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78話

 闘技場最高ランク・エトワールに向けてレベル上げと上位プレイヤーの情報収集に勤しみながら1週間を過ごし、やって来た日曜日。

僕は秘ちゃんの家へ訪れていた。


「おはようございまーす、今日はよろしくお願いします」


「いらっしゃい、天。じゃあ閑、お姉ちゃんとパパは今から出かけるからね」


「うん、いってらっしゃい。その間ママはわたしが一人占め~」


 玄関に秘ちゃんと父親の密おじさん、見送りに来た妹の閑ちゃんと母親の夜空おばさんが集まる。

いつもなら秘ちゃんのやることに自分も混ざろうとする閑ちゃんだが、今日は普段仕事で忙しい夜空おばさんが家にいるのでそちらに構ってもらうことに夢中なようだ。


「天くん、今日は楽しんで来なさいね」


「はい、夜空おばさん。移動は車ですか?」


「ああ、運転手が待機場所もちゃんと調べてある。早速出発するぞ」


 密おじさんのその言葉に従い、僕と秘ちゃんは閑ちゃんに手を振って三千院家が所有する高級車(運転手付き)に乗車する。

最後に密おじさんが乗車して、DFOファン感謝祭の会場に出発進行である。

移動中は秘ちゃんと会場限定グッズのラインナップを確認したり、密おじさんに近況を報告したりして時間を過ごす。

途中話がお祖父ちゃんから聞いた若い頃のお父さんの武勇伝()のことになって、密おじさんからより詳細な話を聞けてしまったりもしつつ約1時間半。

無事僕達はイベント会場に到着した。


「よし、着いたな。この後はあの列に並べばいいのか?」


 車は運転手さんに待機場所に移動させてもらって、僕達3人は会場前に既に出来上がっている行列を見る。


「うん、入場料とかはネットでもう決済してるから並ぶだけで大丈夫だよ」


「開場まであと1時間くらいだけど、だいぶ賑わってるねぇ」


「DFOの人気がすごいってことだよ、さあ早く並ぼう!」


 秘ちゃんの言葉に従って列に並び、開場までの時間を3人で雑談しながら過ごすことになった。

なんとなく並んでいる人達を見てみると、僕達と同じような普通の格好の人からDFOのロゴの入った服を着ている人、コスプレをしている人まで色々な人が集まっている。

もしかしたら近くにもうルピナスさん達がいるかもと思い、オフ会用に新たに作ったSNSのグループにコメントを送ってみると、ルピナスさん・シリウスさん・MEIさんの3人は既に並んでいると返って来た。

残念ながら近くにはいなかったが、今日の服装を伝え合って集合したときすぐわかるように準備した。

そんなこんなで気づけばすぐに1時間がたって、開場時間がやって来た。


「みなさーん、走らず、落ち着いて入場して下さい!!」


 イベントスタッフさんの指示に従い、のんびりと進んで会場に入ると、そこは既に熱気に溢れていた。

中央のステージでは公式コスプレイヤーさん達がショーをしているらしく、案内のアナウンスが流れている。

会場限定グッズを含むDFO関連グッズを売っているショップはどこも大盛況で、DFO内の風景を再現した展示エリアでも沢山の人が記念撮影をしている。


「おお……」


 僕は思わず息を呑み、立ち止まってその光景を見回す。

すると秘ちゃんは苦笑して、僕の右手を握って移動をうながす。


「ほら、ぼーっとしてないで集合場所に行こうよ。みんなを待たせちゃうよ」


「あ、ごめん。こういうイベント初めてだからびっくりしちゃって」


「俺達はママの仕事の都合で展示会とかよく行くから慣れてるがな」


 言葉通り慣れた足取りで人だかりの中を進む秘ちゃんと密おじさんに先導されて、僕は集合場所である展示エリアの一角・ククルカン像を目指す。

この前レイドダンジョンで会ったばかりなのでお馴染みな感じのあるククルカンさんの側には待ち合わせをしているらしい人達がたくさんいたが、先程確認した服装を頼りに見て回ると、数秒後それらしき人物を発見した。


