がん地蔵【完結】
作品タイトル:がん地蔵
作者:西本麻弥 さん
鴉野の家というが、要するに母ゆっこさんの家である。
だから鴉野はあまりゆっこさんへの来客に対してあれこれは云わないがこう思っている。
『でっかい老猫がいるようなもん』
客に対して無礼千万。
勝手にフラッと来ていいおっさんである鴉野を子供と同じく『かわいいかわいい』とお菓子をくれる。すまん餌付けされている。
適当にゆっこさんが『ジャンジャンいってうるさい』とする韓流ドラマをゴロゴロしながら観て夕方になれば帰っていく。
『家を汚さなくて住民の行動を邪魔しない猫』
鴉野のゆっこさんの友人に対する総評についてゆっこさんは特に何も言わない。
しかし、これはこれで気を使ってくれているとゆっこさんが言う。
自由でのびのびとしているようにみえるのと、勝手気ままに他人の家庭を荒らし侵略する奴らは完全に異なるのだ。
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庭を覆い尽くす草のように家庭が奪われる
投稿日:2020年11月14日 10時41分
雑草などないと学者はいう。
忘恩は雑草の如く人の本質であり感謝や愛は育まねば育たぬ。
私事だが知人の主治医はがんについて雑草の如く無分別に生えて庭の如く患者の身体を乗っ取ると言う。
近所の厚かましいおばさんは真夜中まで彼女の家に入り浸り、宗教のお題目を唱えては小学生である彼女からお布施と称して奪い取る。お布施をお布施を。毎日二百円。100日で二万円。
事なかれの母は娘の面倒を投げ、仕事人間の父は有効な対策を取らず。しかし兄は言う。幸せは努力でつかみ取れると。
お布施をお布施を!
家の物資をもっていかれ、娘がその真似をはじめ不登校になり不眠に悩まされ、反抗か兄に良からぬ妄想を抱き洗脳の果て障碍者になるといわれても行動を起こすことを躊躇う母。
悪魔は勝手に去った。
クズ石に刻まれた地蔵はただ、愚かなる人々を見つめていた。悪魔が消えるとき、それはただしく石ころに還った。
作品タイトル:がん地蔵
作者:西本麻弥
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