67話
そんなことがあった翌日、《ヴォワヤージュ=エトワール》のSNSグループでレイド企画のメンバーが決まったという発表があった。
『ルピナス:たくさんのご応募の中から厳選して24人のメンバーが決まったよ!
職業の希望も聞いてアルカナさんがリスト作ってくれたからチェックしといてね
アルカナ:ちょっと長くなるけどこれから貼るよ
タンク
カカソーラ 銃剣士
ご存知うちのエース、レイド初挑戦。
もめんどうふ 暗黒騎士
《ヴァンガード》のクランマスター、一流タンク。
ミロ 騎士
カカソーラに勝った闘技場の要チェックプレイヤー。
ユニティ 戦士
闘技場でカカソーラと闘った縁で応募してくれたらしい。
冷やし中華 傭兵
MEIさんの知り合い、こんな名前だけど凄腕プレイヤー。
プリムローズ 戦士
ルピナスさんが闘技場で仲良くなった人。
ヒーラー
シリウス 陰陽師
我らが常識人担当、まともな方の陰陽師。
メリア 賢者
わたしの知り合い、レイドメインでやってる人。
*あゆぴっぴ* 聖者
まさかの参戦”剛の姫”。
楠葉 陰陽師
シリウスさんの知り合い、修行中の方の陰陽師。
Piece 陰陽師
大物からのご応募、ヤバい方の陰陽師。
海石榴 風水士
ルピナスさんの友達、レイド初挑戦。
DPS
ルピナス 銃士
うちのクランマスター兼ムードメーカー。
MEI 死神
マスコット担当着ぐるみベテランプレイヤー。
兼光 侍
生産担当末っ子、レイド初挑戦。
アルカナ 魔法剣士
マネージャー担当、わたし。
フレイ 魔神使い
《ヴァンガード》の生産担当、兼光くんの師匠。
リン 魔導師
わたしの知り合い、仲直りしました。
ぽぷら 吟遊詩人
わたしの知り合い、闘技場最高ランク・エトワールに参加中。
リッド 拳聖
カカソーラが闘技場で知り合ったクウのファン仲間。
水月 剣舞士
カカソーラが闘技場で知り合った”コスプレ勇者”。
弦十郎 二刀流
自称”ツインスネーク”さん。
アインラス 森導師
知的で儚げな見た目からの【臭い息】なギャップ萌え。
ヴァイオレット 竜騎士
レイドの助っ人として有名なプレイヤー、頼れる人。』
ずらりと並んだ24人分の名前に少し圧倒されるものの、よくよく見れば知り合いも多い。
そうでない人も僕以外のクランメンバーの知り合いだったり有名なプレイヤーだったりするようなので、きっと楽しくやれるだろうと思うとわくわくしてきた。
『カカソーラ:メンバー選抜とリスト作成お疲れ様!
本番が楽しみになってくるね
兼光:そうですね!
頼れそうな人がいっぱいいますし安心してレイドに挑戦できそうです
MEI:というかカカソーラさんの知り合いが多いですね
アルカナ:優先しました
ルピナス:任せたらこうなりました
といってもその人達こっちから声かける前に応募してくれたからね
カカソーラさんの人徳かな?
カカソーラ:いえいえ、たまたま気にかけてくれる人と知り合えただけです
シリウス:まあ闘技場でフレンド作ってる数ならルピナスもなかなかのもんだけどな
MEI:そうなんですか?
ルピナス:えへへ、人脈づくりは大事だからね!
