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Universe Create Online  作者: 星長晶人
第三章

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85/88

UCOの可能性

お久し振りです。



※これまでのあらすじ的な。

遂に開催されるギルド対抗イベント

に向けて準備しないと

リョウ「……(引き籠もって生産中)」

 装備品の装飾を極めることでサブステータスがつくと知った俺は、仲間達からの注文とは別に色々な装備の装飾をざっと把握しておこうと思った。


 まずは、注文にあった装備品を優先して探っていこうか。


 注文のあった装備品の種類は以下の通りだ。

 鎧直垂(甚平と袴でも可)、忍装束、とんがり帽子とマント、ブレスレット、機関銃、セーター、カーディガン、ネックレス、狙撃銃(できればサブマシンガンも)、火縄銃。


 銃の装飾は後でじっくりと行うため、今行うのは鎧直垂、忍装束、とんがり帽子とマント、ブレスレット、セーター、カーディガン、ネックレスだろうか。

 この中で既にある程度装飾が判明しているのは、マント、ブレスレット、セーター、カーディガン、ネックレスだろう。セーターなどはわかりやすいとされている。

 まず主体となる色で属性補助をつけることができる――これは俺が以前作成してティアーノに渡したセーターからもわかることだ。要は既製品からある程度効果のほどを予測できるから、それに沿って同じように赤のセーターを作成するというように派生していけるのだ。


 確かセーターの特性は、主体となる色で属性攻撃を上昇させ、他の色を混ぜることで属性耐性を得る。編んだ模様によってステータス補助が付与される。


 大体このようなところだろうか。カーディガンも似たような特性を持っていると聞いたことがある。


 次にブレスレットとネックレスだが、アクセサリー類もかなり検証が進んでいる。剣や盾などのメジャー武器とは違うが、アクセサリー類のいいところは装備制限がないことである。つまり、メジャーな武器よりも装備できるプレイヤーが多い。

 当たり前のことだが、検証優先度が高い装備品であることは大きな利点だ。後から作成を行うプレイヤーが楽になるからな。


 しかし検証結果が出ている装飾で仲間達の要望に応えられるかはまた別の話だ。


 まずはリアナ用のブレスレットから作成してみようか。

 理由は二つ。検証がある程度進んだアクセサリー類でかつ、要望も攻撃力のステータス補助ということで多くのプレイヤーが求めるものだからだ。


 まず一つ目の要素として、色がある。

 色はUCOの基礎ステータス毎に対応しているようで、簡単に言えば赤色でブレスレットを作れば攻撃力の上がるブレスレットになる。

 HPが緑、MPが水色、攻撃力が赤、防御力が青というように。


 さて。ここで問題になってくることがある。


 つまり、属性補助とステータス補助の違いである。


 セーターとカーディガンの方でははっきりと、色が属性を、模様がステータスを補助することが検証によって明らかになっている

 困ったことに、アクセサリーはどちらも色(・・・・・)だそうだ。

 どちらなのかを見分ける要素は、素材だそうだ。


 ……俺も実際に作ったわけではないので、仲間達から聞いた情報しかしらないのだが。


 わかりやすいところで言うと、ギガントシープという巨大で凶暴な羊のモンスターから作成した糸を使うと攻撃力が、フレイムシープという火属性の攻撃力をしてくる羊のモンスターから作成した糸を使うと属性補助がかかるということだ。


 要は、素材の元になっているモンスターの特徴が反映されている。


 ……実は武器だとまた変わってくるらしいので、検証し切られるのはまだまだ先の話になりそうだった。


 今は大まかな法則を見つけ出そうとしている段階だ。


 とりあえず、俺はそれらの検証結果が本当なのかをこの目で確かめるため、いくつか素材を取り出して準備をしておく。


 一応女性用という体で、リボンを使ったブレスレットにしようか。いくつか前素材は作ってあるので、その中から良さそうな物を選別する。

 今回必要な素材はチェーンとリボン。スキルでも既に存在する装飾品で、ブレスカーレットと言う。一本のリボンが半々で紅と赤になった物を使った真っ赤なブレスレットだ。おそらくスカーレットとブレスレットをかけ合わせただけだと思われる。洒落のような名称だが、その実性能はいい。現段階で作成できるアクセサリーの中ではそれなりに攻撃力が上がるのだ。


 まずはチェーンの組み立てから入る。

 チェーンと言っても一つ一つがバラバラになっており、ビニールの小さな袋に入っていた。それらは視力検査で見かけるような、輪が少し途切れた形をしている。隙間の狭いCと言った方がわかりやすいだろうか。兎も角、チェーンとなる物を組み立てをしていく。

 組み立てと言うほどのことでもない。輪の隙間に別の輪を入れて次々と連結させていくだけだ。コツとしてはCに対してCの向きで繋げていくことだろう。引っ張った時に切れ目と切れていない部分が交差するようにするくらいだった。

 チェーンの部品一つにつき大体一センチほどで、今回は適当に十五センチ程度のものを作ってみることにする――つまり十五個の部品を繋げてブレスレットの土台となるチェーンを作るわけだ。


