噛ませキャラの絡む理由【短編】
作品タイトル:噛ませキャラの絡む理由
作者:若元彌々 さん
物語の主人公という存在の強さは際限というものがない。
最強主人公が出てはそれを超える最強主人公が生まれる。
人間の想像力は際限がないのかもしれない。
例えば『敵対者は無意識レベルでも死ぬ。因果律からも消える』等だ。シンプルな方が強い。
鴉野はそういった話を突き詰めていくと民衆の歌を唱えながら王政復古したフランス軍に皆殺しにされていく『レ・ミゼラブル』(邦題『ああ無情』)を思い出す。
登場人物は完全な悪人でもないのに悪行に手を染め、罰せられあるいは恨みや正義を胸に死ぬ。
正義も悪も、思想も宗教も人間社会を維持するための嘘だろう。
だがその嘘がなくば人の世界は獣の世界に戻る。
それが良いか悪いかは正直わからない。少なくとも環境にはよろしいだろう。それすら人間の都合に過ぎない。
だが、それをたった一人が担うには人間は弱すぎ、人間社会としてみるならばもろすぎる。
チート主人公は物語の中だけで縛っておいたほうがまだ笑えるようだ。
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A la volonté du peuple…チート主人公には怒れる民の唄が聞こえるか
投稿日:2020年11月09日 22時47分
ギルドに入ってきたチート主人公にウザ絡みしてコテンパンにのされるモブキャラである主人公。
顔は怖いがベテラン冒険者。炊き出しに出れば子供に泣かれ、馬車護衛に出れば不審者扱いされ、喧嘩を仲裁すれば真先にしょっ引かれ、世間知らずな田舎者がギルドに入ってくれば奴隷商に捕まる前に脅してでも別の仕事を斡旋する。
あれ。めっちゃいい人。
その態度は武術のみではなく自らの人生における失敗経験も起因する。
一発。また一発。
武術はないがチートで迫る主人公の猛攻撃。
女に魅了を敵対者には死を太鼓持ちには繁栄を。
彼もいつか土へと還る。
彼は何も語れず一矢も報いることはできない。ああ無情。
だから弱く、主人公になれない我々は歌うのだ。
異世界から来た愚王に向けて弱き人が歌う命の歌を。
是非、ご唱和ください。
作品タイトル:噛ませキャラの絡む理由
作者:若元彌々
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