表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/100

45話

 恋のライバル出現。

まあいろいろ誤解があってのことなんだけれども、それに僕の闘志は湧き立った。

秘ちゃんがいつだって僕をかまってくれているおかげで表に出る機会が少ないだけで、僕はかなり嫉妬深い方なのだ。

恋敵は真っ向から打ち破って僕と秘ちゃんのイチャイチャの踏み台にしなければ気がすまない。

もちろん秘ちゃんも同じタイプなので、小学校時代から周囲には「勝手にやってくれバカップル」の名をほしいままにしてきた。


 というわけで、リンさんのライバル宣言の後僕達はやる気満々でレベル上げに赴いた。

恋のライバル打倒に闘志を燃やす僕、そしてなんか上機嫌でハイテンションのアルカナの2人である。


「さあ、気合十分だし今日も全力でダンジョン周回してレベル上げだよ!!」


「なんかうれしそうにされるとちょっと複雑だな……」


「えっ、なんで?」


 僕のぼやきにアルカナは心底意外そうに聞き返す。


「いやだって、リンさんに好意向けられて喜んでるんじゃないかなーって、ちょっと心配になるというか……」


「まさか!そんなわけないでしょ。きみがあんなに堂々と返したのがすっごくうれしかっただけだよ」


「本当かなぁ?」


 ここ最近周回しまくって敵もギミックも覚えてしまったダンジョンをサクサク攻略しながら、僕はちょっと拗ねてみる。


「本当。だってめちゃくちゃカッコ良かったし、惚れ直したし!」


 そんなに。

そっかー、僕カッコ良かったかー、惚れ直されちゃったかー。


「……だったら絶対勝って、惚れ直しおかわりしてもらわなくちゃね」


「えへへ、楽しみにしてるよ!そのためにも周回速度ガンガンあげていこう」


「オッケー!今日の僕は止まらないよ!!」


 だいたいこんな感じでプルミエに向けたレベル上げは再スタートしたのだった。

どこからか「勝手にやってくれバカップル」の声が聞こえる気がするけど、言われても言われなくても好き放題やるのが僕達さ!



 そんな感じで数日間、現実での鍛錬にもDFOでのレベル上げにもやる気MAXで挑み続ける日々が続いた。

成果も順調、順調すぎてお祖父ちゃんが僕に受けて覚えるがいいと様々な秘技を打ち込んでくるほどだった。

花果無形流、異次元じみた技多くない?となりつつありがたく学ばせてもらいました。

そしてその日も昼休み、秘ちゃんと一緒に昼食をとっていたとき、《ヴォワヤージュ=エトワール》のSNSにルピナスさんがある動画を投稿しているのを見つけた。


『ルピナス:公式のシーズンまとめ動画来たよ!

      最後までちゃんと観るように!!』


「もう動画来たんだ、天、一緒に観よう。イヤホン、イヤホンっと……」


 僕達は秘ちゃんの端末に繋いだイヤホンを片方ずつ付けて、リンクから飛べる動画を再生した。

それは以前ルピナスさんから闘技場のことを教えてもらったときの動画と同じシリーズで、テロップの紹介とともに次々と試合の映像が流れている。

そういえば闘技場に登録するとき試合動画の使用許可とかの確認もあったな、なんて思いつつ観ていると、動画の目玉と言わんばかりにテロップに煽られながら王座防衛中のクウさんが登場した。

もちろん例のパルクール神拳のゼンさんとの試合も取り上げられていた。


「やっぱりすごいね、早く僕もクウさんと闘えるようになりたいなぁ」


「天ならきっとすぐだよ。クウのターンでこの動画も終わり……いや、ちょっと時間が残ってる?」


 秘ちゃんの言う通り、動画は締めに入っているはずなのに下に表示されている再生時間には少し余裕がある。

不思議に思いつつルピナスさんの「最後までちゃんと観るように」というコメントもあったので大人しく観ていると、クウさんの試合紹介が終わり暗転した画面に再びテロップが現れる。


