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野生の電子レンジが襲ってくる世界にきました -天才ハッカーのハッキング無双ライフ-  作者: じいま
長距離通信網その2 ドラゴンライダー編
113/202

ドラゴン狩り

前回までのあらすじ】


・長距離通信の邪魔をしてたのはドラゴンらしい

・オマケにドラゴンを捕まえたら結婚させてくれるらしい

「あれがハリアードラゴンか・・・ハンパないカッコよさだな・・・。」


俺とハル、それからウォーリーは光学迷彩をオンにして『竜の谷』への進入を果たした。ハルには俺と同じ戦闘服を貸すことができたが、子供用サイズの戦闘服なんてなかったのでエドとナナは数キロ離れたトラックで留守番中である。ナナには「身を守ることを最優先に」と言ってあるので、もしドラゴンに発見されるようなことがあれば確実に即死するだろう・・・ドラゴンの方が。


「にーさん、またトラン・ホークが飛んできたよ・・・あ、もう食べられた。」


ハリアードラゴンの生態を観察するべく、かわいそうだが付近のトラン・ホークを何羽かこちらに飛ばしてもらった。わかったことは単純に、あのドラゴンの能力はヤバイ、ということである。人間のパイロットが乗っていれば気絶必死の加速性能に加え、確認しただけでもマッハ2を超える速度。さらに戦闘機ではあり得ない旋回性能。機体・・・いや、身体をよじるようにして旋回することで、ほとんどその場で方向転換することが可能だ。さらに口からは強烈なレーザー(ここはドラゴンブレスと言った方がカッコいいと思う)を吐けるのに加え、いまだ使用しているところを見たことがない強力そうなミサイルを4発も搭載している。


「で、どうするの?」


ハルがささやくように言った。ハルの戦闘服姿は貴重かつとても似合う。普段は露出が多めなハルだけに肌をしっかりと隠す戦闘服は目新しい感じがするし、暑いからと言って胸元だけ大きく開けて着るので、汗ばんだ鎖骨とその下にちらりと見える罪深い谷などが色々と際立つのだ。残念ながら今は透明なので見ることができない。本当に残念だ。


「破壊するだけなら【ハリケーン】で一撃デスが・・・」


ウォーリーが申し訳なさそうに言う。確かに長距離通信の障害を取り除くという意味では、とりあえずドラゴンが始末できればそれでいいので、わざわざ危険をおかして手懐ける必要はない。ナナの【ラッキーセブン】とウォーリーの【ハリケーン】を使えば一瞬でカタがつくだろう。だが、もちろん俺たちがそんなことをするわけがない。


「ウォーリー、絶対に捕まえるから、お前は結婚式の段取りでも考えてなよ。ねぇ、ハル、マキちゃん?」


「結婚式に呼ばなかったら蜂の巣にするわよ。」


「私のホログラムではブーケトスを受け取れないのが残念ですわね。」


「ご主人サマ・・・ハルサマ・・・マキちゃんサマ・・・グスッ。」


バシバシとウォーリーの大きな背中を叩く。そうしてしばらくドラゴンを観察していると、留守番中のエドから通信が入った。


「師匠、ボクにいい作戦がありますよ!」


うん、実は待ってたぞ、我らが作戦参謀(7歳)よ。



というわけで用意したのは、この改造レーダーウサギである。トラックに積んできたプラズマライフルの木で生成し、エドが改造した。見た目は普通のウサギだが、中身はギッシリと電子機器にエラーを発生させるEMP手榴弾が詰まっている。


作戦は死ぬほど簡単、ドラゴンがこの爆弾ウサギを食べようするとウサギが爆発。頭がグラグラになったドラゴンの背に高台で待機していた俺が飛び乗り、さっさと「逆鱗」にタッチしてしまおうというわけである。ちなみにウォーリーが飛び乗る予定だったのだが、サイボーグの手には指紋も静脈もないことに気がついた。「逆鱗」はどう見てもATMなどに付いている静脈認証用のタッチパネルなので、サイボーグの手ではドラゴンが従わない可能性がある。そこで俺の出番だ。まぁ町長はドラゴンを手懐けろって言っただけだし、俺が手懐けたっていいだろう。


「にーさん、ドラゴンの背に飛び乗るなんて・・・できるの?」


ハルの心配ももっともだ。俺の運動神経がナメクジ以下だということはみんなが知っている。だが俺にはちょっとだけ自信があった。


「大丈夫だよ。空母と戦った時に岩山から飛び降りる練習はしたからね!」


空母に飛び降りるのもドラゴンに飛び降りるのも似たようなものだろう。俺はさっそく岩山に登り(正確には登れないのでウォーリーに連れて行ってもらった)、地上から10メートルほどの高さにロープを固定してドラゴンに備える。念のため、ウォーリーとハルも周辺に待機してもらう。


