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61話

『ルピナス:恋のライバルちゃんとそういうオチになったの!?

      ボクもその現場見たかったな~


 シリウス:和解できたなら何よりだ、良かったな


 MEI:というかアルカナくん、ぽぷらさんと知り合いだったんですか


 アルカナ:そうだったんだけど、うっかり言うの忘れてた

      チェックしてたときは他の人にすぐ話題移っちゃったし』


 翌日、ライバル宣言の場にみんなも居合わせていたので僕はSNSで事の顛末を報告しておいた。

さり気なくアルカナの性別のこともわかるように書いた――もちろん本人の了承済み――けれど、特に反応がないあたりルピナスさん達はなんとなく気がついていたようだ。

3人ともそこそこネット慣れしてそうだし、ルピナスさんに至っては自分も異性のキャラクター使ってるもんね。

そんなことを考えていると、新たな話題が投下された。


『ルピナス:そうだ、レイドの助っ人募集のことなんだけど

      すでに10人くらい反応来ちゃってるけどどうする?


 兼光:そんなにたくさん!?


 カカソーラ:まだ募集始めて1日なのに


 シリウス:アルカナさんの心配が当たってたな

      どうする?早いけど募集締め切って選考に入るか?


 MEI:確認してみたんですが応募してきた顔ぶれもすごいことになってますね』


 2人だけ募集するはずだったミニレイドの助っ人の募集が大盛況になっているらしい。

MEIさんの発言も気になったので、僕は公式コミュニティサイトを開いて助っ人募集の状況がどうなっているかを確認してみることにした。

するとルピナスさんの報告通り応募者一覧には10人以上の名前がずらりと並び、しかもその中には僕がプルミエ――中級者ランクでの試合を通して知り合った人達の名前も並んでいた。

具体的に言うとミロさんとリッドさんに水月さん、さらには”ツインスネーク”さんこと弦十郎さんにミロさんの戦術を真似て挑んできたけど返り討ちにしたヒューマンの戦士さんの名前もあった。

さらには《ヴァンガード》のもめんどうふさんとフレイさんも応募している。


『シリウス:初心者向けミニレイドに行くとは思えない面子になってるな……


 カカソーラ:知り合いが多くて選抜しづらい!


 MEI:2人しか募集してないのわかった上で応募してきてるわけですから気にしなくていいですよ


 アルカナ:そうだよ

      募集要項にもこっちの基準で選ばせてもらうってちゃんと書いてるしね


 ルピナス:うーん、とはいえここまでのメンバーが揃ってるのに

      ただお断りするのはもったいないね……

      そうだボクにいい考えがある


 兼光:いい考え?


 ルピナス:挑戦するレイド、ミニレイドから24人のノーマルレイドに変えて募集しない?

      一番最初のやつなら慣れてないカカソーラさんと兼光くんでもいけるでしょ


 アルカナ:最初っていうとレイドダンジョン・真竜の夢か

      確かにあそこなら難易度低いからいけるかも……


 シリウス:懐かしいな

      あそこDFOの設定的にけっこう重要な情報も出てくるんだよな』


 挑戦するレイドを変えて人数を増やしてみないかということらしい。

難易度がそこまで高くないなら僕としては問題ないし、重要な情報が出てくるというシリウスさんからの情報もちょっと気になる。


『カカソーラ:僕はそれでもいいですけど

       兼光くんはどう?


 兼光:ちょっと不安ですけど

    フレイ師匠も一緒に来てくれるみたいですし、がんばってみたいです!


 ルピナス:じゃあ決まりだね!

      最初のレイド挑戦はミニレイドから豪華メンバーでの真竜の夢攻略に変更!!


 アルカナ:じゃあ早速募集ページの情報変更しておくよ


 MEI:難易度低めとはいえ普通のダンジョン攻略とは勝手が違いますから

    カカソーラくんと兼光くん用に攻略動画送っておきますね


 兼光:助かります!


 カカソーラ:MEIさんやさしい』


 MEIさんが動画のURLを送信してくれた。

どれだかわからなくならないようにちゃんとブックマークしておいて、っと。

僕はSNSを閉じ、リアルの生活に戻る。

日々の生活に闘技場にレイド、やることたくさんで毎日充実だ!



