救急車を追跡(改)
車中の中の青年と女性は5人。ギュウギュウづめだった。
楽しそうな会話が聞こえてくる。
「まったく。残業明けに職場で遅くまで飲み会だなんて、モラハラだわ。
いけすかないオジさんの顔みても、癒されないしさ」
「で、余計、ストレスたまって、ゲーセンで憂さ晴らしか。
稼いだ分、使ってしまってむなしい」
「ホタテの殻から中身をとる仕事って、コツいるわ。たいした疲れた。
これからは、自給がいいんだから、無駄遣いしないように」
「貯金でもするのかい?」
「ふふ、ちょっとは将来の事を考えてるのよ。男子と違って。はは」
男も女も マシンガントークってやつだ。俺にはさっぱりわからん。
「おっと、救急車が後ろから来た。左端によせてとめるぞ」
救急車?そうだ。あのけたたましい音を出す白い車が、ニート君を連れて行った
あれを追いかければ、居場所がわかるか?
”おい、だせ、俺はあれを追いかけるんだ”
大声で何度も主張したが、
「うるっさいな~。おしっこでもしたいのかな。ちょっと出してあげなさいよ
車でされたら一大事よ。」
「しょうがねえな。ほら、用をたしら、すぐ戻ってこい」
晴れて車から出て、ついに街について、ついでに救急車にあった。
やっぱりついてる。わるいけど、黄色い髪のにーちゃん。
俺は、お前の所で世話になる気はないんだ。今の所は。
ありがとな。つれてきてもらって。
俺は逃げた。そしてとにかく走った。みつからないように、
歩道の横のところを。
救急車の音は 止んだ。俺の耳は優秀だ。
救急車のとまった所の見当くらいはつく。
だいぶ後ろから、あのにーちゃんが、名前を呼びながら探してるが。
ほんとにごめんな。今度、ヒマが出来たら、お前の話を聞きに行くから。
俺の能力みたいなんだ。人の話を聞いて 元気を与えるって。
(夏江おばさんも、俺にさかんに話しかけ、俺は、あまり意味がわからず、
黙って聞いてるだけだった。それで、おばさんは、明るく笑った。)
にーちゃんをまくのは、簡単だった。
問題は救急車のついた先が、車が多くはしってる街の真ん中にあることだ。
どうしても、道を横断しないといけない。
俺は、何度かクラクションをならされたりもして、危なかった。
救急車は、ついたと思ったら、また別のがきたようだ。
救急車は、あるレンガ色の建物に横付けされ、中から横になった人を運んでた。
ニート君もこうやって運ばれたんだろう。
ここで待っていたら、いつかは会えるのか?
それとも あの建物に入って調べてみるか。夜なら人間は寝てるだろう。
俺の考えは 甘かった。
その建物は一か所だけは24時間、明るく、人が出入りしてる。
入ってくる人は、具合の悪い人とつきそいの人が多い。
そうか、ここは人間病院なんだ。
立てば勝手に開く不思議な戸のそばで、俺は入る人と一緒に、すばやく
病院にもぐりこんだ。




