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79話

「そ、そんな……こんな近くに同級生がいるなんて!」


「おれもびっくりっていうか、しゃべり方がぜんぜん違うからリンさんが浅井さんなんて全然わからなかった……」


「わー!!しゃべり方!?なんのことかな、わたしはゲーム内でも自然体!!」


 どうやらリンさんと兼光くんはリアルでも知り合いだったようで、世間の狭さに2人(特にリンさん)は驚き慌てふためいていた。

そんな様子を見かねてMEIさんがなだめに入る。


「はいはい、2人とも落ち着いて。うっかり個人情報を口に出さないように、ですよ」


「あっ……そうですね、落ち着きます」


「おれも慌てちゃってすみません……改めまして兼光です。こっちが保護者のお父さんです」


「どうも、兼光パパです。ちょっと息子がパニックになってしまいましたが、全員ちゃんと約束通り保護者同伴で集まっているようですね」


 リンさんと兼光くんが落ち着いたところで、兼光パパさんが挨拶をする。

彼の言う通りこれで全員約束を守ったうえで集結である。

幹事役のMEIさんがそれを受けて保護者のみなさんにきちんと挨拶をして、オフ会は無事開催となった。


「よーし、じゃあまずは集まった記念に写真を撮ろう!ちょうどククルカン像の前だしね」


 そうなると早速ルピナスさんがいつも通りのテンションで場を引っ張り出した。

さらに兄ナスさんも早速それを受けて撮影役を買って出る。


「なら俺が撮りますんでみんな並んで。保護者の方々はどうします?」


「どうするんだ?」


 密おじさんが尋ねると、秘ちゃんは意外にもノリノリらしくこう答えた。


「せっかくだから全員で撮ろうよ。撮影係はスタッフさんに頼んでさ」


「おっいいね!じゃあ兄貴もみなさんもこっちこっち!!」


「あ、スタッフさんいた。すみません、写真撮ってもらってもいいですか?」


「はい!では端末お借りしますね」


 それにルピナスさんが乗っかり、シリウスさんも手早くスタッフさんを見つけて来てあれよあれよという間に保護者組も含めた全員での記念撮影が完了した。

ルピナスさんの端末で撮影したそれが、SNSを通じて僕の端末にも送られてくる。

うん、みんな楽しそうに写っている。

なんか密おじさんもキメ顔で写ってるし。


「カカソーラさんと一緒に写真撮っちゃった……大事にしますね!」


「あはは、それはどういたしまして兼光くん。それで、次はどうする?」


 僕が尋ねると、MEIさんが端末をいじって色々と確認しながら答えてくれる。


「12時にカフェを団体で予約していますので、それまでショップで時間を潰すのが良いかと」


「オッケー、ショップね。じゃあレッツゴー!!」


「待てルピナス、せっかくみんなで来てるのに突っ走るな!」


「あ、アルカナさん!この職業イメージストラップ、お揃いで買いませんか!?」


「いいね、リンさん。カカソーラも一緒に買おうよ」


 こんな感じで周りに迷惑をかけない程度に和気あいあいと、僕達はショップエリアに向かった。

そして到着後、まずはリンさんの提案に乗っかってそれぞれがメインで使っている職業(僕なら銃剣士(ソードガンナー)だ)のイメージストラップを買った。

その後ルピナスさんが目をつけていたらしい会場限定アクリルスタンドを買いに行った……のだが。


「ウソでしょ!?ククルカンのアクスタもう売り切れてる!」


「まあ人気だもんね……あ、カウィールくんのはギリ残ってる。買おうっと」


 お目当てのものが既に売り切れており、頭を抱えるルピナスさんだった。

それをよそに秘ちゃんは欲しかったものを買えたようだが少し違和感。

ククルカンとカウィール、間違いなくこの前レイドダンジョンで戦ったばかりのドラゴン達の名前である。

しかし並んでいる残りわずかなアクリルスタンドに描かれているキャラクター達は、どう見ても人間キャラクターのような……?


「ねえねえアルカナ、ククルカンとかカウィールってドラゴンじゃなかったけ?」


「そうだよ?これはメインクエスト最新章で出てくるククルカン大陸守護竜の人間モードだね」


「そんなのあるの!?」


 DFOにも擬人化の波は来ているらしかった。

改めて秘ちゃんが買ったカウィールのアクスタをよく見ると、爽やかでどこか少年らしさを残した青年の姿で言われてみるとレイドダンジョンで見たドラゴン姿のカウィールの面影があるかもしれない。

それにしてもこのキャラが秘ちゃんのお気に入りか……アルカナの大人っぽいイケメンよりかは僕の雰囲気に近いか?

