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16話

「まず最初に取り掛かるのはメインクエストの攻略だね」


 アルカナがそう語り始める。


「メインクエストでもらえる経験値はかなり多いから銃剣士のレベル上げも同時にこなすことも出来るんだ。そして新しく覚えた銃剣士の戦闘スキルの使い方はわたしがお手本を見せて速成で叩き込むよ」


「上級者のアルカナさんが見るなら安心だね!じゃあボクとシリウスはダンジョン攻略メンバーとして闘技場の動画研究しながら待機しておくよ」


「では私は50レベル最強装備の素材を集めておきましょう。何しろ最初のバージョン時の装備、うっかり処分してしまってまして……」


「俺も装備更新したら処分しちゃってるな……アイテム倉庫拡張は課金いるし」


 てきぱきと段取りが決まっていく。


「すごくありがたいんですけど、みんなどうしてそこまで僕のために……?」


 身内のアルカナはともかく、ルピナスさんとシリウスさんは一緒にダンジョンに行って闘技場に誘われただけ、MEIさんは初対面である。

疑問に思う僕に、ルピナスさんは腕を組んで自慢気に答えた。


「それはねカカソーラさん、どんなジャンルでもハマってる人間ってのは初心者を囲い込むのが大好きなのさ」


「そうなの?アルカナ」


「余裕があるならね。そしてわたしにはいくらでも貢げるゲーム内資産の余裕がある」


 本気の目だった。

そういえば課金もしてるっぽいこと言ってたな……いくらくらいしているんだろうか。

お小遣いかなりもらってるうちの仮に半分を注ぎ込んでたとして……やっぱり考えないでおこう。

恐ろしい領域の問題から目を逸らす僕に、アルカナが宣言する。


「メインクエスト1章の攻略に必要な時間は約15時間、残りを約10時間としてカカソーラがログインできるのが夕食以降ってことも考慮すると……うん、急げば2日でいけるね。今日は作戦会議続けるから、明日と明後日でやっちゃうよ!」


「2日……案外短い?」


 僕はそんな感想を抱いたが、もちろんそんなことはないようで。


「約15時間ってのはRTA……クリア時間を競う大会とかで出る記録だよ。確か世界記録が13時間ちょっとだったはず」


「普通にやったら30時間近くはかかるね!」


 シリウスさんとルピナスさんの補足を頂いた。

つまり普通にはやらないってことですね、わかります。



 というわけで、その日は作戦会議(僕のわからない用語が飛び交っていていくつかは教えてもらったがまだ完全には理解できていない)に集中して翌日の夕食後。

アルカナに先導されてのメインクエスト強行攻略1日目が開始された。


「まず移動時間を1秒でも減らすために走るよ、スタート!」


 全力疾走から始まり……


「設定の台詞飛ばし機能使ってNPCの台詞は全部飛ばす!ヘルプが出たときは大事だから一旦止まって読むけどね」


 話の流れ無視したり……


「長距離の移動は迷わずワープ!費用はクエスト報酬でギリギリ足りるし、装備もたまに報酬に混じってるからそれで間に合わせるよ」


 交通費で貧乏になりながら進行していく。


「おっと、ムービー入ったね。これは飛ばせないから一息つこう」


「う、うん……めっちゃ忙しい……!」


 目の前ではNPC達がおそらく重要な議題を緊迫した空気で話し合っているが僕には貴重な休み時間だった。

多分ここにいるNPCのうち何人かは旅の途中で親しくなってたりするみたいだけど、台詞全部無視してきたから全然わかんない……

何人かの顔は何回も見たし、この話し合いの司会進行役っぽいNPCは何回も同じ場所往復させやがったフラストレーションから名前も覚えてるんだけど、それぞれの目的とかはさっぱりだ。


「何かゲームをやる上で大事なものを捨ててしまってる気がする……」


「ぶっちゃけメインクエスト1章のシナリオは薄味で面白くないからいいのいいの」


「すごいことぶっちゃけたね!?え、DFOって大人気なんだよね、そんなことあるの?」


「初期はやりこみ要素が本編でメインクエストはチュートリアルって言われてたんだ。後のバージョンで追加されたメインクエストは内容ちゃんとしてるよ、2章は人気のNPCがいっぱい登場したし最新の4章はいろんなレビューで最高得点取ったりしてる」


「……なんで3章飛ばしたの?」


 訪れる沈黙。

返答がないままNPC達の話し合いが(よくわからないけど)いい感じにまとまっていく。


「さあ、ムービーが終わったらダンジョンの攻略に入るよ。ルピナスさん達を呼ぼう!」


「ねえなんで3章飛ばしたの!?」


 アルカナは何も答えてくれなかった。

ダンジョン攻略中も余裕があるときを見てルピナスさん達にも聞いてみたのだが……


「んー……よく覚えてない、かな!」


「人によって感想は違うから……実際やって確かめてもらわないと……うん」


 みたいな感じに言葉を濁された。

いったい何があったんだメインクエスト3章。

疑問が重なっていくばかりのダンジョン攻略を終え、銃剣士のレベルが上がる。

言ってた通りメインクエスト進めるだけでだいぶレベルが上がっていく。

もうレベル42で、今回は新しい戦闘スキルも覚えたようだ。


『【マジックバレット】

  銃剣士専用スキル

   カートリッジ50消費

   覚えている現在のレベル-10で使用できる汎用魔法を即座に発動する』


 ここまで覚えた戦闘スキルでのカートリッジ消費は10~20だったのにいきなり高コスト。

強力な戦闘スキルの予感がしたので早速アルカナに聞いてみることにする。


「ねえねえ、【マジックバレット】ってやつ覚えたんだけど」


「ついに重要スキル覚えたね!詠唱時間なしで魔法使うのはDFOじゃ強力だよ」


「やった!……あれ、でも銃剣士の戦闘スキルに今のところ魔法は……」


「今のところ最高まで上げても銃剣士に魔法はなし、他の職業も習得する前提のやつだね」


 要するに今はまだ役に立たない戦闘スキルらしかった。

重要スキルと聞いて喜んだ分ちょっとがっかりしてしまう。

しかしアルカナは僕をがっがりさせたままではいさせてはくれない。


「ほらほら、闘技場に早く挑戦したいんでしょ?あのクウって人と戦えるとこまで行きたいんでしょ?」


 僕のことを煽るようなことを言ってくる。

まったく、本当に僕の扱い方をよくわかっている。


「よっしゃ、早く【マジックバレット】を使いこなすために立ち止まってないで攻略再開だね!」


 ガツンと気合が入り直す僕だった。

我ながら前向き!


「そうこなくっちゃ!今日の目標までまだだいぶ残ってるから、またまた全力疾走で行くよー」


 あ、だいぶ残ってるんだ……

ちょっと気が遠くなりつつ、カカソーラの活躍に感謝するNPCの台詞をすっ飛ばして僕らは進む。

ごめんね、シナリオ担当の人!

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