに由来している。





 この辺りで、だんだん増えてきた【Fausts(ファウストス)の組織】のメンバーについて、判明していることを整理しよう。

 この話を途中から読み始めた者は、ネタバレになってしまうのでご注意されたし。


 まず【Fausts(ファウストス)の組織】とは、アルバになり損ねた者たちを集めてできた組織である。その中には、本物のアルバも所属している。

 彼らが犯した行為は、詐欺、横領、暴行、爆破、殺人などなど……立派な犯罪集団だが、アーサーの父フィリップ・フェルジナンドによると、彼らの真の目的は「民族浄化」らしい。

 略名は【Fs(フス)の組織】。


 彼ら組織の名称、ファウストスとは「祝福されし者」の意味であり、これは「アルバの家系出身ではないのに、多量のマナを持って生まれてきた者」を指す。

 そのような人物自体は、高名なアルバにもたくさんいる。例えば、家事呪文で有名なマダム・ミッキー、登山呪文のシュテファン・フーバーバーグなどもそうだ。だが、成し遂げられた人物など極少数……現実は、アルバにすらなれなかった者が大半だ。



 現在判明している、組織がらみの「祝福されし者」は、4名。

 まずはサウザス校長、ユビキタス・ストゥルソン。

 彼は町長オーガスタスを脅し、サウザスの秘宝を手に入れようとしていた。アルバであるショーンを憎んでいる。現在はクレイト地区の監獄に収容中だ。

 そしてサウザス地区の創始者、故ブライアン・ハリーハウゼン。

 彼は300年以上前の人物で、Fsの組織にも所属していた。組織を抜けたときに秘宝を奪い、サウザスの金庫番に長年隠させていた。サウザス町長オーガスタスは、秘宝を奪われる寸前に、ショーンの父スティーブンに託し、組織の手から守った。

 さらに、設計図の盗難犯、ラン・ブッシュ。

 ランは、ノア地区出身で、エミリア刑事の警察学校の同期であり恋人だ。しかし警官にはならず、今どこで何をしているかは不明。エミリア刑事をたぶらかし、トレモロの秘宝である、ゴブレッティ家の秘密の設計図【Noah(ノア)】を盗み出させた。

 最後に、木の葉の仮面の男。

 この男は、前述の3名と違い、本物のアルバでもおかしくないくらい、高難度呪文の心得がある。事件後、コンベイ地区に現れた彼だが、トレモロ地区でも目撃証言がある。あまりに実力があるので、本当に「祝福されし者」かどうかは不明——名家の出かもしれない。

       


 今度は組織の関係者を紹介しよう。

 逃走中の警護官2名、レイノルド・シウバとバンディック・ロッソだ。

 彼らは長年サウザス町長の警護官をつとめていたが、経歴改竄を行っており、本物の警官ではなかった。事件後に、車を奪って逃走し、トレモロ地区の森へ駆けこみ、ダコタ州へと逃げたようだ。レイノルドのほうは、元町長秘書エミリオと、学生時代からの友人である。

 次に、流しの香辛料売り。

 彼らは事件当日、サウザス市場に来て商売をしていた。コスタンティーノ兄弟の手を借り、町長オーガスタスを脅迫、尻尾を切断した犯人でもある。秘宝が手に入らず、今はどこかへ消えてしまってる。

 さらに、コリン・ウォーターハウス駅長。

 州鉄道に勤めており、10年前、線路上で吊るされていた紅葉を、列車で轢いてしまった運転手だ。サウザス駅長になった後は、ショーンと紅葉のそばで成長を見守っていた。町長の尻尾を駅に吊り下げた犯人で、逃げる直前、モイラ新聞室長に咎められて、駅を爆破——事件後は、トレモロ地区に潜伏していたというデマが出回っている。

 そして、元町長秘書エミリオ・コスタンティーノ。

 サウザス事件は彼を中心に動いていたといっても過言ではない。自分の兄弟に協力を申し込み、町長オーガスタスの誘拐を企てた。車椅子で下半身不随とみられていたが、自力で歩いて新聞記者アーサーを殺害。事件後は自分の主治医ロナルド・メンデスをたぶらかし、ファンロン州に逃走中。

 最後に、一番謎が多い、戴泉明。

 彼は針灸医師として、ユビキタス校長とエミリオの主治医だった。コリン駅長とも繋がりがある。クレイトに医院をかまえていたが、事件後にすぐさま畳んで消えた。ファンロン州出身だが、何か関係あるのだろうか?


