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11話

 銃剣士という職業の最大の特徴は「カートリッジ」というシステムにある。

【リロード】という戦闘スキルを使用することでMPを銃剣士専用のカートリッジという数値に変換し、そのカートリッジを消費して強力な戦闘スキルを使えるようになるという仕組みである。

戦士系の職業でありながらMPも必要になり【リロード】を使うという手間もかかるだけあってカートリッジを必要とする戦闘スキルは全職業と比べてみてもかなり強力……らしい。

何しろDFOを始めたばかりなので僕には他の職業の情報が全く無いからよくわからないのである。


 さらにまだ銃剣士になったばかりなので使えるカートリッジ消費戦闘スキルも自分の防御力を高める【スチールジャケット】とパーティ全体の防御力を高める【スチールゾーン】の2つだけ。

その強さを実感するにはまだまだレベルを上げなければならないようだ。

とはいえ今の時点でもわかるいいところだってもちろんある。

それはソードバレルを使った基本的な戦闘スキルの数々で――


「【マジテックソード】の再現度完璧じゃん、親の顔より見た【マナバレット】も使えるし!」


 元のゲームで使えた技の採用率が高い!!

DFOの制作陣はシリーズの中でも『ソードバレル』がお気に入りだったりするのだろうか?

だとしたらうれしいな……

あ、【マジテックソード】は魔力をまとわせた斬撃技で【マナバレット】は柄にある引き金を引いて火属性の魔法弾を撃ち出す技だよ。

低レベルから使える技で【マナバレット】の方は弱点つけるボスも多かったから使いまくったんだよね。


「きみの家庭環境で親の顔より見たはシャレにならないからやめようね……で、見た感じ銃剣士の基本はしっかり覚えられてるみたいだし、今日はこの辺で終わろうか」


 アルカナの言葉で気がついて時計を確認してみればちょうどいつもゲームを終える時間帯になっていた。

いつもは自分で時間を確認しているのだが、言われるまで気がつかないとは今日は本当にのめり込んでしまっていたらしい。


「そうだね、じゃあ明日はレベル上げも兼ねてメインクエスト進める感じでいい?」


 僕の提案にアルカナは少し困ったような顔をする。


「ごめん、明日は親戚と食事会だからいつもの時間帯はいっしょにプレイできないんだ。夕方までなら空いてるんだけど……」


「あー、そっちは僕の稽古があるからね……まあ、仕方ないよ。明日は1人で……そうだな、副職業始めてみようかな」


「せっかく一緒にDFO出来るようになったのに……おのれ京都の本家……」


 禍々しいオーラを幻視しながらその日はお開きとなった。

親戚との食事会が無事に終わることを祈るばかりである。



 翌日、春休み期間中なので容赦のないお祖父ちゃんからの稽古を無事乗り越えて夕食後の自由時間。

以前のようにだらだらして過ごすという選択肢もあるが、今の僕は迷わずDFOにログインという選択肢を選ぶ。

昼間に秘ちゃんがSNSを通じて教えてくれた副職業絡みの攻略ページを視界の隅に表示しながら副職業に挑戦開始である。


「けっこういっぱい種類あるんだよねぇ」


 副職業一覧表を眺めながらひとりごちる。

武器を製作できる鍛冶師に鎧系の装備アイテムを製作できる甲冑師、アクセサリ系の装備アイテムを製作できる細工師――これはアルカナの副職業らしい――を始めとする生産系職業が最も多いが、釣りをして魚を入手できる漁師や作物を育てて貴重な素材を入手できる農家、何の効果もないが派手なエフェクトを発生させられる芸人なんていうのもあるようなのだ。

攻略ページによれば戦闘を中心としたプレイをするのなら装備を製作できる副職業、お金を稼ぎたいのなら製作のための素材を集められる漁師や農家がいいとある。


「でも最初にやるなら興味が持てるやつ、だよね」


 僕は釣りが楽しそうな漁師をやってみようと決め、漁師を習得できるブレイブポートの船着き場近くにあるという漁師ギルドに向かうのだった。

NPCに話しかけてクエストを受注、チュートリアルを受けて新しいシステムを覚えるというこのゲームの基本的な流れもわかってきたのですいすい進みあっさりと副職業・漁師を習得出来た……のだが。

それから30分後。


「まーた、餌だけ持っていかれた!!」


 釣りの難易度はめちゃくちゃ高かった。

漁師ギルドで一番安い魚の餌を雑に99個購入して半分ほど使い切ったところだが、今のところ成功率約3割、小魚ばかりがアイテム欄に溜まっていく。

始めてすぐはなめてかかって半分気持ちをよそにやっていたということもあるのだが、釣り竿に反応があってからすぐに引っ張るようになった今でも餌だけ取られて逃げられることがけっこうある。


「タイミングが遅いはずはないんだけどな……釣り竿の引っ張り方にコツがあるとか?」


 後で知ったことだが、マニュアルモードにしていると釣りの難易度がめちゃくちゃ上がるらしかった。

そうとは知らない僕が頭を悩ませつつもう一度攻略ページを見て釣りのやり方を再確認するか、と思い出した頃。

チリンと、今までとは種類の異なる通知音がなった。

何だろうと思って確認すると、それはフレンド――ルピナスさんからのボイスチャットのお誘いだった。

僕はそれを受け、少し緊張しながら口を開く。


「えーっと、もしもし、カカソーラです」


「こんばんは、ルピナスだよ!今ちょっと時間あるかな?」


「こんばんは、時間はありますよ。何かのコンテンツのお誘いですか?」


「そうだね!ボクもついこの間興味持ち始めたやつなんだけど……もしかしたらそっちの方が詳しいかも!」


 その言葉とともに、今度は画像――公式サイトのスクリーンショットが送られてきた。

公式が配信している動画へのリンクをまとめている部分で、『闘技場・エトワール最新シーズンハイライト集』という動画へのリンクが赤い丸で囲まれていた。


「DFO唯一のPvPコンテンツ!ちょっと敷居が高いから一緒にチャレンジしてくれそうな人をあたってるところなんだけど……どう?」


 ぴーぶいぴー?というものはよくわからないが、せっかくのお誘いなので見るだけは見てみようと公式サイトを開き、動画を開く。

動画の再生数はこういうものに疎い僕でも人気があるのだとわかるほど桁が多く、見ている間にもどんどん増え続けている。

やがて音楽とともにゲーム内の映像が流れ始め、PvPの意味が明らかになる。


 そこでは、プレイヤー同士が戦っていたのである。

豪華な装備アイテムに身を包んだキャラクター同士で行われる攻防。

始めたばかりの僕にとってはこんなのあり?となってしまうような戦闘スキルが飛び交っている。

そしてテロップに「最強の王者」と煽られながら登場したキャラクターを見て僕は思わず声を上げて驚いた。


 キャラクターの名前はクウ。

中華風の装備アイテムで身を固め徒手空拳で戦う男性のエルフ。

その顔は僕――カカソーラにそっくりだったのである。

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