待つ人たち
主人公が家出してから数ヶ月後、ウォーリー視点です。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
暗い寝室に、妻の悲鳴が響きマス。どうも、我デス。みんなのアイドル、ウォーリーさんデス。今は夜中の2時15分、丑三つ時デスね。
「イリスサマ、大丈夫デス・・・ウォーリーはここにおりマスよ。」
「はぁはぁ・・・ウォーリー・・・いつも、ごめんね・・・。」
我の妻、イリスはいつもこうして、夜中に何度もうなされては飛び起きてしまいマス。無理もありまセン、彼女が受けた体験は、そんなに簡単に乗り越えられるようなものではないのデス。
「謝る必要はありまセン。我はどうせ寝ませんから、ずっと貴方の寝顔を見ているのデスよ。」
「もう・・・ウォーリー・・・ううん、あなた・・・。ありがとう。愛してるわ。」
「我もデス。愛していマス、イリスサマ。マイハニー。」
月明かりに照らされた彼女の寝顔を見ているだけで、我は幸せとてもデス。
もちろんおっぱいのひとつでも触らせてもらえればもっと幸せデスが、こんな夜中に一度でも触ってしまえばきっと歯止めが効かなくなるでしょうカラ、ここはグッと我慢。我は我慢強いところが売りの、3000年ぐらい孤独に耐えられる男なのデス。結婚して早数ヶ月、我とイリスサマが未だにプラトニックな関係を貫いていると聞いたら、ご主人サマは度肝を抜かれるのではないでショウか。
もちろん我もしたくないわけではないのデス。イリスサマも同じく、何度も我をベッドに誘い、「私、もう大丈夫だよ?」と言ってくださるのデスが、我の高度なセンサーはイリスサマの生体反応を詳細にチェックし、彼女が無理をしていることを0.2秒以内に看破してしまいマス。いつか彼女が無理をせず、また夜中にうなされなくなる日が来たら、我は初めてハッスルタイムに突入することでショウ。それはそう遠くない未来のことデス。きっとネ。
さて、夜の話はこの辺にしまショウ。あまりにも全年齢向けで、楽しい話ができまセンからね!
朝になり、支度を終えると、我とイリスサマは手を繋いで出勤しマス。仕事場は徒歩数分のランスさんのお店デス。イリスサマは店番としてすっかり定着し、今では看板娘として町の人気者になりつつありマス。我が妻の美しさ、、可憐さ、可愛らしさからすれば当然のことデスが、彼女に色目を使ってくる不届き者に目を光らせるのは大変デス。日に平均で15回ほど、【ハリケーン】の引き金に指がかかってしまいマス。
最近の我は店番より、ランスさんの銃作りを手伝うことが多くなりマシタ。今までは銃をぶっ放すばかりでしたが、銃を作るというのは思いのほか楽しい仕事デス。我の計算能力を持ってしてもなかなか理想の銃というのは形にならず、日々悪戦苦闘しながらランスさんの手伝いをしておりマス。ゆくゆくはランスさんはこの店を我とイリスサマに譲りたいと言ってくださるのデスが、そんな期待に応えられるよう、ますます努力せねばなりまセン。
次に、ハルサマの話をしまショウ。
ご主人サマが家出してからというもの、ハルサマはこれまでに増して精力的に活動されるようになりまシタ。すべてはご主人サマがいつ帰ってきてもいいように、帰ってきた時に喜んでもらえるように・・・という気持ちからくるものなのデス。我がクソご主人サマクソ野郎にはもったいないことデス。
ハルサマは今、首都を始めとした各地の町をドラゴン・・・ドラちゃんで飛び回りながら、ネッコワークの普及に取り組んでいらっしゃいマス。
そう、ネッコワークはすでに、首都を含む100以上の町で展開されているのデス!ユーザー数は50万人を超えまシタ。スゴイ!立派な広域ネットワークに成長したと言っていいでショウ。
現在、ネッコワークを管轄するネコのカンパニー・・・通称「ネコカン」は首都に本拠地を置き、とある方を社長とした大きな組織になりつつありマス。ハルサマは執行役員として世界を巡り、ナナサマとエドサマが技術責任者としてハルサマを支えていマス。
といってもやることは、基本的には単純デス。
ナナサマが町という町全てにプラズマライフルの林を作り、エドサマの指示のもと、町中にネコを、長距離通信用にウサギを生成して配置する。あとは本社で研修を受けた社員のみなさまが、それぞれの町で普及活動をする。
もともと便利な技術デスから、普及はあっという間、呆れるほど簡単に人々の中に浸透していきまシタ。
毎日色々なウェブサイトが産まれ、消えていきマス。人気になるサイトもあれば、すぐに閉鎖してしまうサイトもありマス。
ご主人サマが作ったしょうない動画サイトも、今では1万を超える動画が投稿されるようになりまシタ。・・・ほとんどがネコの動画なので、割とすぐに飽きてきマスが・・・そのうちもっとバリエーションが増えていくことでショウ。
アダルトなサイトも続々と誕生し、我も夜中にコッソリと見ては・・・む、殺気が・・・イエ、違うのデス、イリスサマ。コレは貴方に不満があるとかではなく、男の子の習性みたいなものデス。怒るのはともかく、泣かないでくだサイ。ガチが申し訳ない気持ちになりマス。ごめんなサイ、マイハニー。
・・・話がそれまシタ。
とにかく、ネッコワークは皆サマの努力で、大変に普及しまシタ。ご主人サマが帰ってきたら、きっと鼻水が吹き出すほど驚いて、そして喜んでくださるでショウ。そのために、そのためだけにみんな、頑張ってきたのデスから。我がクソご主人サマクソ野郎にはもったいないことデス。マジデ。
おっと、そろそろ閉店の時間デスね。
そろそろ片付けて、イリスサマと我の愛の巣に帰りまショウ。店番をイリスサマに任せて、我はバックヤードに入りマス。お話した通り、我とイリスサマはベッドの上でガッツリネットリしたアレコレはしていまセンが、最近はちょっとしたボディタッチ程度ならオッケーなのデス。今日も帰ってたっぷりと、ちょっとしたボディタッチの時間を・・・
ん、店の前に車が止まったようデス。知らないエンジン音デスね。こんな時間にお客サマでショウか。イリスサマの驚いたような声が聞こえマス。我も慌てて店の方に顔を出すと、そこにいたのはもちろん、いつものように頼りない顔で、まるで家出少年がすごすごと帰ってきたような雰囲気を出しながら、挙動不審な様子を見せている・・・その人デシタ。
「おっ・・・あの、ウォーリー・・・ただいま。」