『第2のクウ、誕生か!?』


 そして再び始まる動画、そこに映っていたのは――カドリーユで勝ち進む僕ことカカソーラだった。

それは短い時間だったが、確かにこの僕が、注目のプレイヤーとして紹介されていたのである。


「……秘ちゃん、これ」


「うん、間違いなくきみ、カカソーラだ」


 数秒間、僕と秘ちゃんは見つめ合って、それからハイタッチをした。


「やったね!!」


「うん!ありがとう!!そうだ、クランのみんなにもこのことを……」


 僕は急いで自分の端末でSNSアプリを開き、《ヴォワヤージュ=エトワール》のグループに繋ぐ。

そこには既にルピナスさんが投稿した動画を観たみんなのコメントがあった。


『シリウス:カカソーラさん、動画出演おめでとう


 兼光:やりましたね!流石カカソーラさんです!!


 ルピナス:いよっ、我らがエース!


 MEI:素晴らしい成果ですよ


 アルカナ:ははは、みんなもっとカカソーラを褒め称えよ』


 秘ちゃんも早速コメントしていた。

動画で取り上げられたこと、そしてみんなからお祝いのコメントをもらえた喜びで胸を高鳴らせつつ、僕もSNSにコメントを送る。


『カカソーラ:やりました!

       みんなのおかげです、ありがとう!!


 ルピナス:カカソーラさんの実力だよ

      自信持ってこれからもがんばってね!


 兼光:きっとこれからファンもいっぱい増えますよ


 シリウス:そうだな、カドリーユの試合が取り上げられるなんて滅多にない


 MEI:それについてですが実は既にこういうものが』


 MEIさんがどこかのサイトのリンクを貼り付けた。

なんだろうと思いつつ開いてみると、それはDFOの攻略サイトに併設された掲示板のあるスレッドのログだった。


『闘技場・カドリーユを観察するスレ


 **:すごい新人がいる

    今日まで無敗で連勝中、ストレート昇格来るかもしれん

    カカソーラでログ探してクウそっくりのやつチェックしてみろ


 @@:クウそっくりってまたわかりやすく新人っぽいな


 ¥¥:見てきた、ヤバい

    動きまでクウレベルじゃねえかw


 $$:>¥¥

    あの動きって再現可能なやつだったんだ……』


 いつの間にか話題になってた!?


『カカソーラ:えっ、いつの間にこんなものが!?


 アルカナ:チェック完了

      目に余るアンチはいなかった


 シリウス:チェック早くないか?


 MEI:現行のスレッドだとこんな感じです』


 MEIさんが再びリンクを貼り付ける。

先ほどと同じ掲示板のようで、恐る恐る開いてみる。


『カカソーラ新着情報スレpart5


 *@:公式動画登場!


 *¥:目ぇ付けるの速すぎるだろ公式!!


 *$:史上2人目のストリート昇格だぞ当然だろ


 *%:しかも見た目そっくりっていうな』


 ……。


『カカソーラ:専用スレ立ってる!!!!

       しかももうpart5!?


 アルカナ:過去ログチェック完了

      ちゃんとしたファンスレ


 シリウス:だからチェック早いって


 兼光:すみません、このスレ見てました

    アルカナさんといっしょにいるところの目撃情報とかも流れてました


 カカソーラ:教えて欲しかったな!!


 ルピナス:途中までしか読めてないけど

      いいんじゃない?応援してくれる人がいっぱいいるってことで


 MEI:シーズン中に教えるとプレッシャーになるかと思い報告を控えていました


 アルカナ:その心配はあるよね

      兼光さんはあとで指導


 兼光:あっはい


 シリウス:まあこういうのはあまり気にしすぎるのも良くないしな

      変な奴が書き込んでくることもあるし


 カカソーラ:恥ずかしくてちゃんと読めてないです

       でも正直話題になってるのはうれしいかも


 ルピナス:おー、意外と喜ぶタイプだった』


 いや、一番大きい感情は驚きなんだけどね。

気のせいなんだけど、クウさんに1歩近づいたような気がしてうれしいのだ。

天狗にならないように自分を戒めつつ、この高揚感を力にさらにがんばりますか!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