「ご主人様、まもなく爆弾ウサギが足元にやってきますが・・・本当に大丈夫ですか?」


「マキちゃんまでそんなに心配して・・・楽勝だよ。・・・ん、来たね。」


「ご主人様が妙に自信ありそうなのは・・・正直、前フリとしか思えませんわ。」


爆弾ウサギはのっそりした動きでやってきて、俺のほとんど真下で止まる。すると間もなく、上空から太陽を背にしたハリアードラゴンが急降下してきた。重力を利用して落下しており、エンジンの音がしない。仮にウサギが上を見たとしても、太陽の光に隠れて容易には接近に気づかないだろう。野生のナマモノらしい見事な狩りのテクニックである。


空気を切り裂くような落下音が通り抜けたかと思うと、次の瞬間にはウサギはドラゴンの前足に踏みつけらた。そして閃光が走る。EMPの爆発。着地したドラゴンが大きくのけぞり、頭をブンブンと振る。その足元はふらつき、作戦が予定通りに運んでいることを物語る。


「EMPの爆発を確認しました。今です。」


「よっしゃ行くぞ・・・やっぱ怖ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


慣れてきたと思っていたが、やっぱりお腹がヒュンってなる感覚は怖い。下半身が緩むのをググっとこらえながら、ドラゴンの背に向かって急降下する。着地の寸前で腰とロープをつなぐ金具が急ブレーキをかけ、十分に速度が落ちたタイミングで金具とロープを切り離す。


「よし、完ぺ・・・」


しかし着地の直前、ドラゴンはスッと俺の目の前から消えた。・・・あれ、避けた?


「え?」


俺はドサリと地面に墜落する。慌てて顔を上げると、そこには巨大なドラゴンの顔があった。その目にはEMPの影響が感じられず、しかも明らかに俺をしっかりと捉えている。落下の衝撃で光学迷彩が解けたらしい。


「・・・やっべ」


「やっぱり前フリでしたわね?」


「グルォォォォォォォォォォォォ!!!!」


大地を揺らすような咆哮。あまりの迫力に下半身が緩んで涙目になる。EMPが直撃したにもかかわらず、どうみてもあまり影響を受けた感じがしない。すごいぜドラゴン、マジでどうしよう。ドラゴンの口がゆっくりと開かれ、俺を食いちぎろうと迫ってくる。・・・あ、これドラゴンがゆっくりなんじゃない、死ぬ直前に脳内麻薬がどうのこうので世界がゆっくりに見えるヤツだ。俺、死ぬの?


だが俺の身体にドラゴンの牙が届くことはなかった。ギリギリのタイミングで横合いから飛び込み、ドラゴンの頭を殴りつけた男・・・いや、漢が現れたからだ。


「新婚パワァァァァァァァ!」


彼に助けてもらうのは一体これで何度目になるのだろう。俺が乙女だったら間違いなく惚れているに違いない。完璧にヒーローなタイミングで現れたウォーリーは、力任せにドラゴンの横っ面を殴りつけた。新婚パワー(?)の威力は凄まじく、大量のEMPでさえ効果が薄かった頑強なドラゴンの頭部を激しく揺らし、一時的に行動不能にする。


「・・・っていうか、まだ結婚を認められてないのに新婚パワーっておかし」


ウォーリーは喋っている俺を無視して片手で持ち上げ、ドラゴンの少し上を狙ってブン投げた。


「ご主人サマ、後はお願いいたしマス!」


綺麗な放物線を描いた俺の身体は、見事にドラゴンの背・・・逆鱗の近くに着地する。


「あぎょふ!」


「また頭から落ちて・・・アゴが外れてらっしゃいますわ。」


「ふほごはごはごふぅ。」


「はい、さすがの私も何を言ってるのかわかりませんが、とにかく『逆鱗』に触れてください。」


「ふごふ。」


マキちゃんに促され、急いで逆鱗に触れようと手を伸ばす。しかしあと僅か30センチというところで、突然ドラゴンがエンジンを吹かして宙に浮かんだ。背中に俺が飛び乗った衝撃で驚いたのかもしれない。とにかく振り落とされないように、服のパワーサポートを全開にしてドラゴンにしがみつく。ドラゴンはあっという間に上昇し、高速で飛行を始めた。


「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!助けてぇぇぇぇぇ!」


「ご主人様、薄々こうなるような気がしていましたわ。」

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勇者様はロボットが直撃して死にました
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