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種馬スキルの悪役貴族に転生した俺、断罪を回避し娘たちと自由に生きることにした。  作者: みなもと十華@3/25二作同時発売


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第32話 娘は絶対渡さない!

 自宅に戻った俺たちは、やっと家族らしくなっていた。

 あれだけ仲が悪かったメテオラとリゼットも、今は普通の姉妹のように仲良しだ。


「ああぁ! わたくしのプリンが無くなってますわ! 後で食べようと取っておきましたのに」


 ふいにリゼットが声を上げた。

 そこにメテオラが近寄っていく。


「何じゃ、プリンならわらわが食べてしまったのじゃ」

「な、ななな、何ですってぇええ!」


 食べ物の恨みは恐ろしいとばかりに、リゼットがムッと頬を膨らませた。


「美味しそうだったからの。食べられたくないのなら、名前でも書いておくのじゃな」

「妹の分際で、姉のプリンを勝手に食べるんじゃないわよぉおお!」

「わらわが姉じゃ。妹は姉にプリンを差し出すものじゃぞ」

「どこに妹のプリンを勝手に食べる姉がいますのよ! わたくしが姉ですわ!」


 あれぇ…………? 仲良くなってるんだよな?


「わぁああああぁん! わたくしのプリンがぁ!」


 リゼットが泣き出してしまい、さすがにメテオラが気まずそうな顔になる。


「わ、悪かったのじゃ。美味しそうだったので」

「リゼットお嬢様、また作りますので」


 リズさんが慌てて仲裁に入った。


「わ、私も手伝います」

「シャルも食べるの手伝うの!」


 オロオロしていたエステルが手伝いに入り、シャルはつまみ食いに向かった。

 こんな感じに、日常は過ぎていく。

 姉妹喧嘩するのも仲が良い証拠かもしれないな。


「メテオラ、今度からちゃんと確認するんだぞ」

「ふん、分かったのじゃ」


 分かったとは言っているものの、メテオラは顔を背けてしまう。

 素直じゃないな。


「そういえば、メテオラ。まだ俺をお父さんって呼んでないぞ」

「そんな恥ずかしいのは嫌なのじゃ」


 メテオラは、プイッと横を向く。


「こら」

「むむむ」

「ほら、お父さんって言ってみろ」

「お、おお、お前」

「お前じゃないだろ」

「では父上でどうじゃ」

「父上か。良いかもしれない」

「ニヤニヤして気持ち悪いのじゃ」

「こら」


 まだ生意気な感じだけど、前と比べたらかなり前進したよな。


 それに、サラマンダーとの戦闘で、貴重なレア魔石とレア素材が手に入り、また大量の金貨に換金できた。

 前回のドラゴンの鱗も残ってるし、これだけあれば当分の生活費には困らないだろう。


 何度も俺に嫌がらせしてきたギムネムとジャスティンだが、その都度レア素材と金貨をもたらすとか、あいつらアホなのかな?

 まさに災い転じて福となすだ。



 そんなある日だった――――


「ん、またアイツか!」


 俺は、いつぞやの強い魔力を感じ取った。

 この気配は七魔大公の……。


「遂に家にまで来やがったか!」


 俺は玄関へと走った。


 ガチャ!

「何しに来やがった!」

「あら、お出迎えご苦労様です。レイン殿」


 俺が玄関のドアを開けると、そこにはアドラメレクが立っていた。

 形式ばったお辞儀をするが、その表情はどこか胡散臭い。


「今日はメテオラ様を引き取りにきました」

「引き取りにだと?」


 アドラメレクの言葉で、俺は無意識に眉間に力をこめていた。

 しかし彼女は平然と話を続ける。


「はい、レイン殿のお陰で、メテオラ様の力も覚醒したようです。もう保護していただく必要はありません」

「何だと!」


 もう必要ないとはどういうことだよ! 力だけ覚醒したら、父親はお払い箱かよ!