 チェーンができたら次はチェーンにリボンを巻きつける作業に移る。

 紅と赤の二色に分かれる真ん中が来るように、リボンをチェーンの最後尾に通す。それからは簡単だ。チェーンの繋ぎ目を跨ぐ形で上下それぞれを輪に通していくだけだ。今回は紅が上なので、紅の方を輪の上から下へ通す。逆に赤の方は下から上に輪へ通すことになる。それをチェーンが切れるところまで繰り返す。

 チェーンがなくなってからリボンの両端に当たる紅と赤を揃えて固結びをする。


 これでほとんど完成だ。後は着けるだけとなる。着け方はリボンの片方をチェーンの最後尾に通してリボン同士を結ぶだけなので、とても簡単なブレスレットだ。


 ここまでは従来の作成と同じ手順である。


 この、着ける時に本来なら蝶結びを行うところで、厳つい飾りを着けようというのだ。……正直なところ、このブレスレットを考案した人への侮辱にならないか心配だが、試作品なので許して欲しい。


 まずは力のあるモンスターと言えば、というところでオーガを思い浮かべたので、オーガが落とす大鬼の牙――という素材を磨いて加工して出来た大鬼の牙飾りを使ってみる。

 牙の根元に穴を開けているので、そこにリボンを通し結んでみる。

 アレンジと呼ぶには少々大雑把だが、これでも効果があるかどうか見てみたい。

 『鑑定』を行い、アイテムの効果を確認する。ステータス効果の欄に本来ある攻撃力上昇効果に加えて、少し攻撃力が上がるようになっていた。……このような改良でも効果を発揮するのか。


 規制が緩い気もしないでもないが、よくよく考えてみればそうだ。


 UCOは万物を創造するRPG。スキルのレシピに縛られてしまっては、万物とは豪語できない。もちろんスキルレベルの問題や器用さのステータスによる制限はかかってしまうだろうが。


 地道な作業にはなるが、これらのリボンや果てはチェーンまでをステータス効果のある物として自ら作成してしまえば、それらが合計されたステータス補助ができるのではないだろうか。

 ……まだ推測、机上の空論でしかないが。試してみる価値はありそうだった。残念ながら今の俺ではチェーンの方の作り方がわからないため、リボンまでしか作り込むことができないのだが。


 ブレスレットは様々な形やタイプが存在している。それこそ現実世界にいる先達が考案したブレスレットを模倣して作成するだけでも勉強にはなるだろう。

 今の俺が一から部品などを作成できるブレスレットがないかどうか、調べてみてもいいかもしれない。

 尤も、一番簡単そうなビーズに糸を通して両端に留め具をし、糸を結ぶだけのブレスレットで細かい部分を試作してみるのも悪くはない。ビーズ一つ一つに付与効果を持たせることができるのであれば、強いアクセサリーを作成できる可能性は充分にある。


 とここで、俺は一つ思いついた。


 そういえば、最初にクーアが来た時、『細工』で模様を刻んでいた気がする。つまりビーズの一つ一つに意味のある模様を刻めば付与効果が生まれるのではないだろうか。


 物は試しとばかりに、適当な石に『細工』用の尖ったペンのような道具を使ってみる。意味のある模様――否、文字と言えば心当たりがあった。しかもここは銃などが存在しているとはいえファンタジー世界が舞台となっている。それなら存在しているはずだ。


 ルーン文字。


 俺は思いつくままに氷の意味を持つ「i」を刻もうと縦線を引き、続けて上の点を刻もうとしたその時だった。


 ブーッ。


 突如警告音が鳴り、指が止まる。俺の眼前に警告メッセージが表示されていた。


『スキルが不足しています。現在のあなたではその動作を行うことができません』


 とのことだ。……つまり、『ルーン』のようなスキルを持っていないから、ルーン文字を刻むことは許さないというわけだ。思いついたからと言って会得できるタイプのスキルではないらしい。そして、システムに阻害されたということはそういったスキルが既に存在していることを意味している。

 無論、試す前にスキル検索をかけなかった俺にも非はあるのだが。


 ……ふむ。


 俺は少し残念に思いながら、ただアルファベットの「i」を思い浮かべながら石に刻んでみる。なにも起こらなかった。

 どうやら文字をルーンとして刻み込もうとすると停止させられるようだ。


 仕方がない、他の方法を探るとしよう。確かオリジナルの紋様に意味を持たせるスキルを作成したプレイヤーがいた。その路線ではスキルの被りが出てしまって新規作成することは難しいだろう。

 しかもそのプレイヤーは紋様を使うスキルを公開していない。俺も人のことを言えば立場ではないので、責めることはできないが、なんにせよそのスキルに辿り着くことは難しそうだ。


 と、一つまた思いつきがあった。今度は生産面ではなく戦闘面だったが。思いつきのアイデアだけメモに残しておき、後でスキル申請してみよう。今は生産に集中だ。


 こうして、俺の一日は過ぎていく。

 やりたいことは多い。やらなければならないこともある。


 それでも俺は焦ることなく一つずつ道筋を立てていく。

 ……ゲームで目標を立てると達成できなかった時にモチベーションが下がってしまうと、ユイに聞いたことがある。

 だが今の俺にはそのようなことが一切なかった。


 どうも俺は、気分がとても高揚しているらしい。

前回生産回と宣言したような気がしますが、そこまでがっつりでもなかったですね。


生産は次回にも続きます。

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