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15話

「闘技場は開催する期間が決まってて、大体15日から2週間やってるんだ。次に開催されるシーズンも4月15日からだから、まだ1週間ちょっとあるね」


 きょとんとしてしまった僕にルピナスさんが説明をしてくれた。

いつでも挑戦できるわけではないのか……そういえばルールの説明とかもまだちゃんと読んでなかったな。


「だから、今のところはルール確認に装備とかの準備をしよう」


「始めたばかりのカカソーラさんは特に覚えることとやることが多いからね」


 ルピナスさんとシリウスさんがありがたい提案をしてくれた。

よし、しっかり準備するぞ!


 というわけで、まずは闘技場の基本的なルールを確認した。

僕が挑戦したいのはもちろんクウさんと戦うことが出来る個人戦部門、これは好きな職業で挑戦することが出来る。(団体戦部門は4人チームでタンク1人・ヒーラー1人・DPS2人の構成を守らなければならないそうだ)

そしてまずは一番下のカドリーユ――初心者ランクに配置され、同じランクの中からランダムに選ばれたプレイヤーと対戦、勝てば勝ち点が増えて負ければ減る。

それをシーズン中好きなだけ繰り返し、勝ち点上位のプレイヤーは上のランクに昇格、下位のプレイヤーは下のランクへ降格となる。


「まあ私達は一番下のランクから始めるので降格の心配はないですけどね」


 MEIさんが冗談めかして言う。

その通りなのでちょっと気持ちを軽くしながら、気になったところを質問してみる。


「トーナメント形式とかじゃないんですね」


「そこはゲームだから、決まった時間にログイン出来るとは限らないからね。カカソーラさん、クウさんと対戦できないかもって不安になってるのかな?」


「まあ、はい……」


 シリウスさんに気の早い心配を見透かされて、少し照れながら答える。

だけどみんな馬鹿にせずにいてくれた。優しい。

そしてルピナスさんが不安をかき消してくれる情報をくれた。


「そこは心配いらないよ、クウはシーズン中ほとんどログインしっぱなしでずっと闘技場にいるから遭遇率ヤバいって有名なんだ」


「おお、それはありがたい」


「とんでもないプレイヤーじゃん……リアルとどう折り合いつけてんの……」


 アルカナは少し引いているようだった。

確かに2年間生活の約半分をゲームに捧げているとなると……うん、深く考えるのはやめよう!


「やっぱりログイン時間確保できないと勝ち点稼ぐの難しいんですかね?好きなだけ挑戦できるみたいだし」


 新たに湧いた疑問にはMEIさんが答えてくれた。


「いや、そこも調整されているようで、勝ち点が多いほど対戦で得られる量が少く、失う量が多く設定されているみたいですね。対戦相手との勝ち点差による補正もあって1回負けただけで大量に減らしてしまうこともあるようです」


「へぇ……それなら大丈夫かな、安心しました」


「……安心?」


 僕の何気ない一言に周囲の空気が少しざわつく。

ルピナスさん達は3人でこそこそ話し合い、アルカナは僕の肩にぽん、と手を置く。

え、何か間違ってた?


「カカソーラ、ログイン時間のことで安心するのはまだ全然早いよ?」


 アルカナは溜息混じりに呟く。


「このままだと闘技場に出場することすら出来ないんだから」


「出場することすら出来ないってなんで!?」


 慌てる僕を宥めるようにシステム音が鳴る。

それはルピナスさんからメッセージ――なにかのURLが送られてきたという知らせだった。

URLを開いてみると、それはDFO公式サイトの闘技場に関するページで、そこにはこうあった。


『カドリーユ(初心者ランク)参加資格

  ・メインクエスト1章をクリア

  ・アルカンシェルのNPC・ミシェルから受注できるクエスト「戦士の舞台」をクリア

  ・参加登録する職業のレベルが50以上』


「今僕の銃剣士のレベルが33で……メインクエスト1章ってあとどれくらいで終わるの?」


 プルプル震えながら僕が尋ねるとアルカナはにっこり笑って答えた。


「まあ大体3分の2くらい残ってるね。でもそれだけじゃないよ?」


 だいぶ残ってる!しかもそれだけじゃないってどういうことなの!?

震えが大きくなっていく僕をやはりにっこりと見つめながらアルカナは続ける。


「DFOの戦闘スキルには汎用技能と専用技能の2種類がある」


「……それがどうかしたの?」


「まあ聞きなさい、専用技能は習得した職業でしか使えないけど、汎用技能は別の職業に変えても使うことが出来る。例えば銃剣士をしながら魔法系職業で覚えた魔法を使ったりね」


 ふむふむ、つまり同じ職業でも他の職業をどれだけ経験しているかで使ってくる戦闘スキルのバリエーションが違ってくるわけか。

ということはアルカナが言っているそれだけじゃないっていうのは……


「つまり他のプレイヤーと同じ土俵で戦うには銃剣士以外の職業のレベル上げも必要だよ!」


「そうなるよね!!!!」


 僕はついに頭を抱えた。

なんてことだ……さすが「究極のエンドコンテンツ」、初心者クラスでさえやることが多い!

目を回しつつある僕にシリウスさんが話しかけてくる。


「闘技場は毎月やるんだから無理して次のシーズンに間に合わせなくていいんだぞ?」


 常識的な意見だった。

冷静にならなくても始めて2週間後までの目標にするラインじゃないもんね。

が、しかし……このときの僕は自分に希少な才能があるんじゃないかということに実はテンションを上げてしまっていて、要するに冷静ではなかった。


「その通りなんですけど早く闘技場やりたい!」


 なのでこう言ってしまったのである。

そしてこの場にいたシリウスさん以外の人は有名プレイヤーであることがバレてしまったアルカナと、初心者を対人戦に誘うなんてことを平気でやってのけたルピナスさんと、DFOのベテランと言われるほどゲームにのめり込んでいるMEIさんだった。

だからこのあとはこういう展開になった。


「いよっ、カカソーラさんよく言った!」


「メインクエスト中のダンジョン攻略に人手が必要ならいつでもお呼び下さい」


「ふふふ、そうと決まったらわたしに任せて。メインクエストの攻略から銃剣士に必要な汎用スキルのピックアップ、最適装備の入手方法まで余さず付き合うよ!」


「ルピナスさん、MEIさん、アルカナ!ありがとう、僕がんばるよ!!」


 僕達はハイタッチを交わす。

あとから振り返ると謎の盛り上がりだった。

その輪にシリウスさんもルピナスさんの手によって引きずり込まれる。


「まあ、本人がやりたいって言うならいいんだけどさ……」


 こうしてストッパーのいなくなった僕達はカカソーラ強化計画の相談に入るのだった。

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