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ありそうでなかった! 三〇〇回以上 #小説家になろう に #レビュー した記事をコピペでまとめ!  作者: 鴉野 兄貴
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#罪の声 #書籍 #オーディオブック #映画

 内容紹介

 京都でテーラーを営む曽根俊也は、父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。テープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは、31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われたテープとまったく同じものだった。「ギンガ萬堂事件」の真相を追う新聞記者と「男」がたどり着いた果てとは。渾身の長編小説。


 「週刊文春」ミステリーベスト10 2016国内部門第1位! 第7回山田風太郎賞受賞作。朝日新聞「天声人語」など各種メディアで紹介。


 逃げ続けることが、人生だった。

 家族に時効はない。今を生きる「子供たち」に昭和最大の未解決事件「グリ森」は影を落とす。


「これは、自分の声だ」

 京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。テープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは、31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われた録音テープの音声とまったく同じものだった――。


 未解決事件の闇には、犯人も、その家族も存在する。

 圧倒的な取材と着想で描かれた全世代必読!

 本年度最高の長編小説。


 昭和最大の未解決事件―「ギンガ萬堂事件」の真相を追う新聞記者と「男」がたどり着いた果てとは――。

 気鋭作家が挑んだ渾身の長編小説。


 目次

 プロローグ

 第一章

 第二章

 第三章

 第四章

 第五章

 第六章

 第七章

 エピローグ


 製品名:罪の声

 著者名:著:塩田 武士

 発売日:2016年08月03日

 価格:定価 : 本体1,650円(税別)

 ISBN:978-4-06-219983-4

 判型:四六変型

 ページ数:418ページ

 初出:本書は「小説現代」電子版2015年10月号から2016年1月号まで連載された「最果ての碑」を、大幅に加筆修正したものです。

(講談社さんのサイトより)

 私は母を見捨てたのです。


 日本中を騒がせたグリコ森永事件をモチーフに描かれるこの物語は痛切で切なくそして暖かい。


 愉快犯的言動にて権力者である警察を、マスコミを、大企業を揶揄い貶め、『どくいりきけん たべたら死ぬで』と書かれたお菓子をあちこちでばらまく犯人グループ。彼らに翻弄され運命を狂わされる悲劇はこの平成の世になっても続いていた。


 脅迫テープの子供たちの声はたしかに彼ら彼女らのものだった。真相を知るべく動き出す彼ら。三十年の時を超えて調査報道を始める新聞記者たち。罪の声は悲しくそしてたしかに彼女の存在を証明する悲しく暖かいものとして残っていた。


 罪が生み出した貧困の連鎖を断ち切りたい。

 新聞記者出身の作者が描いた調査報道ミステリー小説はビターでどこか暖かい。


 骨震える冷たい涙を暖かくするために。スーツを着たら堂々と。さあ旅立ちの日を迎えましょう。



 以上をオーディオブックで聞いた後、何度も新型コロナウィルスによる公開延期の憂き目に遭っていた本作の映画版をレイトショーで見に行ってきた。

 結論で言えばよかった。特に原作でもあった当時中学生の親友の無事を祈る中年女性の真摯な祈り、主人公の一人にあなたと同じくしあわせになっていますよねと問う高田聖子の演技は抜群に良かった。


 偶然見つけたテープが犯罪に使われたものであり、その声が自分だと知ったテーラー。

 35年まえの時効事件を特集だという理由で別部署から応援として引っ張り込まれた記者。


 一人は保身というより愛する家族が疎外されないように。

 一人はただ仕事だからとその事件を追う。


 だが、だんだんわかってくる。

 もはや自分だけの問題ではないということ。

 ただ、自分の仕事だからと誰かを傷つけていいわけではないことを。


 コミカルな劇場型犯罪の裏で行われていた悲喜劇。人生を狂わされ夢を奪われた少女の行方。

 絶望の中死を選ぼうとしていた元少年の慟哭。二人の地道な調査と新聞社の調査報道はゆっくりと真実を解きほぐしていく。


 二度と誰も見捨てない。社会が救えなかった人たちを深淵から救わねばならない。

 それができるのは一人一人の無名の市民たちの地道な活動なのだ。


 マスコミの責任はどうだと主人公の一人の上司は問う。

 スクープ合戦に明け暮れて何の責任を社会に果たしたかと。

 これは、やらねばならぬことなのだ。35年経てば叫ばずには済まない声もある。

 助けを呼びたくても呼べなかった想い。その言葉に耳を傾ける必要がある。


 離別した家族を再生させる義務がある。

 主人公たちは手を組む。未来の娘たちの為に。

 その行方はたとえ悲しくても。温かい。


 明日も同じ嫌な日が続くだろう。

 明後日も誰かが涙を流すだろう。


 だからその声をかたちにし続けなければならない。


 罪の声を聴け。

 それは愛の忘れ形見。

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