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Universe Create Online  作者: 星長晶人
第三章

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82/88

アップデート予告

※本日三話目


やっと闘技場を終わらせられたので、生産書けます

久々になってしまって申し訳ありません

あとこの話から章変えすると思います


ちょっとシリアスめな話が多かったので、あまり得意ではないのですがコメディチックな話でも書こうかなー、と予定してます

 本日は大勢のプレイヤーが始まりの街の広場へと集まってきていた。


 俺達《ラグナスフィア》も固まって民家の上に集まっている。


 なぜこのように大勢のプレイヤーが集っているのか。その理由は数日前に公開されたお知らせにあった。


『今後のアップデート予告』


 それが本日これからここで行われる、節目となるイベントだ。


 概要だけいくつか載っていたのだが、詳細はこの場でこれから発表するとも記載していた。待ち望んでいたアップデートだと思う者も多いだろう。

 大勢のプレイヤーは期待に胸を膨らませて待機していた。


「「「十」」」


 十秒前になってから、誰からやり始めたのかカウントダウンが始まる。十から徐々に下がっていき、「「「一」」」と期待いっぱいの声が響き渡った直後、時計が12:00を指す。


『さぁ、待ちに待ったアップデート予告の時間だ! 準備はいいか、プレイヤー諸君!』

「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」


 七三分けに黒ぶち眼鏡でスーツ姿の巨大な男性が街の上空に姿を現した。空が暗くなり、どこからか無数のスポットライトが当てられる。

 プレイヤーの盛り上がりは充分だった。


『プレイヤーの皆様、いつもUniverse Create Onlineをプレイしていただき、誠にありがとうございます。それでは早速だが、アップデート予告を始めるぞ!』

「「「おおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」


 堅苦しい挨拶もそこそこに、テンションを上げて宣言する。……楽しみなのはわかったから少し落ち着いたらどうだろうか。


『まずは近々開催されるイベントの予告だ! 事前に告知した通り、ギルドイベントを開催する!』


 再び歓声、というより雄叫びに近い歓喜の声が上がった。


『まだ確定ではないが、形が決まったのでこうして予告させてもらうことにした。諸君らも楽しみにしているだろうからな。どういった形式で行うか、だが』


 言いながら、真面目そうな見た目の男が説明し始める。


『開催は今から一、二週間後とする。開催の三日前になったら正式にいつから始まるのか告知するので、一週間後くらいにある続報を待って欲しい。気になる内容だが、まずは予選を行う。予選は三日間行われ、その期間内に特定のモンスターを倒してポイントを稼いでもらう方式となる。今回これを採用させてもらった理由は第一に、ギルドの格づけが必要だったからだ』


 つまり、獲得したポイントに応じてギルド上、中、下というように分けていくのか。


『予選後二日間のインターバルを設け、その後五日間の本選を迎える。本選はギルド対ギルド、二つのギルドが鎬を削って戦うギルド同士のバトルとなる! 互いの拠点を奪い合うことで勝敗を決する』


 男性が言うと、いくつかのウインドウが大きく表示された。ウインドウは縦の長方形となっており、上下の端に青と赤の大きな丸が描いてある。それぞれの手前には同じ色の少し小さな丸が三つ描いてあった。おそらく大きな丸が落とされると敗北する拠点で、小さい方は落とされても負けには繋がらないが落とすことで敵拠点に攻めやすくなるようになるのだろう。


『大きな丸が重要拠点となり、ここを落とされると敗北する。手前にある三つの小さい方は落とされても勝敗には関わってこないが、敵拠点を攻めやすくなる、防衛側では敵の迎撃に使えるなどの利点ができるように考えている。ギルドバトルのフィールドはかなり広く、攻め方や守り方が重要となってくる。その辺りは実際に開催されてからのお楽しみだが』


 色々なフィールドがあるのだから、どのフィールドで行うのか直前までわからなければ様々な対策を練っていかなければならない。砂漠と雪原では全く対策が異なるからな。あとはフィールドの広さを考えると、少数ギルドが圧倒的な不利となるイベントのようだ。


『ギルドから出場させる人数に制限はない。少なくてもいいし、全員参戦しても構わない。つまり、人数の多いギルドほど有利になるということだ。これからメンバー集めに精を出してくれ、諸君。しかしそれでは中小ギルドが勝てる見込みなしということにもなりかねない。そこでギルドイベント開催中のみギルド同士の同盟を組めるようにする。一つのギルドとしか同盟を組めないが、同盟を大手ギルドに対抗できる手段の一つとして考慮して欲しい。同盟は開催前までに申請を行わなければ認めないものとする。それはギルドを格づけする際に数の変化が激しくなる恐れがあると考えてのことだ』


 なるほど、同盟を組むことによって大手ギルドにも一時的にだが対抗できるようにするということか。


『同盟は最も人数の多いギルドの人数以下に合計人数がなる範囲でなければならない、という制限もある。人数が一番多いギルドと二番目に多いギルドが同盟を組んで参加しては元も子もないからな』


