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47話

 ゴールデンウィークを利用して、秘ちゃんは《ヴァンガード》の企画で現バージョン最強レイドボスの撃破タイムアタックに挑戦、僕はお祖父ちゃんと一緒に武術仲間の交流会に参加することになった。

なのでちょっとの間《ヴォワヤージュ=エトワール》には顔を出せないことをみんなに報告する。


「アルカナさんは《ヴァンガード》の方でなんかやるんじゃないかとは思ってたけど、カカソーラさんも用事があるのは意外というか……かなりガチで武術やってるんだね?」


「いえ、交流会って言っても真面目な集まりじゃなくて仲の良い人達とたまには他流試合でもしようってだけの気軽な集まりですよ」


 ルピナスさんが抱いたであろう印象を和らげるために僕は補足を加える。


「ほとんどお祖父ちゃん達が若い弟子の自慢し合うためにやってるようなもので……」


「へえ……そういえばなんていう流派なんだ?」


 シリウスさんが不意に食いついてきた。

そういえば彼も弓道をやってるとか前に言っていたから、興味が湧いてきたのかもしれない。

しかしそうなると、問題なのは我が花果無形流がマイナー流派ということで……


「それが流派言っちゃうと身バレしかねない小さい流派なんですよ……なのでそこは秘密にさせてください」


「あ、ごめん。聞きすぎたな」


「一応古武術の連盟的なものには加入してるんですけどね」


「ふーん、シリウスの弓道は日置流だっけ?」


「この流れでバラすなよ……」


 日置流、たしか儀礼的な礼射を代表する小笠原流に対して実戦的な武射を代表する流派だったか。

現在でも諸派が全国に広まっているはずである。

花果無形流の弓術もちょっと影響を受けているとかなんとか。


「まあそういうわけで、連休中の連絡はSNSでよろしくお願いします」


「りょうかーい、ボク達は特に用事もないからDFOやりまくるけどね」


「中間テストの準備はいいのか、お前実力テストヤバかっただろ?」


「いいの!範囲発表されてから詰め込むから」


 そんな感じで話していて、ふと気がつく。

アルカナは《ヴァンガード》に顔を出していて、MEIさんは今日は昔からのDFO仲間と用事があると事前に聞いている。

だがいつもならそろそろクランハウスに顔を出すはずの兼光くんが今日は来ていなかった。

まあゲームなんだからたまにはログインしないこともあるだろうけど……なんて思っていると、ちょうどクラン専用ボイスチャットから兼光くんの声が聞こえてきた。


「こんばんは、カカソーラさん用の新装備、完成したので今から持っていきますね!」


「こんばんはー、装備ありがとう……って、どこで作ってたの?」


「アルカナさんに紹介してもらった師匠のところです!あ、今クランハウスにつきました!」


 そう言うか言わないうちに、クランハウスの扉が開き兼光くんが入ってきた。


「兼光くん、こんばんは」


「こんばんはー、元気があっていいことだね!」


 シリウスさんとルピナスさんの出迎えに兼光くんはかなり興奮した様子で答える。


「はい、クランの生産職担当として初めての仕事、しっかりこなしてきました!」


 おー、VR世界でもなんだか伝わるキラキラしたオーラがまぶしい。

DFOの操作システムが感情も読み取れていたら尻尾もブンブン振っていたことだろう。


「カカソーラさん、どうかお収めください!!」


「あ、ありがとう。大事に使うね」


 キラキラしたまま僕の方に向かってきた兼光くんからのトレード申請をおずおずと受け取る。

中身はレベル60で使える最強装備一式と、それとは少しランクの落ちる武器だった。


「そういえばこれの製作に必要な素材とか触媒の費用ってどこから……?」


「アルカナさんから頂いてます、依頼料って言っていくらか上乗せまでしてもらいました!」


 流石アルカナ、そつがない。

でもそろそろ僕も自分で用意できるようにならなきゃーと思いつつ、とりあえずもらった最強装備一式を身につける。

見た目は全身を覆う厳しい金属鎧、ゲーム的な補正で重さは感じないが居心地が悪いのでマジックスキン機能でぱぱっといつもの格好に見た目を変える。

自分のステータスを確認すると、かなり上がっていてその高い性能が確認できた。


「うん、いい感じ。ありがとね」


「滅相もないです!そうだ、渡した中に武器がもう1つあったと思うんですけど、アルカナさんがそれをマジックスキンで使うようにと言っていました」


「武器の見た目を変えるってこと?やってみるよ」


 そう言って僕はもらった少しランクの落ちる武器――南部九〇式をマジックスキンに登録、武器の見た目を変更してみた。

その意味を確認するべく武器を抜くと、一目で理解できた。

銃剣士の武器・ソードバレルは銃と剣と組み合わせたデザインをしているのだが、この南部九〇式は日本刀をベースに火縄銃の要素を組み込んだデザインをしていた。

そう、日本刀。

花果無形流で剣術と抜刀術を学んでいる僕にとって一番扱い慣れた形をしているのだ。


「なるほどね、これは手に馴染む……」


「えっと、気に入ってもらえました?」


 少し自分の世界に入ってしまっていた僕に、兼光くんが不安気に声をかけた。


「ああ、ごめん。すっごく気に入ったよ、ありがとう!」


 武器をしまって、全開の笑顔で僕は兼光くんに感謝を伝えた。


「はうっ、ど、どういたしまして……」


「おやおや、カカソーラさんのキラキラオーラもすごいね」


「はじける青春の若さだな……」


「いや、ルピナスさんとシリウスさんは同じ高校生でしょ!?」



 その後僕達4人は日課のランダムダンジョンに向かった。

今回のパーティ編成は僕が騎士でタンク、シリウスさんが陰陽師でヒーラー、ルピナスさんが銃士、兼光くんが侍でDPSと、騎士のレベル上げをしている僕以外はメインの職業での参加だった。

騎士の戦闘スキルってエフェクト地味だよね、とか思いつつ順調に攻略を進め、余裕が出来てきたので雑談を開始する。


「そういえば兼光くん、アルカナが紹介した師匠って《ヴァンガード》の……フレイさん?」


「はい、ダークエルフって感じのフレイさんです」


「《ヴァンガード》の製作担当が師匠なんて緊張しない?」


 ルピナスさんの問いに兼光くんはとんでもない、という風に答える。


「すごく丁寧に教えてくれて、優しい人です。《ヴァンガード》の人達が見に来ると、なんというか、気安い間柄ならではの態度になったりはするんですけど……」


 兼光くんも《ヴァンガード》のノリを味わってきたらしい。


「あー、《ヴァンガード》の動画内でもよく楽しそうに背後から撃ち合ってるよね、あの人達」


「あははは……そういえば、フレイさんは動画の編集も担当しているって言ってました」


「そうなんだ、いろいろ出来る人なんだね」


 《ヴァンガード》の動画はちょくちょくチェックして楽しんでいるので、僕は素直に感心した。


「うちもそのうち人数増やして活動紹介動画とか作りたいねぇ」


「そうだな、もしかしたらMEIさんが動画編集についても知ってるかもしれないが……」


 ルピナスさんとシリウスさんは動画配信にも興味があるらしかった。

僕も言われてみるとちょっと興味が湧いてきたが、ちょうどボス戦が近づいてきた。


「気になりますけど、ボスなんで集中お願いします!」


「オッケー、動画の話は終わったあとでね!」


「ミスしないようにがんばります!」


「ああ、今思い出したPiece式殴り陰陽師の動画についてもボスのあとだ」


 ちょっと待ってシリウスさん、いきなり変な単語出さないで!?

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