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天気晴朗ナレドモ水ノ月  作者: 伏見 七尾
四.二人のインペラートル
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十三.

「違うわ。そっちも知りたいけど――サクラ、というのがキサマの本名なの?」

「ん……あぁ。一応な」

 それはこの世に生まれた時、最初に授けられた名前だった。

 三笠は小さく笑う。

「正直、その名前で呼ばれても反応しづらいんだ。『三笠』という名前で呼ばれることに、すっかり慣れてしまった」

「エカチェリーナ」

「……ん?」

 ぽつりと聞こえた言葉に、三笠は振り返る。

「エカチェリーナ・ペトロヴナ・アレンスカヤ」

 呪文のような言葉を歌うように言って、スワロフは三笠の元へと駆けだした。

 そして戸惑う三笠に、青い瞳をちらと向ける。

「肝に銘じておきなさい。キサマを倒す女の名よ」

「そ、そうか」

 ついっとスワロフは視線をそらすと、きびきびとした足取りで鳥居から出て行く。

 取り残された三笠はしばらく呆然としていた。

「あ……あぁ、あいつの本名か。エカチェリーナというのか――言いにくいな」

 それでも、名前を明かしてくれた。

 三笠はなにやら不思議な満足感を感じつつ、スワロフを追って歩き出した。


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