僕がそんなことを気にしている間に、他のみんなはグッズのチェックを終わらせたらしく会計へと進み出している。


「カカソーラさんは何か買わないんですか?」


「あ、いや、何か買う!どれにしようかな……」


「浮かれて変なもの買うんじゃないぞー」


 密おじさんの忠告にも従いつつ、悩んだ結果僕はエルフのカッコいいキャラクター達が並んだポスターを買うことにした。

秘ちゃんによるとDFOで女性人気の高いエルフ男性NPCを集めているらしい。

女性人気とかよくわからないけど、エルフ好きとしてはエルフのキャラクターがキャーキャー言われているのは満更でもないね。


 全員の会計が終了すると、ちょうどいい時間になったのでカフェへと向かうことになった。

カフェは予約制だったらしく、並んで入る必要はない代わりにいきなり入ることも出来ないようだ。

きちんと予約してくれていたMEIさんに感謝である。

店内では僕・秘ちゃん・密おじさん・シリウスさん・ルピナスさん・兄ナスさんのテーブルと、MEIさん・兼光くん・兼光パパさん・リンさん・リンママさんのテーブルの2つに別れてつくことになった。

とはいえ隣り合ったテーブルなので騒がしくないように気をつければ会話も可能である。

着席後、とりあえず僕はメニューを確認することにした。


 そこにはDFO内のNPC(残念ながらよく覚えていない)をイメージしたサンドイッチやサラダなど多種多様のメニューが並んでおり、デザートやドリンクもあるようだ。

キャラがわかるのはドランくんのパンケーキくらいだからキャラじゃなくてメニューで選ぶか……と思い出した頃に、僕はいい感じのメニューを発見する。

「闘技場の闘魂カレーライス」。

なんでカレーライスなのかはよくわからないが、辛いのは得意だし闘技場のメニューというのが気に入った。


「僕はこの『闘技場の闘魂カレーライス』にしようかな。アルカナはどうする?」


「うーん、この『アルカンジェル風スパゲッティ』にする。ゲーム内にもある料理なんだよ、他にも『フルッタ風アップルパイ』とかがそういうやつ……ほら、ドリンクの中にもおなじみの『ミラクルドリンク』がある」


「……絶対飲まないからね?」


 そんな感じでそれぞれ注文する料理を決めていく。

密おじさんは僕達以上の大食いなのでチャレンジメニューと題された「サマレン海兵隊マッスルパワー丼」というメガ盛りメニューを注文していた。

まあ密おじさんなら余裕で完食してデザートも追加で頼むだろう。

というわけで全員注文を済ませて少し待つと、続々とメニューが運ばれてくる。


 こういうコラボカフェの食べ物って実際に運ばれてくると写真よりショボいな……ってなるものというイメージがあったが、このカフェではそんなことはなくボリュームたっぷりの料理が運ばれてきた。

僕が頼んだ「闘技場の闘魂カレーライス」もしっかりした量と味を兼ね揃えた満足できる一品だった。

そうなると「サマレン海兵隊マッスルパワー丼」がどうなるかと言う問題になるが……


「アルカナパパさん本当にそれいけるの……?」


「コラボカフェで出ていい難易度のメガ盛りじゃないだろこれは!?」


 まあ周囲が騒然となる量となるわけである。


「お客様、こちらのチャレンジメニューは制限時間終了後ならシェア可能となっております。無理のない範囲で挑戦なさって下さい」


「わかりました、始めさせてくれ」


 しかし密おじさんは落ち着いたまま、挑戦開始の合図を待つ。

そしてウェイターさんがタイマーを起動したあとも、悠々と箸を取り手を合わせる。


「いただきます」


 ぺろり。


「ごちそうさまでした」


 余裕の完食だった。


「あ、ありのまま今起こったことを以下略……」


 オフ会メンバーどころか店内にいる別のお客さん、ウェイターさんも驚愕の食べっぷりを見せた密おじさんは、僕の予想通り追加にデザートを注文しつつアルカナにこう言うのだった。


「完食したらもらえたこの限定アクリルスタンドとかいうやつ、なんかゴツいおっさんだけど欲しいのか?」

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