第二回イベント結果発表
またかよ、と思った方すみません
ホントすみません
いつか修正するかもなんでホント、すみません
先に謝っておきます
『それでは第二回イベントの、結果発表を行いたいと思います』
最初の街の中心にある噴水の上空に映し出された巨大な美女のホログラムが言った。集まった約一万二千人のプレイヤーは大歓声を上げる。……元気だな。俺はもう背後霊に疲れてグッタリしているのだぞ。
『その前に、子供化したプレイヤーの皆様を実体化させましょう』
美女がそう言って右手をパチンと鳴らすと俺が実体化し、子供の俺の隣に降り立った。
「「「……っ!!?」」」
突如として現れた俺にメンバー達は驚愕していた。
「……ふむ。長かったな」
俺は呟いて手を開いたり閉じたりしてみる。違和感はない。
『それでは皆様が揃ったところで、結果発表といきましょう』
美女はチラリと俺を見て進める。……間違いなく俺を見ていた。運営側の人間なのだから不思議ではない。
『まずはペアイベントの各場所におけるスコア、タイム、総合の三部門で五位まで表彰したいと思います』
美女はそう言って結果を淀みなく発表していく。再び《ラグナスフィア》は全員がランクインするという偉業を達成--出来なかった。ウィネだけがランキングに入ることなく終わった。だがスコアだけが高い者はかなり多くいて、同率一位のみとなっている。因みに俺はウィネを除いた全てのペアでMAXスコアを記録しているので十一個ランクインしている。タイムでもそこそこの成績を残し、総合でも良い結果が出た。
『ペアイベントの特別賞を発表したいと思います。ベストカップル賞、リョウ様とウィネ様!』
ベストカップル賞なるモノに俺とウィネが選ばれていた。そしてその決め手となったと思われる決定的瞬間が写真として大きく表示される。
そこには若干顔色の悪い俺がウィネにキスしようとしているような写真だった。しっかり周囲には大量のゾンビ共がいるので俺がゾンビ化した例のシーンだろう。
……ジロリとメンバーか睨まれるが無視しておく。結局キスした訳ではないので恥ずかしいのか頬を赤く染めるのを止めて欲しいのだが、ウィネ。
『ベスト子悪魔賞、リョウ様!』
まさかのまさかで子供姿になった俺が表彰されていた。今回も表彰される者はスポットライトが当てられるので、俺ではなく子供の俺に当てられたのだ。……確かに今回はユイをも超える小悪魔振りだったからな。当然と言えるかもしれない。
ティアーノ目線で胸に顔を埋めている子供の俺の写真が大きく表示された。
『ベストギャップ賞、リョウ様!』
これはおそらく子供の俺と今の俺を比較して他のプレイヤーが思ったことなのだろう。実際にはそんなことはないのだが。
と思ったのだが無邪気な笑顔を浮かべている子供の俺とスッと目を細めている子供の俺の写真が半々で表示された。どうやら俺ではなく子供の俺単体の表彰だ。スポットライトは子供の俺だけに当てられている。
『ベスト殺戮賞、ルイン様』
表示された写真は二挺のサブマシンガンを構えて迫りくる大量のゾンビ共を蹂躙し恍惚とした笑みを浮かべているルインが移っていた。
「……うぅ」とルインは恥ずかしいのか俯いてしまうが、当然の結果とばかりにプレイヤーほぼ全員が頷いていた。
他にもアイテムを一番多く使ったベストアイテム賞にユイが、ベスト攻撃、防御、回復、支援の各賞に一人ずつと、更に最弱賞最強賞普通賞と言う一番多く死に戻ったプレイヤー、一番多く活躍したプレイヤー、勝敗が丁度同じになったプレイヤーが表彰された。俺は最強賞と言うモノに選ばれた。とは言ってもプレイヤー最強と言う訳ではないので浮かれることはない。あくまで今回のイベント内のみでのことだ。
『続いてギルド対抗ビーチバレー大会の表彰に移りたいと思います』
第一位、《ラグナスフィア》。第二位、《魔導学院》、第三位、《インフィニティ》。四位から十位、十一位から二十位、と言う風に五十位までが特別にアイテムを貰った。