兼光:ルピナスさんフレンドリーですもんね
ルピナス:今回参加してくれるプリムローズさんは向こうから話しかけてくれたんだよ』
ルピナスさんは事の経緯を説明し始めた。
*
今月の闘技場シーズンが始まってすぐの頃、ルピナスとプリムローズの試合がマッチングされた。
かたや垂れ耳のドワーフ女性キャラクター(中身は男)で遠距離攻撃を得意とする銃士のルピナス。
かたや黒髪のエルフ女性キャラクターでタンク最強と謳われる戦士のプリムローズ。
見た目は美少女VS美女の対決は、カウントダウン終了前の挨拶から始まった。
「こんばんは!ボクはルピナス、いい試合にしましょうね!」
「こんばんは、わたしはプリムローズ。ルピナスさん、素敵なキャラメイクね。とってもかわいい……」
「どういたしまして!プリムローズさんのキャラメイクも大人っぽい美人で素敵ですよ~」
「うふふ、キャラメイクに丸一日悩んで作り上げたの」
「おおー、ボクも理想の姿にするのに時間かけました!やっぱりもう1つの自分の姿になるんだからこだわっちゃいますよね」
「ええ、『なりたい自分』を具現化するのは大変だけど楽しかった……良かったらこれからの試合、わたしの『なりたい自分』の姿も楽しんでね」
「じゃあボクのこだわりぬいた『カワイイ』姿も楽しんで下さい!」
2人はそれぞれが思い描く最高の決めポーズをし、そこで試合開始の合図が出る。
先に動いたのはルピナス、カカソーラと闘ったときと同様に初手から大技を狙う。
「そーれっ、【カノンバースト】!」
巨大な銃器から放たれる砲撃がプリムローズを襲う。
カカソーラのように回避は出来なかったが、戦士という職業ならではの対策をプリムローズは打っていた。
「1発くらいなら、受けても戦士は崩れない!」
戦士という職業の特徴は【ウォーリアーズ◯◯】という定型の名前を持った豊富な自己強化専用スキル。
それらをフル活用することで攻撃力・防御力・敏捷力を高め、あとはひたすら殴り続ける。
「脳筋御用達」と言われることもあるが、シンプルに強いその性能は初心者から上級者にまで高い評価を受け、DFOサービス開始以来タンク最強の地位を不動のものとしている。
実際に今もプリムローズは高めた防御力で【カノンバースト】を耐え抜き、ルピナスへと迫る。
「流石タンク最強……でもボクだって簡単にはやられないよ!」
そう言ってルピナスは舞台を駆け回りプリムローズとの距離を維持しながら単体攻撃用の戦闘スキルを連射する。
闘技場での実戦経験を積んだことによりルピナスのマニュアルモード操作技術はかなり上達し、クウやカカソーラには及ばないものの高い機動力での戦闘が可能になったのだ。
「なかなかの機動力……でもこれなら!」
プリムローズは敵に突進しながら攻撃する戦士の戦闘スキル【チャージアサルト】を使用、使用間隔が長い代わりに一気に距離を詰めることの出来るその効果でルピナスの眼前に迫る!
だがルピナスは慌てることなく次の戦闘スキルの入力動作を行い、プリムローズの武器である斧が目前に迫ったところで【デリンジャー】――攻撃と同時に大きく飛び退く戦闘スキルでその一撃を回避する。
「カカソーラさんなら戦闘スキル無しで自力で避けて次の攻撃に移るところなんだろうけど……ボクはボクの出来るやり方でやってくしかないよね!」
再び開いた距離からルピナスは攻撃を再開する。
その後も危うい場面はありながらもなんとかプリムローズとの距離を維持し、【カノンバースト】再使用までの時間を稼ぎ切った。
「1発で駄目でも、2発目くらったらどうだ【カノンバースト】!!」
「くっ……!!」
砲撃の轟音、そして鐘が鳴り、ルピナスの勝利が決まる。
「完敗だわ……そしてあなたの『カワイイ』もしっかり見せてもらったわよ」
「戦士の性能だと1回捕まったらそのまま一気にやられるからこれでもギリギリでしたよ?いい試合、ありがとうございました」
「こちらこそありがとう、それと……ルピナスさん、マジックスキン部に興味ない?」
「へ?」
*
『ルピナス:そんな感じでプリムローズさんがやってるオシャレ装備の組み合わせ紹介サイト――
マジックスキン部のモデルやらないかって誘われたのがきっかけなんだ
アルカナ:検索した
ほんとに最近の着用画像に写ってるのルピナスさんじゃん!
MEI:いつの間にそんなことを……
兼光:すごくノリノリでポーズ決めてますね
シリウス:けっこう人気のサイトらしくてモデルやってるとファンもつくそうだ』
ふーむ、DFOの楽しみ方は幅広い。
それはそれとして、ルピナスさんもかなり腕を磨いているようだ。
僕も負けずにがんばらなくちゃね!