「すみません、《ヴォワヤージュ=エトワール》のMEIさんですか?」


「……あなたはカカソーラさんと、アルカナさんと、保護者の方ですね」


「はい、良かった、見つかった!今日はよろしくお願いします、MEIさん!」


「こちらこそよろしくお願いします。保護者さんも今日はわざわざありがとうございます」


 清潔感のある服装をした中肉中背の青年――MEIさんは普段の印象通り礼儀正しく挨拶をする。


「どうも、アルカナパパです。娘と未来の息子がお世話になっています」


「いえいえ……2人ともしっかりしていらっしゃいます」


 密おじさんとMEIさんがそんな風に話していると、僕達に向かって駆け寄ってくる集団が1つ。

30代くらいに見える男性と、眼鏡をかけた高校生くらいの背の高い男子、そして背の低いとても可愛らしい容姿の少年の3人組だ。

真っ先に口を開いたのは、戦闘で大きく手を振る背の低い少年。


「見つけた!カカソーラさんだよね?見た目DFO内とそっくり!!ボクはルピナスだよ!!」


「えっ、ルピナスさん!?ルピナスさんこそDFO内と同じくらい可愛い!!」


「あはは、そうでしょうとも!こっちの大きいのがシリウスで、もう1人の方が保護者の僕の兄貴ね」


 ルピナスさんに紹介されて、あとの2人も挨拶をする。


「どうも、シリウスです。えっと、カカソーラさんにアルカナさん、2人の保護者さんとMEIさんですよね?今日はよろしくお願いします」


「こんにちは、保護者の兄ナスです」


「こんにちは、こっちの2人の保護者のアルカナパパです」


 密おじさんと兄ナスさん、MEIさんの大人組が挨拶を交わす横で僕達子供組も会話に花を咲かせる。


「いや、ルピナスさんの見た目にはビックリしましたよ。ボイスチェンジャーなくてもいけるんじゃないですか?」


「うーん、ただ女キャラクターをやるならともかく僕の理想の「カワイイ」とはイメージが違うからね」


「俺はカカソーラさんがイケメンで驚いたぞ」


「ふふふ、わたしの彼氏をもっと褒めなさい」


「アルカナさんのイケボが美少女からするのすごい違和感!!」


 こんな感じにわいわい盛り上がっていると、次なるオフ会メンバーも現れる。

育ちのとても良さそうな母娘連れ――中学生くらいに見える娘の方が僕達に話しかけてくる。


「えっと、《ヴォワヤージュ=エトワール》のみなさんですよね?わたしリンですけど……」


「あっ、リンさん!いらっしゃい、そっちが『お母様』?」


「ええ、リンママです。そちらにいるのが保護者のみなさんですよね?今日はどうぞよろしくお願いしますね」


 リンママさんはにこやかに大人組へ挨拶をする。

リンさんも彼女について行って大人組に礼儀正しく挨拶をしてから、また僕達のところへ戻って来る。


「リンさん、こんにちは。今日はよろしくね」


「はい!えっと、アルカナさんですよね?声、地声だったんですね……というか女の人でも素敵……」


「おっと、あげないよリンさん。っていうか今日はいつものしゃべり方しないんだね?」


 たまに見えていた素から普段はオレっ娘ではないことはわかっていたが、今はあくまでネット上の知り合いとの集まりなんだからオレっ娘キャラのほうでもいいのに……という素朴な疑問を僕はぶつける。

しかしリンさんは焦ったように目配せをしながらこう言った。


「な、なんのこと?わたしは普段でもゲームでもこの口調だよ!?乱暴な口調なんて、使ってるわけないじゃない、あはははは……」


 あっ、DFO内でキャラ作ってるのはお母さんに内緒なんだ……

まあここは話を合わせてあげるか……と思ったところで、最後の1人、兼光くんが合流する。


「すみませーん!《ヴォワヤージュ=エトワール》のみなさん、兼光です!!」


 やって来たのは、またまた育ちの良さそうな父親と中学生くらいの少年。

あれが兼光くんと兼光パパさんか、結構イメージ通りの見た目である。


「こんにちは、今日はよろしく兼光くん。僕はカカソーラ……」


「……た、滝沢くんなんでここに!?」


「えっ、浅井さん!?」


 お互いの顔を見て驚愕するリンさんと兼光くん。

あれっ、この2人知り合い?

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