転生してハイエルフになりましたが、スローライフは120年で飽きました【連載中】
作品タイトル:転生してハイエルフになりましたが、スローライフは120年で飽きました
作者:らる鳥さん
人間には永遠は永すぎる。
だからこそ永遠に憧れる。
この物語は図らずして永遠を生きる精霊となるべく生まれた種族、ハイエルフになったひとの物語である。
かっこいいエルフ様ムーブをしていたら120年で飽きた。村の人々は『わかる~! 私も昔そんなかんじ~~!』(※違訳)と生暖かい反応だが、だいたい一度は通る道らしく彼の出奔はだいたい平穏に行われた。単純に一年二年では若者が席を外しても他のハイエルフの皆は気にしないのかもしれない。
長く永く遠くへ生き、精霊に至る道は死への路。
彼は多くの死を看取るだろう。
多くの詩と共にあるだろう。
短命のニンゲンは今を生きているのであと先を考えるのは難しい。今のことで精いっぱいだから。
だからこそ彼は歩み寄る。
だからこそ彼は精霊の力を使わず拳で語り合う。
時には涙し、時には笑い、ひとりまたひとりと去りまたひとりふたりと道に加わる。
ひとは愚かしくも自らを賢いと考える。
そう指摘するものもまた同じかそれ以上に愚かだ。
だから彼は糺そうとしない。歩み寄り。時と共にそっと。
旅に疲れましたか。
ちょっと休みませんか。
100年の孤独なんて一瞬ですよエルフのお嬢さん。
旅はまだ続く。
============
瞬間よ留まれ。愛を伝承えるために
投稿日:2020年11月15日 10時58分
エルフの中でも死後は精霊となるとされる伝説の存在ハイエルフ。その一人である彼はつぶやいた。
「飽きた」
もともとスローライフだが、刺激を求め人里に降りる彼。見た目はただのエルフだが神や精霊に等しい存在の彼が騒動を騒動と認知しないのは短命の人間に比べて時間感覚が長すぎるせいだ。
相性の良くないドワーフに鍛冶を10年学ぶ。
滅んだ剣術流派が遺した少女の剣技が世代を超えて完成するのを50年待つ。
急速に発展する港町で舌鼓を打ち、あるいは魔術を学びに旅に出る。少年が英雄になり、少女は母になる。
ひとの短い時間では仕事の為、家族の為。
孫世代に仇なす害を慈愛をもって制する。
優れた力はあれど驕らず、高い視座はあれど上から目線で押し付けず共に歩む。また劣等感や自己嫌悪に苛まれず自意識過剰に振り回されることなく正しく時を刻む。
死と戯れるは精霊への路。
旅は今日も続く。
作品タイトル:転生してハイエルフになりましたが、スローライフは120年で飽きました
作者:らる鳥
https://book1.adouzi.eu.org/n0821go/