 彼らたちは「祝福されし者」かどうかは不明だ。【Fsの組織】かどうかも不明。別の組織に所属する、ただの協力者かもしれない。

 サウザス事件の関係者は以上だ。



 次に、トレモロで起きた設計図事件がらみを見てみよう。

 まずは、大富豪キアーヌシュ・ラフマニー。

 三輪式軽自動車ギャリバーの会社の大株主で、ノアの時計塔の守り人を務めている。ノアの大工事の発起人であり、ゴブレッティ家の秘密の設計図【Noah】を盗み出させた真犯人だと、ショーンと紅葉は疑っていた……が、つい先ほど死亡してしまった。

 そして、エミリア・ワンダーベル刑事。

 彼女は、【Fsの組織】の一員であるラン・ブッシュの恋人である。トレモロ町長ヴィーナスの娘で、トレモロ警察の刑事という特権を乱用し、図書館から設計図【Noah】を奪った実行犯だ。ショーンと紅葉からはFsの組織に潜入し、スパイになるよう脅されている。

 さらに謎の女、フェアニスリーリーリッチ。

 彼女は、エミリア刑事とラン・ブッシュの警察学校での友人で、寮の相部屋だった。ルオーヌ州出身で、警官にはならず、なぜかノア都市で偽名でピザ店員をしていた。ランに偽名の州名簿証をつくってもらった模様。組織のことは知らないと主張している。

 あとは一応、菓子卸売りのオパチ・コバチ。

 高額なギャリバーカードの盗難犯だ。賭博場に出入りし、各地区の暗部や犯罪集団と繋がっている。コリン駅長の行方情報をつかんでいたが、デマ扱いされてしまった。


 以上が、組織の関係者、もしくは協力者たちだ。

 人数が多すぎるって? 

 心配ない、この先もっと増えるだろう。たまに減っていくかもしれないが。



 念のため、追う者たちの情報も見てみよう。


 まずは新聞記者アーサー・フェルジナンドと、その父フィリップ。

 アーサーは、父フィリップに組織の件を教わり、サウザス新聞の記者として密かに情報を集めていた。元町長秘書エミリオに殺害され、自宅が燃やされた結果、何もかも不明になった。父フィリップはクレイト街で失踪後、生死不明だったが、ノア都市で水道局員として働いているところを紅葉が発見した。

 次にマドカ・サイモン。

 彼女は新聞記者アーサーの協力者で、サウザス役場に夜警として潜入捜査していた。現在はFsの組織を追って、ファンロン州に潜伏中。彼女も謎が多い人物だ。その昔、ショーンの父スティーブンに連れられてサウザスにやってきた。ショーンたちとは、今年の10月にルオーヌ州で再開を約束している。

 ショーンの父スティーブン・ターナー。

 アルバの上級職【スーアルバ】として、現在は帝都にいるはずだ。町長オーガスタスにサウザスの秘宝を託されたが、母シャーリーは知らないらしい。グレキス地区の出身で、アルバになってからサウザスに越してきた。一人息子のショーンは父親を嫌っている。

 そして、州のアルバ統括長、フランシス・エクセルシア。

 彼女はサウザス町長オーガスタスから相談を受け、【Fsの組織】の件を扱うことになった。ショーンは名目上、フランシス様の命を受けて、サウザス事件の捜査していることになっている。ショーンの母シャーリーとは、魔術学校時代の同期だ。

 あとは州警察の方たち。

 州警察のブーリン警部、私服警官ラルク・ランナー、ムキムキ兎のペーター・パイン刑事など、帝国調査隊クラウディオ・ドンパルダスもいる。もっとも、警察はあくまで「サウザス事件」の捜査をしており、命令次第で捜査は打ち切りになってしまう。


 追う者の人数が少なすぎるって?

 心配ない、この先もそんなに増えやしない。

 全ては、ショーンと紅葉の頑張りにかかっている。

 負けるなショーン、がんばれ紅葉!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