 それは当然の制限だろう。確かジャンのいる《インフィニティ》が最も多かったと思う。そことユイの《魔導学院》が同盟を組んだらどのギルドも勝てないと思うからな。


『拠点を落とされたら敗北すると言ったが、もう一つ勝敗条件がある。それは、ギルドマスターの死亡だ。同盟の場合は申請する時に代表者を決められるようにするため、二人になることはない』


 ギルドマスターを倒せば勝てる、ということか。つまり俺が倒されればギルドの敗北に繋がってしまうということでもある。……真っ先に突っ込んでいくタイプなのだが。


『本選では最大でギルドバトルの時間を十二時間取れるようにする予定だ。九時から二十一時の十二時間だ。その間に拠点を奪われる、ギルドマスターが倒されるということがあれば決着となる。本選は一日に一戦しか行わず、全ギルドが五戦ずつ行うことになる。ギルドマスターは勝敗条件に関わるため絶対参加となっているが、早々に敗北して撤退し、翌日に備えて素材回収をしてもいい。特に人数の少ないギルドに関しては、全勝を目指すとなるとアイテムや装備の枯渇が課題となってくるだろう。そういったことの対策として、予選と本選の間にインターバルを挟むことにしている』


 全て勝とうとするのが難しい場合は、どのギルド相手に本気で勝ちにいくかということを考えて戦っていかなければならないということか。早くても一週間の猶予はあるのだが、それでも予選で消耗するということだろう。これは俺達も本気で準備していかなければかなり厳しくなるだろうな。


『続いてはアイテムや装備に関してのルールについてだ。ギルドイベントで大量のアイテムが必要になる。加えてそれまでに装備を整えるとなると大手生産ギルドに対して依頼が殺到することと思う。ギルド開催前及び開催中に関しても、アイテムや装備の売買などについてはルールを設けず各自で設定してもらいたい。だが一方的に押しつける、断るのではなくきちんと礼節を持って行って欲しい。生産ギルドと定期契約を結んでいるギルドもあるが、直前になってやっぱりやめるということなどは行わないでくれ。イベント後の関係を悪くすることになる。供給をやめて自分達もイベントで戦いたいというなら、きちんと事前に断りを入れることだ』


 これは《ラグナスフィア》にとっても無関係ではないな。ジャンやユイのギルドと提携しているため、アイテム補充のために一時停止することも考えなければならないだろう。逆に言えば、俺達のようなギルドが出てくるので生産だけをしているギルドにとっては稼ぎ時ということになる。


『最終的なギルド、同盟の数を確定してから格づけの数も決めるからな。早めに申請してくれると助かる。では諸君! ああだこうだと言ったが簡潔に言うと、だ。ギルド同士の団体戦をやるから盛り上がっていこうぜ!』

「「「おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」


 まとめ方が雑だな。


『ギルドイベントは新コンテンツとして定期的に開催していくから、そのつもりでいてくれ。それでは次のアップデートだが、問い合わせが殺到したプレイヤー素材に関してだ』


 じろり、と男性の目がこちらを見た気がした。扇動したのは俺ではなくユイなのだが。


『意見としてあったように廃止することが決定した。もしこの中に今までやってきたプレイヤーがいれば、問い合わせがあった直後からプレイヤー素材が剥ぎ取れないことがわかっただろう。私達はあれから最後の追い込みをかけるプレイヤーが出ることを考慮して先に停止し、こうして事後報告という形を取らせてもらった』


 ぺこり、と男性が頭を下げる。廃止予告をして一斉にプレイヤー狩りが始まればことだからな。当然の判断だろう。


『詳細は修正の欄に記載しておく。興味があれば読んでいただけるといいだろう』


 盛り上がっている雰囲気に水を差したからか、この話題はすぐに終わらせた。


『あと汗に関してはゲームの中でまで汗だくになりたくない、べたべたで気持ち悪いなどの意見が多く寄せられたので廃止することにした。これは今後行うところだ』


 そういえばいつからか追加されていたな。最近だったと思うのだがゲーム内で汗を掻きたくなかったのだろう。ウィネが『調合』時に鍋のところにいるから汗を掻いて仕方がないと愚痴を言っていたので、そう思うプレイヤーは多かったのだろう。カタラは『鍛冶』をしているので汗を掻きそうだが、あまり文句を言っているところ聞いたことがないな。


『さて、スキル調整やスキル追加についても多少あるのだが、そちらは一覧を見てもらった方が手っ取り早いだろう。後でお知らせを確認してくれ。スキルの中には《野伏(レンジャー)》と《貴族(ノーブル)》を上方修正するためのモノも存在する。是非確認してくれ』


 男性がまたこちらをちらりと見やってきた。俺が暇潰しに考えていたスキルが運営で吟味され、実装されることになったのか。ということはつまり、あの新職業が追加されるということだろう。


