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Universe Create Online  作者: 星長晶人
第二章

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第二回イベント開始

 八月一日午前零時。


 俺はすぐUCOにログインする。ログアウトした場所は所属ギルド《ラグナスフィア》のギルドホームにある俺の部屋だ。


 第二回イベントの内容はすでに公開されており俺も説明の場にいた。

 その内容はあり大抵に言えば夏のイベント第二段だ。

 墓場迷路、夜中の学校、廃病院、古ぼけた巨大な屋敷、森の中の巨大な洋館と言う如何にもな五つのステージに転移しクリアを目指すと言うモノで、二人で参加する。

 何度も同じ人とは行けないがペアを変えれば何度も行ける。俺は知り合いが少ないので最高でも十一回しか行けないが。

 他にギルド対抗ビーチバレー大会が開催され、常時試合を進行していく。


 イベント期間限定ペナルティとして今回初デスのプレイヤーは期間中、子供の姿になり全ステータスが三割減するらしい。

 《ラグナスフィア》でまだ死に戻りしていないのは俺だけだった。βテスター組は無茶をして一回全滅したらしいので、ユイとジャンを含め俺の知り合いにはいないそうだ。新人組はネプチューンに一回倒されたらしい。ソロで挑もうとしたルインは兎も角三人は当初とは違いロリコンになったネプチューンによって作戦を根底から覆され、死に戻ったようだ。ティアーノもソロで事故に遭ったらしい。リリスはイベントボスとして俺達と戦い敗れたのがカウントされているらしい。

 と言うことで新規プレイヤー二千人以外で心当たりがあるのは現在俺だけとなっている。


 子供になる、と言うデスペナルティがあまり想像出来ないこともあって深くは考えていない。それに俺一人が子供になったところで《ラグナスフィア》全体の戦力は全く減らない。

 それに子供になることで身軽になって減ったステータスをカバー出来るかもしれないとさえ思っている。

 小さいには小さいなりの戦い方がある、と言うのは常識だ。


 俺の部屋のベッドで寝ているのだが、俺一人ではない。

 クーアとテーアは寝ている間に契約者全員がログアウトすると寝たままの状態になるのだ。カタラもそれを使って俺がログインしない時にログアウトしていたとか。

 メンテナンスで丸一日ログイン出来ないので一日中独りぼっちになってしまう。だからクーアとテーアを寝かせてからログアウトした訳だ。

 だがクーアとテーアを寝かせるために、問題が発生した。


 まず、テーアが俺、クノ、クーアの三人と寝たいらしく離れなかった。

 クーアもクーアで最初の契約者である俺とカタラと一緒に寝たいと言って聞かなかった。


 尻尾のある種族を選ぶとベッドに寝転ぶ時邪魔になるからか、ベッドに寝転ぶと尻尾が消えるシステムがある。

 そのため二人の要望を叶えるため、左からクノ、テーア、俺、クーア、カタラの順で無理矢理俺のベッドに入った――と言う訳ではなく、事前にギルドコアでベッドを拡張していたので五人並んで寝転んでいる。

 二人が寝たのを見計らってログアウトしたと言う訳だ。


 そのため事前に午前零時にログインすると決めていた俺達三人は次々とログインしてきて起床した。

 すると丸一日寝続けたクーアとテーアも目を擦りながら起き上がり、目をパッチリとさせた。……しばらくは昼寝の時間を取る必要もないかもしれない。テーアはまだ小さいので分からないが。


「……りょう、おはよ」


 クーアは起床するなり二人を起こさないようにと起き上がらなかった俺に抱き着いてきた。


「……とーたん」


 テーアもたどたどしい口調できゅっと俺に抱き着いてくる。

 俺はそんな二人を抱えて起き上がり、二人の母役がそれぞれの頭を撫でるのを見ていた。


「……では、行こうか」


 俺は言ってベッドから下りる。二人は母役二人に任せ、リビングに向かった。

 すると午前零時集合と決めていたからか、すでに全員がリビングに集まっていた。


「……これより第二回イベントが始まる。準備は良いか? ――行くぞ」


 俺は一応ギルドマスターなので短く言い、揃ってギルドホームを出る。

 すでにイベント開始宣言があったようで、メンテナンス前にはなかった無骨な鋼鉄の門に入っていくプレイヤー達が見えた。

 これはイベント限定転移ゲートだ。通常の転移ゲートと区別をつけるためか一万人以上が使うためか、巨大かつ無骨で門と言う感じでは、確かにあった。門はどちらからでも入れるらしく、そこだけ空間が歪んでいた。モヤモヤしたように見える通常の転移ゲートとは違う。


 ……二人で横に並んで入っていくのを見ると、ランダムに転送されるそうだからペアを作ってから転移ゲートをくぐっているのか。いや、並んでいるだけではない。手を繋いでいる。手を繋ぐのが恥ずかしいのか、入る瞬間だけ拳を打ちつけ合っているプレイヤーもいる。とりあえずゲートを潜る瞬間に互いの身体が触れていれば良いようだ。


「……最初はどう言うペアにする?」


 俺は後ろを振り返り、メンバーに聞く。《ラグナスフィア》は総勢十名のギルドなので人数としてはピッタリだ。

 俺に聞かれた九人は素早く視線を交差させるとじゃんけんを開始した。……いつの間に仲良くなったのだろうか。俺が見ていない期間も長いので当然かもしれない。

 と言うか事前に決めていたようなじゃんけんへの流れの淀みなさだ。


 その結果、ルインが勝った。よって俺のペアはルインだ。

 「……おばけこわい」と始まる前から怯えて俺にしがみついているクーアも一緒だ。俺とルインは無難に手を繋いで転移ゲートを潜る。

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