ペアイベントと同じくこれにも特別賞があり、ベスト殺戮賞にはリアナが選ばれ鬼の形相でサーブを放つ写真が表示されていた。他にもベストアタッカーやリベロなど最も活躍したと思われるポジションまたは行動をした者が表彰された。……ベスト出しゃばり賞なるモノに俺が選ばれたのは嬉しくなかったが。『俺の一人勝ち』は立派な作戦だ。ボールを全てネット際でカットする最強のフォーメーションだぞ。
残念ながらユイのいる《魔導学院》には通用しなかったが。
『それではイベントを通しての特別賞と、ペアイベントのMVG、MVP、MVPとビーチバレー大会のMVG、MVPと全体でのMVP、MVGを発表したいと思います!』
美女は言って、ドラムスクロールを行いスポットライトを回す。
『ベストプリティー賞、《ラグナスフィア》三兄妹様!』
バン! に続いて美女が発表する。写真も映し出されているので理由は明白だ。ユイの計らいで撮ったテーア、クーア、子供の俺の順で並んだ写真である。確かに可愛い。テーアが眠そうにしていて可愛い。
『ベストファミリー賞、《ラグナスフィア》様!』
続いて発表されたのはベストファミリー賞なるモノで、これも《ラグナスフィア》だった。メンバー全員が小さい順に並んでいる写真だ。……テーアが可愛い。うとうとしていて可愛い。
『ベストムッツリ賞、リョウ様!』
……最悪なことに、ベストムッツリ賞なるモノを表彰してくれやがった。写真は公開するため湯気や光で大事な部分が隠れている《ラグナスフィア》の面々と子供の俺が入浴しているモノだったが、背後霊としてその場にいた俺が移っていた。
……メンバーから説明を求め責めるような視線を向けられ、周囲の男性プレイヤーからは羨望、女性プレイヤーからは最低と言う視線を受けてしまい、完全に針の筵である。『あっ、因みに当時はモザイクとか一切なかったので悪しからず』とわざとらしく美女が言った時は殺されるかと思ったが。
ベスト親分賞にジャン、ベスト隠蔽賞にアカリ、ベスト発明賞に俺、ベストクリエイト賞に俺、最多討伐賞にユイ、ベスト守護賞にジャン、最多救済賞に《魔導学院》のセドラス、ベスト指揮賞に惜しくもビーチバレーでは四位だった《レイジング・アーマメント》のギルドマスター、ライアという女性プレイヤーが選ばれていた。
『それではいよいよ、最優秀プレイヤー、ペア、ギルドの発表です!』
MVGとは最優秀ギルド、MVPとは最優秀プレイヤーまたはペアと言うことなのだろう。
『ペアイベントMVGは、《魔導学院》様!』
『ペアは、ユイ様とリョウ様!』
『プレイヤーは、リョウ様!』
三つで実加鐘家がほぼ独占という形になってしまった。……《魔導学院》が最優秀ギルドに選ばれたのは写真と言うか表だったが表示されたモノが理由なのだろう。誰一人死者を出すことなく全てクリアしているのが理由だ。ペアは単純に俺とユイが全ての記録の中で最も速く、そしてスコアが高かったからだろう。
『ギルド対抗ビーチバレー大会MVGは、《レイジング・アーマメント》様!』
『MVPは、リョウ様!』
MVGは《レイジング・アーマメント》だった。……一位を獲得したから良いだろう、と言うことだろうか。MVGが欲しかったのだがな。だが相変わらずソロならば選ばれるのが俺という結果になっていた。誰かソロで俺より活躍したプレイヤーはいないのか。
『栄えある総合MVGは、《ラグナスフィア》様!』
『栄えある総合MVPは、リョウ様!』
今回も《ラグナスフィア》が賞の大半を掻っ攫うと言う結果に終わってしまった。……賞の偏りが激しい。それでもギルドの総合力では大人数のギルドに劣るので、救済措置なのかもしれなかったが。
『それではこれより新施設闘技場が使用可能となります。よって特訓が行えるようになります。九月以降、月に一度闘技場で大会を行う予定です。闘技場の試行イベントとしてトップギルドによるリーグ戦を開催したいと思っています。開催前にお知らせしますが、準備は怠らないようお願いいたします。フィールドにダンジョンを実装いたしますので、どうぞこれからもUCOの世界をお楽しみ下さい』
美女はアップデートしたモノについて説明を加え、消え去った。……ではさっさとギルドホームに戻ろう。俺はあまり目立ちたくないのだ。
ということで、全速力でギルドホームに向かった。