『そしてお待ちかね、新職業の追加だ! こちらに関しては様々な憶測が飛び交っているが、この場で初出しの情報となる!』


 俺は事前に知ってしまったのだが、どうしてくれるのだろうか。


『新職業の名は――《召喚魔術師(サモナー)》だ!』

「「「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」

『《召喚魔術師(サモナー)》は『召喚魔法』を駆使して使い魔などを召喚して戦う職業で、プレイヤー自体は補助が主体となっている。使い魔などに戦闘を任せて支援するような戦い方をすると考えてもらえばいい。新職業の追加により、転職のシステムを加えることにする。ただし転職は一度のみとするから気をつけるように。また転職時には一部のレベルを引き継ぐようにするため、レベルの上げ直しをする必要はない』


 転職か。《銃士(ガンナー)》が増えてくれるといいのだが。


『さらにギルドイベント前に新規プレイヤーを増やすことにする。先程も言ったようにイベントまでにメンバーを増やす機会の一つとなるだろう』


 また増えるのか。まぁどんどん生産して数を増やさなければ運営費用で相殺されていってしまうから当然と言えるのだが。


『さて、これでお知らせに載せたアプデ予告は終了した』


 落ち着いた口調で男性が告げる。まるで、わざと載せなかった予告があるような口振りだった。


『プレイヤー諸君! 実はここで初めて発表する大型アップデートがある!』

「「「おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」

『それは、ゲームをプレイする者なら誰もが憧れ、夢見た待望のシステム! VRでやってみたいと思った者は多かったのではないか!? ここに――奥義システムの追加を発表する!!!』

「「「う、おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」」」


 男性が熱く宣言すると、驚きと興奮が混じった歓声が始まりの街を揺らした。……奥義、ときたか。


『奥義とは、一人のプレイヤーにつき一つしか持てず、固有のモノである! 奥義とは、一バトル中に一度しか使えない切り札である! 奥義とは、唯一無二にして強力無比、君だけのモノである!!』


 固有であるということを二回言っていたが、それほど重要なのだろうか。確かに条件を満たせばオリジナルスキルでも他のプレイヤーが使えるようになる。


『奥義システムの導入は一ヶ月後と考えて欲しい。一度のバトルに一回しか使えないということもあり、失敗させるわけにはいかない。そこで私達はギルドイベントを経てから奥義効果を考えられるようにと思い、この順番で追加することにした』


 ぞく、と俺の背筋を高揚感が昇ってきた。順番はどうでもいいが、今なんと言ったのか。


 奥義効果を考える(・・・・・・・・)


『気づいた者もいるようだな。そう、私は今、奥義効果は考えるモノだと口にした。つまり奥義とは固有のモノであると同時に、諸君らが自分で考えたモノをゲーム内で使えるということだ!』


 自分で考えた奥義がゲーム内で使えるとは、驚きだ。やってくれる、と言うしかあるまい。


『一ヶ月後に奥義システム追加と同時に、奥義効果の申請を受けつけ始まる。そこで私達とやり取りしながらではあるが、諸君らだけの奥義を実現していきたい! それまでにどんな効果がいいか存分に悩み、考えるといい! ギルドイベントで自分達に足りないモノを補うのを良し! 単独で強敵に一撃与える破壊力を求めるも良し! 攻撃、防御、支援、回復、弱体、どんな効果でもいい! 諸君らが自らの手で実現させたい奥義を持ち寄るがいい!』

「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」


 ただのアップデート予告だというのに、盛り上がりが半端ではなかった。かくいう俺も久し振りに高まっている。


『奥義は強力なモノであればあるほどデメリットをつけることとし、発動条件などを厳しくしながらバランスを取っていく。逆に言えばシンプルであればあるほどデメリットなしに使えるということだ。効果範囲なども考慮した上で、自信のあるモノを待っている!』


 男性はそう締め括ると、深呼吸をして落ち着きを取り戻す。


『では諸君。ギルドイベント開催の知らせがあるまで、奥義を考え素材を集めスキルを磨き、充足した期間を過ごすことだ。さらば!』


 言ってからばっと両腕を広げた瞬間に光の粒子となって街中に降り注いだ。


 プレイヤーの多くは興奮冷めやらぬまま雄叫びを上げたり周囲の人とアップデートに関して話している。


「……」


 俺も今回ばかりは冷静な顔をしているかわからないほど高揚感を持っている。特に奥義システムについては今から実装が楽しみになるくらいだ。

 しかし今は次のイベントであるギルドバトルに備えなければならない。


 俺は袖のないコートを翻して踵を返す。


「……ギルドホームに戻る。今後の予定について話し合うぞ」


 ギルドマスターとしてそれだけを言って、足早に自分だけ向かった。

アップデート予告とかすると、ゲームっぽくなりますね()

ともあれ何話か生産やらの準備期間中の様子があってから、ギルドイベントに移ります


奥義システムはその後になりますが、誰にどんな奥義を持たせるか、今から楽しみです

何人か決まってますけどね(笑)

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