「メテオラを返すつもりはない。帰ってくれ」

「そうはいきません。メテオラ様は次期魔王ですから」

「メテオラを種族間の戦争に巻き込むつもりはない!」


 俺とアドラメレクが言い争っていると、家の中からメテオラがやってきた。


「わらわは戻らぬ。父上と一緒におるのじゃ」

「メテオラ」


 良かった。俺たちと一緒に居るのを選んでくれたのか。

 しかし、アドラメレクの表情が険しくなる。


「メテオラ様! 我ら魔族再興のため、貴女様は魔王となるべきなのです」

「それはおかしいのじゃ。新たな種を採取して、更に強い魔王候補を生み出すのではなかったのか?」

「なっ……」


 アドラメレクが絶句した。図星だったのだろう。

 メテオラが覚醒したことで、種採取計画を断念し、メテオラを魔王にすることに決めたのだろう。


「ぐっ、どうしても拒むと申されるのなら、力ずくでも」

「よせ、アドラメレクよ!」


 その時、新たに強力な魔力を持つ存在が現れた。


「ラプラスじゃねえか!」


 俺は外に立つフードの男に目をやった。

 何度も感じたことのある魔力。七魔大公ラプラスだ。

 ラプラスはアドラメレクと対峙する。


「アドラメレクよ、今レインと対立するのは得策ではない。引くのだ」

「ラプラス! アナタは私たちの考えには反対だったはずだ! 何を今さら」

「我は最初から全て反対である。魔族の戦力は衰退したままであるぞ。今は力を蓄える時」


 二人は魔族再興の話を続けている。

 どいつもこいつも、俺の家の前でゴチャゴチャやるんじゃねえよ。


「メテオラ様が覚醒した今が、魔族再興の機会でしょ! ラプラス、あんたは臆病風に吹かれてるだけなのでは!」


 そう言い放ったアドラメレクに、ラプラスは肩をすくめた。


「アドラメレクよ、そなたは何も分かっておらぬ。メテオラ様が覚醒したように、レインの他の娘も覚醒しておるのだ。今、レインと事を起こすと、他の種族の支配者となる娘まで、敵に回すことになるのが分からぬのか!?」


 言い切ったラプラスに、アドラメレクは何も言い返せない。

 俺と娘たちを見つめ愕然とする。


「なっ! まさか……」

「おい、こっちを見るなよ」


 種族の支配者? もしかして、俺の娘たちが?

 まさかな。


「ぐっ、まさか、レイン殿の力がここまで恐ろしいとは……。人族最強だけでなく、全ての種族を束ねる力まであったのか」


 おいおいおいおい! アドラメレク、俺を買い被りすぎだって!

 何で俺が全ての種族を束ねる皇帝みたくなってるんだよ!?


「それによく考えてみよ」


 凄みを利かせたような声のラプラスが、俺とアドラメレクを交互に見た。


「メテオラ様はレインに付くと決めたのだ。この意味、解らぬではあるまいな?」


 その言葉は俺も理解した。

 つまり、メテオラを魔族再興のシンボルにしようにも、そのメテオラ自体が人族である俺に付いてしまったのだ。

 これでは魔族再興どころか、逆に魔族側が不利になっただけだろう。


「ぐっ、こんなはずでは……。まんまとレイン殿の策略にめられてしまったのか……」


 策略? 何のことだ?

 俺はメテオラを家族にしようとしただけなのに。


 アドラメレクが敗北を認めたのか、がっくりと肩を落としてしまった。


「魔族再興のため、メテオラ様をレイン殿のもとで覚醒させる。そして新たな種を採取。その種で魔王候補を増やす。更に王城から軍の資料を手に入れるスパイ活動。その全てが、レイン殿に見透かされていたのか!」


 いや、見透かしてはねえよ! 何かやってるとは思ってたけど!


「魔王になるはずだったメテオラ様を懐柔し、自分の手駒にしてしまうとは! しかも、他の種族の支配者候補まで手懐けているだと! レイン殿、なんて恐ろしい男なのだ!」


 だから俺を買い被りすぎだって!


「くっ、ここは一旦引くしかないようね」

「だから言ったであろう。レインは恐ろしい男だ。絶対に手を出すではないと」

「ラプラス、ここはあなたの忠告を受け入れるべきみたいね」

「ああ、では邪魔をしたな、レインよ」


 魔族間のいざこざを持ち込まれた挙句、勝手に納得して二人は帰っていった。

 残された俺はポカーンだ。


「あいつら、何しに来やがった」


 何かスッキリしないが、娘が無事ならそれで良いか。七魔大公のような強キャラと対立したくはないからな。


「よし、部屋に戻ってプリンを食べよう」


 娘たちと戻ろうとしたその時だった。


 ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ!


「レイン・スタッド! 今の者どもは何だ! 貴様、何か企んでいるな!?」


 けたたましい軍靴の音が響き、数人兵士が玄関に踏み込んできた。


 おいおい、今度は何だよ。魔族の次は兵士様かよ。今日は千客万来だな。


「何の用だい? 俺は何もしてねえだろ。むしろ被害者なんだけどな」


 俺は肩をすくめ、騎士に向けて声を投げた。

 どうせ先日の件だろ。森を焼いたのは俺のせいじゃねえ。


「レイン・スタッド、貴様に魔族のスパイ容疑がかけられている!」

「はあ?」

「今すぐ王城に出頭せよ! 魔族の子供を差し出し、身の潔白を示すのだ!」

「何だと!」


 兵士の放った言葉に、俺の中に怒りに火が点った。



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姉喰い勇者と貞操逆転帝国のお姉ちゃん!

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ブレイブ文庫 第1巻
ブレイブ文庫 第2巻
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