 学校生活に武術の鍛錬、夕食その他を済ませてやって来ました今日のDFOタイム。

今日はアルカナは《ヴァンガード》の方に行っているので1人で闘技場に向かう。

シーズン中なので相変わらずプレイヤーで大盛況の闘技場だが、少し他とは雰囲気の違う集団がいた。


「あゆたそ~~~!今日もがんばってね」


「俺達全力で応援するからね!!」


「もちろん情報収集とライバルの分析も任せて!」


 男性キャラクター達が以前ルピナスさんに見せてもらった課金アイテム――サイリウムを振り回しながら1人のプレイヤーを取り巻いて応援している。

そのプレイヤーはブラウニーの女性キャラクターで、小人なりに大人っぽい衣装を来ていたリンさんとは反対に女児アニメのヒロインのような可愛らしさ全開の衣装に身を包んでいた。

聖者(セイント)の武器である無骨な大槌を背負っていなければか弱いお姫様にも見えただろう。

そんな(多分)彼女――頭上の表示によると名前は*あゆぴっぴ*さん――は大袈裟なほど愛らしい仕草で取り巻くプレイヤー達にこう答える。


「みんなありがとー!あゆぴ、今日もがんばるね♪」


「うおおおぉぉぉ!がんばれあゆたそ~~~!!」


「”剛の姫”の実力で魅せてね!!」


「馬鹿、可愛くない方の二つ名で呼ぶな!”呪殺☆プリンセス”って呼べ!!」


 どっちも物騒じゃないかな?

浮かんだツッコミは他人なのでちゃんとこらえて、*あゆぴっぴ*さん一行の隣を通り過ぎて受付へと進んだ。

ああいうのがアルカナの言ってた「姫プ」っていうのかな?

でも闘技場の個人部門に挑んでるから守ってもらってるわけではないし、それっぽく見えるだけのキャラが濃くて人気なだけの人かな、うん。

そんなことを考えていると、試合を観戦している人の声が耳に入る。


「おっ、カカソーラが来たぞ」


「タンクなのに戦闘中に空中ジャンプ成功させたってマジかよ!?」


「やっぱ公式で”2人目のクウ”って呼ばれてる奴はやべーわ」


 どうやら僕も傍目にはそこそこキャラが濃いようだ。

まあ人にどう思われようが奢らず気負わずが僕の流儀、平常心で今日も試合がんばるぞ!

気持ちをしっかり切り替えて僕は選手控室に移動した。

準備運動を済ませたら早速試合のマッチング、本日最初の相手は……エルフの森導師(ドルイド)

森導師は敵モンスターの技を覚えたり召喚して一緒に戦ったり出来るトリッキーな魔法使い系DPS職業だ。

他の職業とは一線を画す専用スキルの性能はもちろん、一番の特徴といえば……


「くらえ、【臭い息】!」


 試合相手の銀髪の優雅な雰囲気のエルフが口から凶々しい色のガスを噴き出す。

そう、一番の特徴はモンスターと同じ発動エフェクトを人間が出すからすごい絵面になることだ!

森導師専用装備は森に住む知的な魔法使いって感じなのに、こんな感じに口から毒ガスを吐いたり目からビームを撃ったりもうめちゃくちゃなのである。

それに惑わされてうっかり攻撃を回避しそこなうことから対人性能を高く評価されているそうだ。

ちなみにこの【臭い息】の効果は状態異常全部盛り、普通に戦闘スキル性能も高い!


「色んな意味で当たりたくない!!」


 僕は持ち前の機動力を活かして全力回避、試合相手の後ろを取る。

森導師の弱点は戦闘スキルが強力な代わりに発動後の隙が大きいことなのだ。


「なんの、【ハードスキン】!」


 これも森導師の専用スキルで岩石系のモンスターが使用する強力な防御力強化スキル、モーションはマッスルポーズだ。


「エルフの見た目でやってほしくない戦闘スキルばっかりなんですが!?」


「ギャップ萌えだ!」


 萌えは無理だよ!!

普通に押し勝てたけど、精神的ダメージの大きい試合だった。

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