フローレンスは、一度だけ時間を巻き戻す【短編】
作品タイトル:フローレンスは、一度だけ時間を巻き戻す
作者:じごくのおさかな さん
前回でも述べたがタイムトラベルものと恋愛ものは相性が良い。不可逆の時間と戻ってこない想い、時間という絶対の断絶を愛が超える物語に惹かれない事はないからだろう。
能力者がいるファンタジーの世界。本作の主人公の能力は『一度だけ時を巻き戻す』力をもって生まれてきた。
誰もが一度は願っただろう。
あの失敗をなしにしたい。あの成功を取り戻したい。あの愛を手に入れたい。
しかしそれは本当に幸せなのか。
本作の主人公はその愛ゆえその能力ゆえに翻弄され苦しめられ、家族すら引き裂かれてしまう。
だが、棄てられない愛がある。叶えたい思いがある。たとえ巻き戻っても恐らく心の寿命は戻らない。擦り切れた心で自らの愛が潰えてもせめて願うのだ。大切な人の無事を。
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時よ。また逢いましたね
投稿日:2020年10月30日 22時34分
時を巻き戻す力が欲しいと願ったことはないだろうか。主人公が持つこの力には欠点がある。誰も能力を使った確認が取れないということだ。
それ故に彼女は有象無象に付きまとわれ、野心の道具にされ、親子兄弟の情を失い、挙句に婚約破棄まで告げられる。いくら恋い焦がれても所詮田舎貴族の娘に王子は届かない存在だったのだ。
能力を使い切ったとしても身体の寿命と同じ心の寿命が先に尽きるのは明白。全てを捨ててあるいは受け入れ孤児院で別人として過ごす彼女はそれでも文を認める。王子に愛を捧ぐことができないならばせめて役に立つ存在でいたい。しかし返事は返ってこない。
春夏秋冬流れた。
時は過ぎて小さくも心を洗うような花が咲く。時よ。恋人たちを優しく包みなさい。
是非ご一読ください。
作品タイトル:フローレンスは、一度だけ時間を巻き戻す
作者:じごくのおさかな
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